子どもの頃、夏休み最終日を毎年、手つかずの宿題に追われて過ごしていた方はいらっしゃいますか。大人になった今でも、ギリギリになるまで腰を上げられない「先延ばし癖」を引きずっている方も多いことと思います。

筆者もそのひとりです。宿題の日記は夏休み最終日にまとめて書いていた、典型的な先延ばし癖の持ち主でした。大学の課題は提出日前日にならないと危機感を覚えられず、テストも一夜漬けばかり。「そろそろやらないとまずいな」と思いつつも、つい放置してしまった経験は数知れません。

仕事、課題、試験勉強、部屋の掃除、メールの返信……。やらなくてはならないことをどうしても先延ばししてしまう方のために、この厄介な先延ばし癖を克服する方法をご紹介します。

なぜ先延ばしにしてしまうのか

私たちが、「やらないとまずい」と思っているのに、物事をつい先延ばしにしてしまうのはなぜでしょうか。それは、ある行為に対してストレスを感じている際、その行為を先送りすることで緊張状態を和らげようとするから。

習慣化コンサルタントの古川武士氏によれば、先延ばしを引き起こしてしまう主な感情は次の7つ。「めんどくさい」、「失敗が怖い」、「まだ時間がある(もうない)」、「嫌われたくない」、「つらい」、「自信がない」、「後悔したくない」です。

誰でも、楽しいことを先延ばしにはしませんよね。面倒だ・嫌だというストレスがあり、これらの心理的な負担から逃れたいから、先延ばしにしてしまうわけです。

ですが、ストレスから身を守ろうとしているとは言っても、かえって締め切り前日に苦しむことになるのは避けたいもの。ギリギリになって慌てるのは好ましいことではないはずです。このような先延ばしを克服するにはどうしたらよいのでしょうか。

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メタ認知で先延ばしの要因をなくす

メタ認知とは「考えることを考える」こと。メタ認知によって、「私は『今日必ず〇〇をする』という意思決定をする」という事実を客観的に認めましょう。そのうえで、前述した先延ばしを引き起こす主な感情のうち、いまの自分の行動にブレーキをかけている要因がどれに当てはまるか、分析してみてください。そして、その要因を取り除けば、先延ばしは解消できるはずです。

例えば、「10ページ分の英単語を覚える」という課題があるけれど、なかなか取り掛かれないでいるとします。どうして先延ばしにしてしまっているのかを考えてみてください。「めんどくさい」が要因になっていると分かったら、その要因を取り除きます。「20分でいくつ覚えられるか」のようにゲーム感覚で取り組めば、面倒くささが消えるかもしれませんね。ここまでくれば、先延ばしは解消です。

また、レポート課題になかなか取り組めないときは、どうして自分が課題に手を付けられないでいるのかを考えてみます。「計画的に作業を行っても、完成させたものが成果を上げられないかもしれない。しかしギリギリまで放置しておけば、良い成果が出せなくても『1日で終わらせたのだから仕方ない』という逃げ道が作れる……」。こんな風に分析できたならば、「失敗が怖い」が要因で先延ばしをしていることが分かります。この場合には、失敗を恐れていては成功することなどできないと、自分に発破をかける必要がありますね。

なぜ先伸ばしてしまうのかをメタ認知的に考え、「必ず終わらせるという意思決定している自分を認識する」よう心がけてみてください。

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タイムプレッシャーをかける

なかなか物事に取り組めないときは、「〇日までに終わらせる」ではなく、「〇分だけやる」という時間制限を設けてみましょう

脳科学者の茂木健一郎さん曰く、人間は時間に対する認識がルーズなのだそう。辛いことや落ち込むことがあったとき、これから先心から笑える日なんて永遠に来ないんじゃないかと思ってしまうことはありませんか? それでも案外数カ月で立ち直れてしまったりするもの。これは、人はこれから起こることがどの程度続くかの見極めが苦手だからです。

気の進まないタスクや勉強が進まないのは、終わりが見えないため。「〇分やったら終わり」と決め、その時間が経ったら中断していいことにしておけば、終わりが見えているため取り掛かりやすくなります

いくら中途半端なところでも、制限時間が来たらいさぎよく中断するのが効果的。「ツァイガルニク効果」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。「中断されたことや未達成のものの方が記憶に残りやすい」という心理効果を指します。テレビ番組の一番盛り上がるところでCMが入ったり、連続ドラマで何か事件が起きたところで「次回に続く」となったりするのは、この効果に則ったもの。同様に、中断された勉強や仕事は記憶に強く残り、次回以降も取り掛かりやすくなりますよ。

障害物を取り除く

どうしてもやる気が出ない、先延ばしにしたい気持ちが強い時は、自分の視界から障害物を取り除きましょう

例えばスマートフォン。LINEやSNSの通知は、目に入るだけでも気になって開きたくなってしまうものですよね。ついついチェックしたくなり、少し見るだけのつもりが、いつの間にか何十分も時間が経っていることもざら。また、テキサス大学の行った実験の結果、スマートフォンはたとえ電源がオフになっていても、視界に入る位置に置いてあるだけで集中力が削がれてしまうのだそう。視界にスマートフォンがあるだけで認知能力が低下してしまうのです。

先延ばしを促進するような電子機器の電源は切って、しまいましょう。また、つい手を伸ばしたくなる漫画や本なども同じです。見えない場所に片づけておくことで、強制的にやらなければならない状況を作ることが大切です。

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億劫なことはついつい後回しにしてしまいがちですが、後で苦しむのは自分。
まずは、先延ばし癖の原因を客観的に探してから、原因に合った対処をしていきたいですね。

(参考)
プレジデントオンライン|“先延ばしの悪いクセ”を確実になおす方法
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|「先延ばし」を克服する5つの戦略
ログミー|「明日やればいいや」はもう卒業–物事を先延ばしにするデメリットとその対処法
プレジデントオンライン|なぜ、「明日からやろう」と毎日毎日思うのか?
Medical press||The mere presence of your smartphone reduces brain power, study shows