「子猫の写真」が効果的!? 生産性を左右する、机の上に置くべき物とダメな物。

あなたの机の上にいつも置いてあるものは何ですか?

これから使う教科書やノートなどの勉強道具、PCやスマートフォンなどの通信機器を常に置いてありますか? それとも、思い出の写真や旅の記念に買った置物を飾っていますか? 逆に、何も置かずキレイなままにしている、という人もいるでしょう。ちなみに私の場合は国語辞典と読みたい文庫本を数冊積んでおり、それ以外のものは作業に合わせて配置しています。

自宅の勉強机や会社のデスクなど、誰にでも自分が普段よく使う机がありますよね。その机に置いてあるもので作業効率が左右されてしまうことがあるのを知っていましたか? 今回は、机に置いて良いものと置いてはならないものを紹介します。

生産性を低下させる物とは?

机の上にスマートフォンを置いている人は、かなり多いのではないでしょうか。

実は、スマートフォンを机の上に置いておくだけでも生産性は低下してしまうのです。別に触らなければ良いだろう、と思う人も多いかもしれませんが、ただ存在するだけでも悪影響があることが下記の研究からわかっています。

テキサス大学が、800人のスマートフォンユーザーを対象に、例え実際に使用していなくてもスマートフォンが身の近くにあるだけでどのような影響を与えるのかを調査しました。

実験では、参加者の中からランダムに選んだ人に対して、下記のいずれかの場所にスマートフォンを置くように指示します。

  • 机の上に画面を下にして置く
  • ポケットに入れる
  • バッグに入れる
  • 隣の部屋に置いておく

その状態で、集中しないと解けないような課題を被験者に与えました。実験の結果、隣の部屋に置かせたグループが最も良い結果を示し、机の上に置かせたグループが最も悪い結果を残したのです。また、ポケットに入れさせたグループとバッグに入れさせたグループは、隣の部屋に置かせたグループよりもやや低い結果を残しています。

このことから、例え集中して取り組まなければならない課題が与えられていたとしても、自分の手の届く範囲にスマートフォンがあるだけで意識がそちらに引っ張られ、脳の認知能力の一部が消費されてしまうことが明らかになりました。

集中して作業をしたいときは、必ずスマートフォンは視界に入らないところにしまっておきましょう。できれば、隣の部屋などすぐに手の届かない場所だとなお良いですね。

生産性が向上する物とは?

それでは、逆に机の上に何を置いておけば、生産性が向上するのでしょうか。答えは、意外なものでした。

広島大学の研究によれば、人間は赤ちゃんや小動物など、可愛いものを目にすると集中力が上昇することがわかっています。実験では、132人の学生を集め3つのグループに分けて、単純かつ集中力が必要な作業を行ってもらい、作業効率や仕事の丁寧さを観察しました。

作業の途中で、動物の赤ちゃんや大人の動物、食べ物の写真などを見てもらい、再び同じ作業に戻ってもらうということを繰り返します。その結果、丁寧な作業が要求されるグループでは、子犬や子猫の写真を見せられると、成犬や成猫の写真を見たときに比べて、作業スコアが44%も上昇したのです。さらに、迅速な作業が要求されるグループでも、動物の赤ちゃん写真を見た後に作業スコアが16%ほど上昇し、作業時間も短くなりました。

このことから、丁寧に作業をすべきときも、そして迅速に作業をすべきときも、子犬や子猫などのかわいい写真を見ることによって、その作業効率が上昇することがわかったのです。

では、なぜ生産性が上昇するのでしょうか? 研究によれば、人間は小動物や赤ちゃんなどの自分より弱い存在の世話をする際、集中力が自然と高まるそう。なぜなら、自分の庇護下にある生物の健康状態や心理状態を注意深く観察していなければ、怪我や病気をさせてしまうからです。

机の上に家族や恋人の写真を飾っている人は散見されますが、子猫や子犬などの小動物の写真を飾っている人はそう多くないはず。しかし今回の実験で、小動物の写真を飾ることで作業の生産性が向上することが明らかになりました。騙されたと思って、皆さんも一度飾ってみてはいかがでしょうか。

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意外とあなどれない、机の上の整理整頓

作業の効率を上げるためにもう1つ大切なことは、机の上の整理整頓。「机の上が整頓されている人は仕事ができる」という言葉があるように、実際、机の上がきれいに整頓されている人は生産性が高いのです。

例えば、試験で出たある問題が解けなかったとします。特に何も考えていなかったのに、その日の夜に、ふと答えや解法が浮かんできた経験はありませんか?

これは、脳にある潜在意識という概念によって起きたことです。潜在意識はどんなに集中していようと必ず稼働しており、先ほど挙げた例のように試験が終わった後も未だにそのことについて脳がメモリを使っていた、ということになります。

では、仮に机の上が散らばっていたらどうでしょうか? 潜在意識は、「ペットボトルがある、お茶飲みたいな」、「昨日の会議の資料だ、読み込まなきゃ」、「そろそろボールペンのインクが切れそうだ」など、作業と関係のないところで、さまざまな活動をしてしまうのです。

つまり、作業をしている際は極力“潜在意識”という脳のメモリの余計な活動を減らす必要があり、そのためには情報が最も多く入ってくる視覚からのインプットを減らさなくてはいけません。

「机の上が整頓されている人は仕事ができる」という言葉の裏には、このような理論が隠れているのです。

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たったこれだけで作業効率が上がるなら、試してみる価値はありそうですね。仕事でスマートフォンを使うことがある人は、子犬や子猫のかわいい写真、机の上の整理整頓だけでも導入してみるといいかもしれません。

(参考)
Adrian F. Ward (2017), “Brain Drain: The Mere Presence of One’s Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity,” Journal of the Association for Consumer Research 2, No. 2, pp. 140-154
Medical Press|The mere presence of your smartphone reduces brain power, study shows
Hiroshi Nittono(2012), “The Power of Kawaii: Viewing Cute Images Promotes a Careful Behavior and Narrows Attentional Focus,” PLoS ONE Vol. 7, No. 9, e46362.

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