普段何気なく口にする「目標」という言葉。

「お正月に1年の目標を立てる」であるとか「今期の目標を立てて上司に提出する」など、仕事でもプライベートでも、目標を立てる場面はたくさん存在します。みなさんもこれまで幾度となく、目標を立ててきたのではないでしょうか。

しかしその目標、今まできちんと達成してきましたか? あるいは達成できなくとも、目標達成のための行動をしっかりとることはできていたでしょうか?

「今年は運動を習慣にする!」と決めたのに、結局続かなかった。「○○資格に合格する!」と意気込んだけど、達成にはいまだ程遠い。といったように、目標を決めてもいまいち実現性がない、というのは多くの人が悩むところだと思います。

目標を立ててもそれが実現できないのは、目標の立て方に問題があるかもしれません。このコラムでは、実現できる目標を立てるコツを具体的に見ていきましょう。

目標には2種類ある

目標といっても、いろいろな表現の仕方があります。私たちが立てる目標は、大きく分けて2つに分類することができるって知っていましたか。

それは、定量的な目標定性的な目標です。いくつか例を挙げてみましょう。

定量的目標
・TOEICで830点取る
・3キロ痩せる
・自己ベストを10秒縮める

定性的目標
・リスニング力を鍛える
・甘いものを控える
・持久力をつける

これを見てわかるように、定量的目標は数値や量が具体的な目標であるのに対し、定性的目標は方向性を指し示す道しるべとなる目標です。

みなさんが普段立てる目標は、どちらに近いでしょうか? 時と場合によるかもしれませんが、定量的な目標を立てることが多いな、という人がいる一方で、いつも定性的な目標を立てて行動している、という人もいるでしょう。

でもここで大事になるのは、どちらか一方のタイプの目標を立てるのではなく、定量的・定性的の双方を併せ持った目標を立てることなのです。

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目標設定は、定量的側面と定性的側面のバランスが大事

定量的な目標だけを持っていてもだめ。定性的な目標だけでもいけない。これはいったいなぜなのでしょうか。

それは、定量的な目標と定性的な目標には、どちらにも一長一短があるから。2つを組み合わせることで、短所を補いながら長所を生かした目標を立てることができるのです。

定量的な目標を設定すれば、確かに目標ラインは明確になります。しかし、大局的、長期的なビジョンに欠け、すぐ先のことに目が行きがち。そのためモチベーションを失いやすいという欠点があります。

一方定性的な目標は、どんな風になりたい、何をするべき、といったイメージは持てていても、具体性に欠けます。そのため、やる気を継続することが難しくなってしまう可能性があるのです。

これまで何度も目標を立ててきたけれど、いつも失敗してしまう。その原因は、もしかしたら、定量的または定性的、どちらかに目標のタイプが偏っていたからなのかもしれません。

そして、その失敗を防ぐために、定量的目標で具体的なゴールを明確にし、定性的目標でどうなりたいのか、何が必要なのかを考えることができれば、目標までの道筋が見えてくるのです。

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5W2Hに当てはめるだけで、目標達成までの道筋ができる

定量的な側面と定性的な側面の両方を考えて目標を設定したら、最終目標と行動指針が明確になります。そうしたら、あとは、「5W2H」にのっとって、目標達成までの具体的な道筋をつけていきましょう。5W2Hとは「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)、どのくらい(How much/How many)」の6つの要素です。

5W2Hを考えるのは、必ず、定量的・定性的な形で目標を定めてからにしてください。そうでなく、いきなり5W2Hから考えようとすると、何を目標にしていたんだっけ、と最終ゴールを見失うことがあります。

5W2Hを考えることがなぜいいかというと、枠にあてはめて考えることで重要なところを落とさず、漏れのないようしっかりと計画を練ることができるから。骨格がちゃんとしていれば、達成自体が困難になるような脆弱な目標にはなりません。5W2Hなんて当たり前のことを、と思う人もいるかもしれませんが、基礎の基礎だからこそ大切なことなのです。

例:理想的な目標の立て方

では、具体的な例を見ながら、今回お伝えしている目標の立て方をおさらいしてみましょう。

あなたはある会社の営業チームの一員で、取り扱っている商品(若者向け文具)の売り上げ増に向けて、社内で打ち合わせをすることになりました。会議の前に自分なりの目標案を考えておくという設定で、以下見ていってください。

仮に「売り上げを10%増やす」という目標を立てたとします。しかし、これでは不十分で、良くありません。定量的な要素しかないからです。売り上げ10%増という定量的なゴール地点は示せているのですから、これに具体的な方向性を示す定性的な要素を加えましょう。

「経費を削減する」「商品を改良する」などいくつか方向性はあると思いますが、今回は「営業に力を入れる」という方法で「売り上げを10%増やす」ことを考えることにしましょう。このように定性的な要素が加わることによって、「営業先を増やす(若者が好む店をもっと開拓する)」「広告を出す(若者に人気のあるタレントを起用する)」など具体的な方法が見えてきますね。

最後に、目標達成までの道筋を明確にするために、5W2Hに当はめてみます(順序は文脈に合うように変えています)。

When 半年以内に
Where 若者向け文具市場で
What 売り上げを
How much/many 10%
Why 増やすために
Who 営業チームが一丸となって
How 営業先を増やしたり、広告を出したり……する。

このように5W2Hを意識すれば、抜かりのない目標設定ができますよ。気づいた人もいるかもしれませんが、2Hはそれぞれ、定量的(How much/many)、定性的(How)な要素。5W2Hを考えることは定量的、定性的な要素をちゃんとおさえられているかを確認するためにも有効なのです。

***
実現できる目標の立て方について紹介しました。定量的目標と定性的目標について、普段から違いを意識できていたという人は少ないのではないでしょうか。これからは、定量的な目標が思いついたら定性的な要素を、定性的な目標を思いついたら定量的な要素を加えていってください。少し意識するだけで、終わりも方向性も見えるいい目標になるはずですよ。

目標達成にはしっかりした目標設定が不可欠。コツをつかんで実現できる目標設定のプロになりましょう。

(参考)
松橋良紀著(2011),『あなたも必ず実現できる! 目標設定の鉄則』,マガジンハウス.
堀公俊著(2013),『ビジネス・フレームワーク』,日本経済新聞出版社.