Relaxed young woman lying on couch

今を生きる私たちは、テレビはもちろん、スマホやタブレット囲まれているせいで、何もしていない時間、つまり「ボーっとする時間」がほとんどない。自分を振り返ってみても、ちょっとでも時間があくとついスマホに手が伸びているのではないだろうか。しかし、実はボーっとすることは脳に非常に良い効果をもたらしてくれるのだ。
今日は「ボーっとすることの科学」について紹介する。

badge_columns_1001711ボーッとすることで生産性が向上する

冒頭で述べたように、今の時代はボーッっとする機会がとても少ない。とくに若者は、休憩時間はほとんどスマホをいじったりしていて、休憩しているはずが脳が実は休まっていないのだ。
カリフォルニア大学のベンジャミン・ベアード教授によると、ボーッとすることで脳は創造的になり、生産性が向上するのだそうだ。彼の研究によれば、ほとんどの現代人の脳は”常にオン”の状態にあるため、”オフ”にしてあげなければ機能性や集中力が磨耗してしまうとのこと。

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60日のトレーニング後、英語実務でも効果を実感。TOEICも950点に。
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badge_columns_1001711集中と創造性は両立しえない

私たちが何かを能動的に行っている時、脳の機能はそのことだけに集中して雑念が入りにくい状態になっている。集中して取り組むということはできているものの、創造性が求められる作業にあたっている時は視野が狭くなり新しい考えや斬新な発想が浮かびにくい。
反対に、何も考えずに思考の渦をなすがままにしてあげると(これが「ボーっとしている」状態)、次から次へと脳が勝手に思索し、新たなアイディアが浮かびやすいのだ。これがよく耳にする、「お風呂や散歩中や、何も考えていない時に良いアイデアが浮かんだ」の正体だ。
べアード教授は、新しいアイディアなどの創造性が求められる課題にあたる時には、一旦何も考えずにあえてボーっとし、それからもう一度その課題に戻るように勧めている。ボーっとしている間に脳が処理した膨大な思考の渦の中に、新たな創造が待っているだろう。

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badge_columns_1001711ボーっとしている脳が勝手に探し始めるのは、将来の計画

リエージュ大学のDavid Stawarczyk教授の研究では、「ボーっとして思考をなすがままにしていると、その思考が無意識下で最初に取り組むのは将来の計画である」ということが明らかになった。日々の勉強に追われている受験生に例えてみよう。
受験生にとって本当に必要なのは本番までに自分の苦手分野をどこまで底上げし、得意分野をどれだけ伸ばすか、といった長期的・戦略的な見通しを立てることだ。その見通しに基づいて分野別に時間配分して取り組むべきなのに、目の前の点数や授業に追われ、焦りや不安から視野がどんどん狭くなりがちが。これはつまり「最終目標を見据えそこにたどり着くための最短の経路を探す」脳のプロセスが、目の前のことに没頭するあまり阻害されてしまっているのだ。
しかしあえて何も考えずに脳を自由にしておくと、自ら再度自分の長期目標を確認し、そこに至る最適なルートを見つけるための手助けをするそうだ。この点は受験勉強に限らず、日々の作業に忙殺されて本当に自分がやりたいことや目標との位置関係が分からなくなっている社会人にも当てはまる。忙しいからこそ、あえて「脳を休ませる」時間を作りたい。

badge_columns_1001711では、どのようにボーッとするのか

どのようにボーッとするのが一番良いのかは人それぞれだが、まずは休憩中にスマホを触らないことを意識してみよう。息抜きにSNSをしたりゲームをしたり素敵な風景をすぐに写真を撮ってアップしたり、気持ち的には休憩になっているのかもしれないが、実はスマホに集中することで創造性が阻害されているのだ。
ちなみにここで教授らが勧めているボーッとする方法は、何も考えず楽な姿勢で10分間目をつむるということだ。何も考えずというと語弊があるが、要は目をつむってリラックスするだけである。そのうち脳が勝手にいろんな考えを持ち始めるが、これは前述した創造性を高める経過であり、その中に課題に取り組むためのヒントが散りばめられている。学生にしろ社会人にしろ作業後は目に疲労がたまっているので、視力を休めるという点でも効果がありそうだ。

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現代人が失いつつある「ボーッとすること」だが、実はその行為には多大な恩恵があった。休憩という名の脳の疲弊にならないように、休憩中にはしっかり脳を休めて、創造性を回復した状態で次の課題にあたりたい。
今日からまずは、休憩中のスマホをやめてみてはいかがだろうか。

参考文献:
Harvard Business Review|Zooming Out Can Make You More Productive
Benjamin Baird, Smallwood Jonathan, Mrazek Michael D, Kam Julia W Y, Franklin Michael S and Schooler Jonathan W (2012),
“Inspired by Distraction Mind Wandering Facilitates Creative Incubation”
Psychological Science, Vol.23, No.10 pp.1117-1122
David Stawarczyk, Steve Majerus, Michalina Maj, Martial Van der Linden and Arnaud D’Argembeau (2011),
“Mind-wandering: Phenomenology and function as assessed with a novel experience sampling method”
Acta Psychologica, Vol.136, Issue.3, pp.370–381


東京大学文科三類所属。磐田南高校卒業。4歳からサッカーとピアノを始める。大学ではスペイン語を学んでいる。三島由紀夫とMr.Childrenをこよなく愛する。将来はスペインに住んで日がな一日レアルマドリードの試合を見て天寿を全うしたい。