生産性が上がると時間ができるのではなく、時間がないから生産性があがるのだ。

時間に余裕を持ってやっておいた方が良い、と頭では分かっているのに、締め切りギリギリにならないとできない。 次こそはちゃんと計画的に前持ってやろう、と決意したのにまたギリギリで仕上げることを繰り返してしまう。

このように、いつもギリギリにならないと課題に取り組めない、と悩んでいる人は多いのではないでしょうか?

しかし、その行動は生産性向上の観点から合理的とも言えるのです。今回は、時間と生産性の関係についてお伝えします。

時間がないと生産性が上がる

締め切りが近づいて作業を始めた、という経験は誰しもあるでしょう。 時間に余裕を持って終わらせた方が楽だ、と思っているのに、なぜ同じことを繰り返してしまうのでしょうか?

それは「時間がない」と感じると、生産性が上がることを脳が経験的に知っているからなのです。

「時間が限られている」と感じると否が応でもそのことだけに集中しなければならなくなります。時間があるときには「まだ余裕があるからいいだろう」と他のことに費やしていたエネルギーや時間を、時間がないときに集中的に目の前の期限が迫っている課題に費やすようになるので、高い生産性を発揮しやすいのです。

また、課題の締め切りまでまだ時間があるときには、「あれもやりたい」、「これもやった方がいいな」と思考が散漫になりがち。もちろん、それはベストな形で仕上げるにはどうしたらいいかを考えているからこそ起きることなので、決してとがめられるべきことではありません。

しかし一方で、時間がないという焦りが、短時間で終わり、最低限の質も確保できる最短ルートを探す原動力となるため、時間がないときの方が効率も生産性も上がるといえるでしょう。

生産性は上げようとすると出てくるデメリット

「時間がない」と思うことによって生産性や効率が向上することがわかったので、予定を詰めたり、やるべき課題を多くすることで、意図的に自分を時間がない忙しい状態に追い込むことは効果的だといえます。

しかし、これには生産性が上がるというメリットがある反面、デメリットがあるのです。

それが行動経済学でいうところの「トンネリング」です。

トンネリングとは、トンネル内にいると、外が見えないように何かに集中している時に、ほかのことをほったらかしにしてしまうこと。視野狭窄に陥り、ほかのことに注意がいかなくなって失敗したり、忘れてしまうような状態となります。

(引用元:NHKオイコノミア|おさらい又吉

つまり、取り組んでいる課題に集中しすぎるあまり、それ以外の部分で時間に余裕があるときにはしないようなミスをしてしまう、ということです。

「時間がない」、「早く終わらせないといけない」と焦るあまり、周りのことが見えなってしまいます。

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前倒しの締め切りを設定することが大切

では、このトンネリングを避けながら上手に生産性を上げるにはどうしたらいいのでしょうか?

トンネリングに陥ってしまうのは、「気を抜いたら終わらないかもしれない」という焦りが強いことが原因です。その強い焦りを抱かずに、時間が限られているという感覚を持つことができれば、トンネリングに陥らず生産性を上げることができるといえるでしょう。

そのために大切なのは、課題に対して自分で前倒しの締め切りを設定することです。「締め切りはこの日だけど明日までに絶対に終わらせよう」と自分で決め、それを守ることで効率的かつ集中的に取り組むことができ、高い生産性を発揮することができます。

前倒しの締め切りなので過剰な焦りを抱かずに済むだけでなく、余裕を持って終わらせることで有能感が得られ、精神的にも良いことだらけです。

*** ただ締め切りのギリギリまで待つことで時間のない状態に自分を追い込むのではなく、自分で前倒しの期限を設定することが最も賢く生産性を上げる方法といえるでしょう。

今まで締め切りギリギリになって焦っていた、という人はぜひ試してみてください。

(参考) NHKオイコノミア|おさらい又吉 東洋経済ONLINE|惜しい!ただ忙しいだけで終わる人の「盲点」 S.ムッライナタン、E.シャフィール(2015年),いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学,早川書房

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