落ち込んだとき、無理にポジティブになろうとしたことはありませんか?
例えば、仕事で失敗した後に飲み会で過度にはしゃいだり、失恋した後に周りに気を使わせたくなくて虚勢を張ったり……。確かに、生産性が3割向上するなど、ポジティブになることで私たちが得られるメリットは多くあります。しかし無理にポジティブになろうとすると、すごく疲れますし、かえって最初よりも落ち込んでしまいかねないのです。
実は落ち込んでいるときには、無理にポジティブに振る舞おうとするのではなく、一度、ネガティブでもポジティブでもない感情、つまりいつもの自分に戻ることを意識するとよいのだとか。ポジティブに過ごしたほうが早く立ち直れそうなのに、どうしてなのでしょうか? 今回は、落ち込んだときの立ち直り方について考えてみます。
落ち込んだときは「無感情」を意識する
落ち込んだときには、感情をネガティブでもポジティブでもない状態にすることが大切。そのように語るのは、インドで仏教について学んだ、独立派の出家僧である草薙龍瞬さんです。
マイナスの感情を癒す秘訣は、驚かれるかもしれませんが、「感情のない状態をとりもどす」ことなのです。 つまり、怒りも喜びもない“ニュートラルな”精神状態――ここに戻れるようになったら、心は劇的に健康になります。
(引用元:東洋経済ONLINE|心が強い人は「無感情」を習慣にしている)
私たちの感情は、快・不快・ニュートラルの3つの状態に分類できます。中でも不快と快の感情は対極にあるので、不快から快の感情に変化させるには大きな労力を要します。例えば、仕事でミスをして落ち込んだ日に、飲み会でパーッとはしゃいだり空元気を出したりすると、帰宅後や翌日はいつもよりも疲れてしまいますよね。時には、さらにネガティブな気分になってしまうこともあるのではないでしょうか。
したがって、落ち込んだときは一度中間にあるニュートラルな感情に戻るほうがよいのです。ニュートラルに戻ることができれば快へ移りやすくなるため、また次の挑戦に向かうことができるでしょう。
本田圭佑選手の落ち込んだ時の立ち直り方
現在イタリアの名門サッカークラブであるACミランに所属する本田圭佑選手は、これとよく似た方法で立ち直っています。テレビなどで見かける本田選手は、常にビッグマウスな発言をしたり率直な意見を監督にぶつけたりしていて、自信満々で不安など全くないかのように見えます。しかしそんな本田選手でも、やはり落ち込んだり傷ついたりすることはあるのだそうですよ。
本田選手は、落ち込んだ時には自分の感情を多方向から捉えることで立ち直っているのだと言います。
何か自分が落ち込むことがあったときに、ちょっと待てよと。自分ばっかり不平等なことが起こっていると思っていていいのかと。あの人だって辛いことがあるんじゃないかとか。傷ついていいんだけど、落ち込んでいいんだけど、引きずらずに自問自答して欲しい。もしかしたら、ちっぽけなことなんじゃないかなと。
(引用元:YAHOO!JAPANニュース|「毎日落ち込んでるよ」本田圭佑、苦境でも諦めない生き方)
落ち込んだ時、最初に行うことは「大丈夫。次があるのだから頑張ろう!」と無理やり気分を高揚させることではありません。まずは客観的に自分の感情を捉え直すのです。そうすることで、落ち込んだ気持ちを脱してニュートラルな感情に戻ることができます。すると、冷静になって行動することができるようになるのです。
自分の感情を多面的に捉えるためのトレーニング方法
本田選手が自分の感情を多角的に捉え直すことができるのは、自分を多面的に捉えるトレーニングをしてきたからなのだそう。
多方向から物事を見るということが、トレーニングで身についている。これは誰でも身につけられること。
(引用元:同上)
では、具体的にどのようなトレーニングをすればよいのでしょうか。
『THE21』2013年8月号の中で、エコノミストの浜矩子さんは、簡単にできるトレーニングとして「新聞の見出しを見てそれが本当かどうか考えてみる」という方法を紹介しています。「自分よりも裕福な人だったら、このニュースをどのように捉えるだろうか?」「自分とは違う性別の人は、このニュースをどう考えるだろうか?」などと、考える立場を変えてみることがポイントですよ。
こういったトレーニングを重ねれば、きっと自分の感情も多角的に捉えることができるはずです。そうすれば、落ち込んでもすぐに立ち直ることができますよ。ぜひ試してみてください。
(参考) 東洋経済ONLINE|心が強い人は「無感情」を習慣にしている YAHOO!JAPANニュース|「毎日落ち込んでるよ」本田圭佑、苦境でも諦めない生き方 MEN-ZINE|物事を違った角度で見れるようになる5つのトレーニング法 PHP Online 衆知|[1分で「考える技術」] 思考力を磨く4つのポイント TED|Subtitles and Transcript