22時以降は勉強するな!? 東大生が実践する "根を詰めない" 勉強法

「時間がなくて勉強できない」そんな悩みを抱えている人はいないだろうか?

これに当てはまる人は、「勉強は、夜、まとめて一気にガリガリやるもの」という誤解をしている可能性がある。

確かに、夜間、長時間机に向かっていると「勉強している」という実感がわくものだ。しかしその考えは、夜にまとまった時間が取れなければ「今日は時間がないから勉強できないな」と勉強を怠ける口実となってしまう。

そのうえ、たとえ夜に勉強時間を確保できたとしても、夜の勉強は健康を害するだけでなく、学びの効率自体も下げかねないのだ。

今回は、まとまった時間が取れなくても、継続的に少しずつ勉強することのほうがより大切だということをお伝えしよう。日中は仕事で忙しく、夜しか勉強する時間がないビジネスパーソンにも、昼間は授業に部活、塾とフル回転で、自学の時間がなかなかない学生にも、ぜひ理解していただきたい。

22時以降は、勉強するな!?

長期的に結果を出したいのなら、22時以降の勉強はおすすめしない。 それは、勉強を長く継続するためには夜間の休息が不可欠だからだ。

日本で医学博士号を取得後、ハーバード大医学部に留学し、さらにはその留学中にボストン大でMBAを取得したという猪俣武範氏は、「優秀な人ほど残業や居残り勉強はしない」と語る。

根を詰めて勉強をした結果、かえって体調が悪くなり、勉強する時間を確保できなくなってしまった……。このような経験は誰にでもあると思います。ハーバードのラボでは優秀な人ほど決まった時間に帰っていきます。(中略)私はその後も(注:23時以降)もセコセコ仕事をしていたのですが、そんな頑張りは永遠に続くわけではなく、たまに体調を崩してしまいました。

(引用元:猪俣武範著 (2016),『ハーバード×MBA×医師 目標を次々に達成する人の最強の勉強法』,ディスカヴァー・トゥエンティワン.)

夜遅くまで勉強できるのは、せいぜい連続して1日、2日がいいところだろう。仮にそんなことをしても、次の日には反動で眠くなってしまうはずだ。

試験の前日で、全く勉強していない……なら話は別だが、計画的に勉強するつもりなら、夜間の勉強は控えよう。

夜まとめて……よりも、こまめに少しずつ。

夜にまとめて勉強する人の多くは、「勉強は長時間でなければ無意味だ」という思い込みが強いのではないだろうか?

忙しい日中に、勉強時間を確保するのは至難の技。だからこそ、長時間まとめて……と考えると、自然と夜に時間を作りたくなるものだ。しかし、この考え方自体、あまり褒められたものではない。記憶の達人と呼ばれ、記憶や勉強法に関する著書を多数持つ椋木修三氏は、次のように言う。

「まとまった時間がなければ勉強できない」というのは錯覚であり、誤解だということを肝に銘じましょう。大切なことは、短くてもよいから、長く続けるということです。

(引用元:椋木修三著(2004),『図解 超高速勉強法―「速さ」は「努力」にまさる!』,経済界.)

また、次のように考える方も多いかもしれない。

「いやいや、塾や予備校でも短期集中講座というものがある。まとまった時間を確保して何かを身につけようとするのは、効率が良いことなのではないか」

しかしこの考えも、効率の良い勉強法を誤解していると言える。脳科学の研究では、「まとめてやる」ことよりも「間隔をあけて定期的に身につける」ことの方が、効果的だとされているのだ。

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間隔をあけて、勉強しよう。

一気に集中して身につけるのではなく、時間の間隔を空けて身につけるのは、「間隔練習」と呼ばれる方法だ。この方法の有効性について、次のような実験が知られている。

38人の外科研修医に4種類の手術に関する研修を受けさせた。あるグループには一日で4種類を、あるグループには一週間に1種類ずつ研修を実施し、一ヶ月後にその成果を確認する、というものだ。すると、4種類すべての手術に関して、一週間に1つずつ研修を行ったグループのほうが良い成績を残した。しかも、一日で4種類の手術を詰め込んだグループの中には、手術を完了することさえできない者もいたというから驚きだ。

この実験結果は、記憶のメカニズムを非常によく反映している。

新しく学んだことを長期記憶に定着させるには、「統合」というプロセスを経なければならない。(中略)それには、何時間も、ときには数日かかることもある。(中略)少し忘れてから思い出そうと努力することで、統合がうながされ、記憶がさらに強化されるのだ。

(引用元:ピーター・ブラウン著,ヘンリー・ローディガー著,マーク・マクダニエル著,依田卓巳訳(2016),『使える脳の鍛え方 成功する学習の科学』, エヌティティ出版.)

集中的にまとめて勉強したほうが効率がよい、などと信じ込んでそれをせっせと実行しても、記憶のメカニズムに逆行することになる。

忙しくて、まとまった時間が確保できなくても構わない。15分でも30分だけでもよいから、その少しずつの時間を大事に、勉強を継続して知識を積み重ねていくほうが成果はあがるのだいうことを心得ておこう。

*** まとめて勉強しようとして夜遅くまで机に向かうことは、睡眠や休息の時間を奪うだけでなく、学び自体の効率を下げることにもなっていることがおわかりいただけただろう。

筆者は浪人時代、21時に予備校の自習室を出てから、就寝するまでは一切勉強道具に触れなかった。寝るまでの3時間を勉強に使うのではなく、家族と食事をし、ゆっくりとリラックスしたのだ。

あの時間があったからこそ、辛い勉強にも耐えることができ、さらにそれを継続できた、と思っている。一気に詰め込むのではなく、ゆったりと継続してみてはどうだろうか。

(参考) 猪俣武範著(2016),『ハーバード×MBA×医師 目標を次々に達成する人の最強の勉強法』,ディスカヴァー・トゥエンティワン. 椋木修三著(2004),『図解 超高速勉強法―「速さ」は「努力」にまさる!』,経済界. ピーター・ブラウン著,ヘンリー・ローディガー著,マーク・マクダニエル著,依田卓巳訳(2016),『使える脳の鍛え方 成功する学習の科学』, エヌティティ出版.

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