学校でのいじめ、職場のパワハラなど、人間関係のトラブルは尽きません。現在でも退職理由ランキングのトップ3に二つも「人間関係」の悩みがランクインするほどです(リクナビNEXT|退職理由のホンネランキングベスト10)。

その一方で私たちは、愛する伴侶を見つけたり、親友を得たりすることができます。電車で席を譲られたり、見知らぬ人に助けられたりして、人の温かさに触れることだってあるのです。

人間関係は、私たちを悩ませる一方で、晴れやかな気分にしてくれることもあります。ならば、暗い人間関係だって、私たちの工夫次第で明るく変えられるはずです。今日は、あなたの人間関係を明るくするための方法をご紹介しましょう。

近ければ、仲良くなれる。「近接性」

2人の人が友達であるかどうかを予測する唯一の、そして最良の要因は、近接性、あるいは彼らがどれくらいの距離にすんでいるかであるという。

(引用元:スーザン・ノーレン・ホークセマ,バーバラ・フレデリックソン,ジェフ・ロフタス,クリステル・ルッツ著,内田一成訳(2015),『ヒルガードの心理学 第16版』,金剛出版.)

『ヒルガードの心理学』でこう紹介されている通り、私たちは(物理的な意味で)近くにいる人と仲良くなりやすいといいます。

いやいや、近隣トラブルだって起きるし、夫婦喧嘩なんて日常茶飯事じゃないか、物理的に距離が近いからといって、仲良くなれるわけでもないだろう。そう反論する人が、いるかもしれません。

そうですね。それも正解です。ある実験では、被験者とサクラを、実験室で一定時間待機させました。サクラがはじめに「好ましい」応対をした場合には、サクラが近くに座るほど、被験者は好ましい印象を抱きました。一方で、サクラがはじめに「気を悪くさせる」応対をした場合には、サクラが近くに座るほど、被験者は悪い印象を抱いたのです。

物理的な近さは、単にプラスの印象を与えるわけではありません。プラスだろうがマイナスだろうが、その印象を強化させる役割を持つのです。近隣トラブルも、夫婦喧嘩もこれで説明できますね。相手が近くにいればいるほど、嫌悪感もイライラも強くなるのですから。

逆に、愛情や友情も、相手が近くにいれば強化されます。そう、物理的な距離が近い人には、優しくするべきなのです。隣人愛を説いたキリストの教えは、2000年の時を経た今、科学的に立証されたと言えるでしょう。

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なじめば、仲良くなれる。「単純接触効果」

物理的な距離だけでなく、接触する回数も重要です。

ある実験では、被験者に知らない人の写真を一定の回数見せた後、どのくらい魅力的に感じるかを質問しました。すると、その写真を多く見た被験者の方が、その人物をより魅力的に感じたのです。赤の他人でも、見たり、聞いたり、会ったりする回数が増えれば、愛着がわき、魅力が増す。

これを「単純接触効果」とよびます。私たちは友人に会う時、仲が良いから頻繁に会うのだと感じます。しかし、実際はその逆なのかも。頻繁に会うからこそ、親しくなるのかもしれないですね。

相手が目を逸らしたのは、あなたが目を逸らしたから。

ではなぜ、私たちの世界には争いが絶えないのでしょうか。隣人同士のいがみ合い、隣国との戦争、はたまた学校でのいじめ。近くにいるのに、馴染んでいるはずなのに、なぜ人は争い、人に白い目を向け、後ろ指を差すのでしょうか。

それは、互いに「あいつは俺を嫌っている」と勘違いしているからです。

初めはちょっとしたきっかけだったに違いありません。気恥ずかしさから目を逸らした。なんとなく機嫌が悪かったから、そっけなくした。別に相手のことを嫌っているわけではなくとも、こうしたわずかな嫌悪感は、相手が身近な存在であるほど「近接性」によって増幅されます。

なんだあの態度は、もう知らない。あんなやつのそばにいれるか。いい加減にしろ、もう絶交だ。そして一度その人から離れてしまえば「単純接触効果」は薄れていきます。接触するだけで、単に会うだけで、好感度は上昇するはずなのに、些細なきっかけで印象が悪化し、互いに悪いイメージを抱き、時にそれが意地悪や嫌がらせにつながってしまうのです。

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相手に近づき、目を合わせよう。

ですから、みなさんに提案があります。もし相手にそっけない態度を取られた時。相手に不審感を抱く時。初対面の相手が妙にヨソヨソしい時。

そんな時は、自ら相手に近づき、目を合わせて、笑顔で喋りかけましょう。

迷惑がるかも、とか、自分と関わりたくないかも、とか、細かいことは気にしなくていいのです。相手も同じことを考えているのですから。繰り返しになりますが、人間は、物理的に距離の近い相手に好ましい応対をされれば、好ましい印象を受けます(近接性)。それを繰り返されれば、自然と好意を抱きます(単純接触効果)。

もしその時冷たい応対をされても、それは単に人見知りか、機嫌が悪かっただけのこと。心の中では、きっと好ましい印象を抱いています。

気まずいから、話しかけにくい。恥ずかしくて、目を合わせられない。

そうですね、そう感じるのは、当然のことです。ですが、相手か自分、どちらかがそのハードルを越える必要があります。それなら、自分で越えてしまいましょう。そうすれば、人間関係における負の連鎖は断ち切られるはずです。

***

相手に目を逸らされた時、先に目を逸らしたのは、ひょっとするとあなたの方かもしれません。そんなつまらない勘違いのせいで、人間関係に亀裂が生じるのはあまりにもったいないことです。あなたが変われば、人間関係は変わります。ちょっとだけ勇気を振り絞って、笑顔で声をかけてみましょう。

参考
スーザン・ノーレン・ホークセマ,バーバラ・フレデリックソン,ジェフ・ロフタス,クリステル・ルッツ著,内田一成訳(2015),『ヒルガードの心理学 第16版』,金剛出版.