独学を始めてみたが、勉強が続かない。ひとりで勉強する習慣を身につけるのが難しく感じる。やっぱり、自分はスクールのようなところに通って強制的にやらないとダメな人間なのか……。
独学を始めてはみたものの、継続するのが難しいと悩んでいませんか? でも大丈夫です。いくつかのコツを押さえれば、ひとりでも勉強を続けられるようになりますよ。
今回は独学を継続するコツを3つ紹介し、筆者も実践してみます。ぜひ、一緒に成功させましょう。
- 独学継続のコツ1:目標を「数値化」しよう
- 独学継続のコツ2:教材は 「7割知っている」ものを選ぼう
- 独学継続のコツ3:「1日1分」でも積み重ねよう
- 独学の継続にチャレンジしてみた
- 「簡単そう」と感じる教材がベスト!
独学継続のコツ1:目標を「数値化」しよう
独学を試みた経験のある方は、勉強の目標を立てたことがあるでしょう。その際、「毎日たくさん勉強する」「一日中勉強する」といった曖昧な目標を立ててはいませんでしたか?
じつは、そうした目標の立て方では、なかなか結果につながりにくいのです。結果が出なければ、勉強を続けようと思えなくなるおそれも……。ここで大切となるのが、目標を “数値” で立てることです。
現役東大生でありながら、教育事業などを手がける株式会社カルペ・ディエム代表も務める西岡壱誠氏は、「目標の中に数字を入れて、行動を細分化する」ようすすめています。同氏いわく、「目標や自分のやっていることがぼやけているうちは、集中できない」のだとか。(カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|東大生明言「紙の手帳使うと学力が劇的向上」の訳)
「毎日たくさん勉強する」という目標では、中身が曖昧すぎます。どれぐらい勉強すれば「たくさん」やったと言えるのかがぼやけているので、勉強に力を入れることができないのです。
加えて西岡氏は、『東大式目標達成思考』著者である相生昌悟氏との対談のなかで、東大生は「現在地」と「目標」の「点数設定」をしているとも述べています。同様に私たちも、まずは「現在地」と「目標」を数値化するのが重要だと言えそうです。(参照:ログミーBiz|「努力は報われる」のではなく、「正しい努力は報われる」現役東大生が解説する、努力のための3つの軸)
具体的には、以下のような例が考えられます。
【数学のスキルを向上させたい場合】
- まずは高校数学の教科書を使い、各章の練習問題を解く
- 1の正答率を計測して、「現在地」を数値で把握する
- 「3か月後には、現在の正答率より20%向上させる」など、「目標」を具体的な数値で設定する
【英語力を上げたい場合】
- TOEICを受験する
- 「現在地」の得点を確認する
- 「半年後にはスコアを50点アップさせる」など、「目標」を具体的な数値で設定する
ただなんとなくやっても、独学は続かないものです。まずは、「現在地」と「目標」を数値で確認してみてください。こうして、独学を継続するためのベースを整えましょう。
独学継続のコツ2:教材は 「7割知っている」ものを選ぼう
勉強に必要なのが、テキストや問題集などの教材。学校や塾、社会人講座などならたいてい教材を指定してくれますが、独学では自分で選ぶ必要があります。
このときのポイントは、自分がまったく知らないことだらけの教材は選ばないこと。自分のいまの知識と実力に合わせ、ちょうどよい教材を決めることが大切です。
というのも、脳は “すでに知っていること” と関連づけながら “初めて知ること” を理解していくものだから。
世界記憶力選手権で「グランドマスター」の称号を日本人で初めて獲得した池田義博氏は、記憶のメカニズムをふまえた勉強のコツについて以下のように解説しています。
物事をより深く理解しようと思えば、インプットされた新しい情報を、「このことは、以前に学んだあのことと構造が似ているな」といったふうに、すでに頭のなかにある既知の情報と照らし合わせることがポイントとなります。
(引用元:STUDY HACKER|時間をかけずに「理解+記憶」するための2つの勉強法。世界記憶力グランドマスターが教えます)
つまり、すでに自分がもっている知識と新しく学ぶ内容の関連づけによって、効率よく学習ができるということ。これを教材選びに当てはめると、すでに知っている内容と新しく学ぶ内容の両方が含まれている教材であれば、より勉強がしやすくなると言えるわけです。
また、そうした教材を選ぶことは、独学のハードルを下げることにもつながります。東大出身で、クイズ制作集団「Q星群」代表の林輝幸氏は、次のように述べています。
独学を継続させるには、自分に課すハードルは適度に低いほうがいい。
その「適度な低さ」が、教材では「3割くらいわからないところがあること」なのです。
(中略)「無理なく進められる」というのが独学を継続する重要なカギです。
(引用元:新R25|シゴトも人生も、もっと楽しもう。「すべての結果を数値化する」「仲間を見つける」元東大生が教える”独学”のコツ4選)
知っている内容7割、知らない内容3割――これが、独学を継続するための教材の条件なのです。
たとえば、初めて学ぶ分野であれば、中〜上級者向けの本ではなく、入門書を選択しましょう。中高生向けにわかりやすく書かれた本を探すのもいいかもしれません。
わからないことだらけの教材では、やる気を失ってしまうもの。理解できる教材であれば、読みやすく、モチベーションも高まりそうです。自然と、勉強がはかどりますね。知らないことに目を向けるだけではなく、自分が知っている内容も把握し、知識をつなげていくのが大切ですよ。
独学継続のコツ3:「1日1分」でも積み重ねよう
毎日忙しい社会人にとって、まとまった時間をとって学ぶのは大変なこと。「1日3時間勉強するぞ」と意気込んでも、継続できなければ挫折感を味わうことになりかねません。
そこでおすすめなのが、スキマ時間を利用して短時間の勉強を積み重ねる方法です。
「1分でも勉強はできる」と述べるのは、『科学的に脳の力を120%引き出す方法 頭がいい人の勉強法』の著者である精神科医の和田秀樹氏。「1日の中で有効に使われていない隙間時間」を徹底的に探すようすすめています。(カッコ内引用元:ZUU online|科学的に脳の力を120%引き出す! 勉強量を増やす2つの方法)
駅のホームで電車がくるのをぼんやりと待っているとき。ランチに入った店で、食事が提供されるのを待っているとき。人と約束した時間に少しだけ早めに着いたとき――まとまった時間はなくても、数分単位のスキマ時間は、探せば見つかるものです。
こうした時間を活用して、「1日1分でも積み重ねれば、学びは増えていく」と意識すれば、独学を継続しやすくなるでしょう。
独学の継続にチャレンジしてみた
これまでご紹介してきた3つのコツを使い、筆者も独学の継続にチャレンジしてみました。
日頃から、歴史には自信がない……と思っていた筆者。そこでまずは自分の「現在地」を確認するため、手元にあった日本史の本で一問一答形式の問題を解いてみたところ、正答率は60%でした。
かなり知識が抜け落ちていると発覚したので、歴史を基礎から学び直すことに。教材には、かんき出版の『中学校の歴史が1冊でしっかりわかる本』を選びました。
同書は見開き1ページで1単元。1冊が69個の単元に分けられています。筆者が立てた目標は、1日3単元学習して、1冊を23日で終わらせること。どうしてもできないときには、1日1分でも取り組むルールを設定しました。
そしてノートに計画表を作成し、実際に勉強した時間を記録していきました。以下がその記録です。
「簡単そう」と感じる教材がベスト!
16日めまで勉強してみたところ、歴史のなかでも自分が興味をもっている箇所、よく理解している箇所は勉強のペースが速いのがわかりました。一方で、あまり興味のない箇所は知識の欠如も多く、進みの遅さが顕著。5分で終わる日もあれば20分近くかかる日もあったという具合に、勉強にどれぐらい時間がかかるかによって、自分の理解の度合いを把握できました。これは、毎日記録を続けたことによる収穫だと思います。
さらに、入門レベルの参考書は独学の継続にとても適していると実感しました。
というのも、知っている多くの事柄のなかに知らない事柄があるため、流れのなかですんなりと理解できたからです。これは、単なる丸暗記では実現できないこと。ですので、教材を選ぶ際は、実際に中身を見て「自分には簡単だ」と思ったものを選ぶのがおすすめですよ。
また、独学をした日は勉強記録を蛍光ペンで塗っていきました。自分の頑張りが可視化され「明日もやろう!」とモチベーションアップできますので、ぜひおすすめしたいです。
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今回は、独学継続のコツを3つご紹介しました。挫折しやすい筆者も、「この方法なら続けられる!」と自信をもてるようになりましたよ。ぜひ、試してみてくださいね。
東洋経済オンライン|東大生明言「紙の手帳使うと学力が劇的向上」の訳
ログミーBiz|「努力は報われる」のではなく、「正しい努力は報われる」現役東大生が解説する、努力のための3つの軸
新R25|シゴトも人生も、もっと楽しもう。「すべての結果を数値化する」「仲間を見つける」元東大生が教える”独学”のコツ4選
STUDY HACKER|時間をかけずに「理解+記憶」するための2つの勉強法。世界記憶力グランドマスターが教えます
ZUU online|科学的に脳の力を120%引き出す! 勉強量を増やす2つの方法
橋本麻理香
大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。