「やる気はあるのに後回し」な人が今度こそ勉強を始められる方法。○○するのは逆効果!

勉強を後回しにしている女性

「資格を取得したくて参考書を買ったのに、結局ほとんど開いてない……」
「『勉強しなきゃ』という気持ちはあるのに、机に向かう気にならない……」

こんなふうに、「やる気はある」のについ勉強を後回しにしてしまう……なんてお悩みはありませんか? 

今回は、そんな心理が働いてしまう原因と、その対策について紹介します。集中して勉強ができるよう、ぜひ参考にしてみてくださいね。

【ライタープロフィール】
髙橋瞳
大学では機械工学を専攻。現在は特許関係の難関資格取得のために勉強中。タスク管理術を追求して勉強にあてられる時間を生み出し、毎日3時間以上勉強に取り組む。資格取得に必要な長い学習時間を確保するべく、積極的に仕事・勉強の効率化に努めている。

「やる気はある」のに勉強を始められない理由

「勉強したいという気持ちはあるのに、つい後回しにしてしまう……」と悩んだ経験が多くの人にあるでしょう。私たちはなぜこのように悩んでしまうのでしょうか? 

ケンブリッジ大学大学院で心理学を専攻し、知能とモチベーションの研究をテーマに修士号を取得した塚本亮氏は、その背景に「現状維持バイアス」があると語ります。

現状維持バイアスとは、変化を避けて非合理的な判断をする心理のこと。私たちは、「何か新しいことをすると損をしてしまうかもしれないという不安から、現状を維持しようとする」のだそう。さらには、

人には「損失を避けたい」という気持ちがものすごく強くあり、「利益」と「損失」の両方が目の前に差し出された場合でも、利益を得ようとするより損失を避けようとする行動に出るほうが多いのです。

(カギカッコ内を含む引用元:東洋経済オンライン|やる気が出ない一日を変える「心理学的な手法」 ※太字は編集部が施した)

とのこと。たとえば、「勉強すれば試験に合格できる」という利益があるのにもかかわらず、 「勉強が無駄になる」という損失を被ることを避けたいと感じてしまうようなことです。

勉強に時間を費やせば、本来なら自由だったはずの時間を削ることになります。また、勉強には安くはない参考書代もかかるもの。そんな “損” をしてまで勉強をする価値があるのだろうかという考えにいたった結果、勉強しないことを選んでしまうのです。

では、どうすればこの心理を避けて、勉強に取りかかることができるのでしょうか?

勉強を後回しにしている男性

勉強を始めるために「まずやるべきこと」とは?

前章では、「新たに勉強を始めて損をするより、勉強していない現状を維持したい」という心理によって、勉強を始められないのだと解説しました。裏を返せば、勉強に取り組むためには、勉強自体を “普段の習慣” にしてしまえばいいのです。

「勉強することを『新しいこと』から『いつも行っていること』に変えてしまうとよい」と語るのは、東北大学加齢医学研究所教授で脳医学者の瀧靖之氏。勉強を習慣化するためのコツとして、「ハードルをぐんと下げること」を挙げています。

最初から「1時間机に向かう」といった目標では、1日目はできたとしても、次の日にまた同じことをするのはハードルが高いでしょう。ですから、たとえば「5分」。それも難しければ、「机の前に座るだけ」でもいいと思います。

(カギカッコ内および枠内引用元:ベネッセ教育情報|習慣化するためには「脳」のクセを利用! 賢い勉強法とは? ※太字は編集部が施した)

いきなり「○時間勉強する」などと大きな目標を立ててしまうと、習慣として身につく前に現状維持バイアスが働いてしまいます。そのため、簡単に達成できそうな目標を立てて毎日実行することで、少しでもいいから確実に勉強する習慣を身につける必要があるのです。

また、前章でお伝えしたように「時間やお金を割いても、意味がなかったらどうしよう」といった損をしたくない気持ちから現状維持バイアスに陥ることもあります。そのような場合の克服方法として、前出の塚本氏は「この心理が働く大本となる『この問題集で成果を出そう』という気持ちを減らすことが大事」だと語っています。

問題集を開くときに 「パラパラと眺めるだけでOK」というような低い目標設定にするのは1つの手です。パラパラと眺めるだけならやっても「損した」という気にはなりませんね。

(カギカッコ内および枠内引用元:前出の「東洋経済オンライン」記事)

「この参考書を使って○時間勉強して、試験に合格するんだ」などと、無理に頑張ろうとするのは逆効果。肩肘張らず、参考書に対する期待値を下げ、ただ眺めるための本だと意識するぐらいでいいのです。そうすれば、「損をするかも……」という気持ちを減らせます。

参考書への期待値を下げている様子

勉強を後回しにしないため「ハードルを下げた習慣化」を実践してみた

ここまでの内容をふまえて、筆者はとことんハードルを下げて勉強を習慣化する方法を実践してみました。仕事終わりにだらだらとスマートフォンを触ってしまうクセがあったので、まずはそのうちの5分間を参考書を眺める時間に設定

ハードルを下げるために気をつけたのは、以下のことです。

  • わからない文章は飛ばす
  • 参考書を開いただけでも成功
  • 読んだ箇所にしおりを挟む
  • 勉強場所は机に限らず、ベッドでもOK

読んだ箇所にしおりを挟むのは、次に勉強するときにサッとページを開けるようにするため。どこまで読んだかわからず、参考書を開くときにページを探すのが面倒で、勉強のハードルが上がるのを防ぐ狙いです。できるだけストレスになる要素を減らすよう考えました。

勉強場所をベッドにまで広げたのは、デスクワークによる腰痛がある筆者にとっては、机に向かうこと自体のハードルが高かったためです。ベッドは本来、勉強に集中するのにいい環境ではないと思いますが、とにかく楽に、快適に勉強に取り組めることを重視しました。

ベッドで勉強する女性

「頑張らない」ことで、勉強習慣が身についた!

筆者の場合、もともと勉強をする習慣はありましたが、仕事で忙しい時期には勉強を後回しにしてしまう日もしばしば……。

しかし、ハードルを下げた勉強を実践し始めて3週間ほど経つと、どんなに慌ただしい日でも勉強しないと違和感を覚えるまでに。スケジュールの都合でまとまった勉強時間がとれない日でも、移動時間にスマートフォンで単語を調べたり、寝る直前に少しだけ参考書を開いたりと、自然と勉強できるようになったのです。

特に有効だと感じたのは、勉強場所を机に限らず、ダラダラすることの多いベッドでも参考書を眺めるようにしたこと。少しでも疲れを感じるとすぐ横になってしまうクセのある筆者ですが、寝ころがりながらも勉強する習慣ができました

寝転がりながら勉強する女性

『小さな習慣』著者のスティーヴン・ガイズ氏が、「習慣にできなかったのは、がんばらないと続けられないほど大変なことをやろうとしたからに過ぎない」と語るように、できるだけ頑張る必要のない習慣にすることが続けるコツではないでしょうか。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|【挫折しない方法】「いい習慣が続く人」がモチベーションを気にしない理由

意外だったのは、スマートフォンを触るなど勉強の妨げになりそうな行動を無理になくそうとしないほうが、勉強習慣が身につきやすかったこと。

最初のうちは「できるだけスマートフォンは触らないようにしよう」「テレビはつけないようにしよう」と意識していたのですが、かえって勉強に集中できなくなったのです。結果的に、動画やテレビをつけたままの “ながら勉強” のほうがストレスなく取り組めました。

もちろん、慣れてきたら余計な雑音がない環境で勉強をするほうがいいでしょう。しかし、もしあなたが勉強をする気にまったくなれないような状態なら、まずは動画などをつけたまま参考書をめくってみるのもひとつの手かもしれません。

まとめると、新しい習慣を取り入れるというより、日常生活に無理なく習慣を組み込むことが後回しにせず勉強する秘訣なのだと実感できました。

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今回はなぜか勉強が後回しになってしまう人が、勉強を始められるようになる方法を紹介しました。なかなか勉強に取りかかれない人は、ぜひ試してみてください。

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