あなたは今、何かに困っていませんか?学校、会社、人間関係。たとえ問題に直面しても解決方法がすぐに思い浮かべばいいのですが、まったく思い浮かばない! どうすればいいのだ! と叫びだしたくなる人も多いかと思います。今回は、そんな難儀な問題解決に役立つ思考方法のひとつである、アナロジー思考法についてご紹介したいと思います。
アナロジー思考法って何?
本などで見かけるアナロジーという言葉。 これは、ある問題を構造的に似ている他の事柄(解決済みの問題など)に結びつけて考えることです。例えば、空を飛んでみたいと思ったとします。そんな時に、飛ぶという点で鳥を引き合いに出して、飛ぶ方法を考えてみること。これがまさにアナロジー思考です。今回は、アナロジー思考を実践方法をより具体的に考えていきましょう。
アナロジー思考理論編
アナロジー思考を実践しようとする時、大きく分けて3つのプロセスを踏んでいくことになります。
1. 解決したい問題Aと似ていそうな解決済みの問題Bを発見します。 2. AとB間に共通する特徴や関係を抽出します。 3. アナロジーの妥当性を評価します。 3で妥当性を評価するので、1は大雑把でも構いません。
アナロジー思考実践編
では具体例を挙げて考えてみましょう。
あなたは営業パーソン。あるサービスを販売してマーケットに広げていきたいと考えています。ところが、なぜかなかなか契約が取れません。お客さんの反応から、どうやら価格に問題がありそうだ、ということまで分かっています。適正だと考えていた価格が、高すぎると思われているようです。
前段の手順に沿って考えてみましょう。
まず、【1. 解決したい問題Aと似ていそうな解決済みの問題Bを発見します。】です。 ここで、例えば「なかなかお客さんの心を突破できない。契約がとれない。」ということから、「小さな穴に大きな球を通過させること。」を考えてみましょう。当然、そのままでは通過しませんね。ここでボールの材質を検討してみます。ボールが硬ければ通過は不可能ですが、スポンジで出来たボールではどうでしょう。一時的に圧縮することで、穴を通過させることができます。
次に、【2. AとB間に共通する特徴や関係を抽出します。】価格をボールの大きさ、マーケットが考える適正価格を穴の大きさというふうに考えてみるのです。こうしてみると、ボールが大きすぎて小さな穴を抜けられないことと、価格が高すぎてマーケットに受け入れられないことは類似しています。
さらに、スポンジのボールを念頭におくと、穴を通るときだけ一時的にボールを小さくすることで、穴を通過することも想像できます。これはつまり、契約時に一時的に価格を下げれば、市場に受け入れられることを示唆しているのです。たとえば、当初の数ヶ月間、キャンペーンとして価格を下げてみるというのはどうでしょうか。その後、価格を元に戻してきちんと利益を確保すれば、そもそも受け入れられないよりずっと良い結果が生まれるかもしれません。
最後に【3. アナロジーの妥当性を評価します。】今回の場合は、入り口で価格を下げるという施策でした。これが正しいことを確かめるには、類似の事例をさらに見てみるという方法を採ることができます。まわりを見渡してみると、契約時に価格を下げるという作戦は、頻繁に見られますね。特に個人向けの契約でよく見られるようです。
***
いかがでしたか。アナロジー思考法はかなり強力な問題解決法の一つです。ぜひ試してみてください。また、アナロジー思考では、学生時代に教わったり体験したりした一見無意味な知識などが役立つ場合が多いものです。知識のリサイクルという意味も込めて使うと良いかもしれません。
・参考文献 岡市廣成・鈴木直人監修 青山謙二郎・神山貴弥・武藤祟・畑敏道編(2014),『心理学概論 第2版』, ナカニシヤ出版,132-134.