チームワークを良くしたい、大会で良い成績を残したい、イベントを成功させたい、旅行の行き先の意見を合致させたい。思っている以上に、私たちの日常は解決すべき問題で溢れています。もし自分に、こうした問題をスムーズに解決できる能力があったら、毎日がもっと良いものになると思いませんか?
問題解決能力があれば、自分で主体的に考え、決断し、行動することができます。壁に直面してもすぐにはあきらめず、自分の力で乗り越える。夢や目標を見つけたら、才能と情熱が許す限り、実現する可能性を高めていく。(中略)これは持って生まれた才能ではなく、「癖」なのです。自分の力で考え、行動するという経験を積み上げていくと、「考え抜く癖」「前向きな姿勢の癖」がついてきます。
そんな夢のようなスキルを、世界一やさしく解説してくれるのが、今回紹介するこちらの本です。
『世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく』
渡辺健介著 ダイヤモンド社 (2007/6/29)
(記事中の引用は全て本書より)
著者の渡辺健介氏が、米国系コンサルティング会社で鍛え上げられた問題解決能力を、中高生にもわかるように解説しています。その内容は、中高生だけでなく大学生や社会人にももちろん役立つものですし、読み応えもありますよ。では、その内容を紹介していきましょう。
身近な例で親しみやすく、誰が読んでも分かりやすい!
本書は、授業になぞらえた「3限」構成から成り、まず1限目で問題解決能力とは何かを解説した後、2限目と3限目では実際の問題の例を挙げて、問題解決の方法を紹介しています。何より嬉しいのは、この例が大変易しく分かりやすいということ! 「世界一やさしい」というだけあって、中学生が読んでも理解できる内容になっています。
2限目では、「キノコちゃん」が学校で開かれる自分のバンドのライブにお客さんを呼ぼうと必死で問題解決に挑みます。3限目には「タローくん」が中古のパソコンを買うために必要なお金の工面に様々な方法で取り組みます。登場人物も親しみやすく、読んでいるだけでも楽しくなってきます。
そもそも問題解決とは?
問題解決とは、ひらたくいえば、「現状を正確に理解し」「問題の原因を見極め」「効果的な打ち手まで考え抜き」「実行する」ことです。たとえば「数学の成績が下がってきた」としましょう。ただ「下がってきた」という現状や現象を理解しただけでは、何も変わりません。どんな問題が解けなかったのか、なぜ解けなかったのか、原因を見極められれば、一歩前進です。
何かを解決したい、いい方向に進めたい。解決すべき問題があると考えたら、まずはその問題を分析することから始めなければなりません。この本では、様々なフレームワークを使って問題を捉える方法を教えてくれます。
部活の例で考えてみましょう。「テニスがうまくならない! なら自主練の時間を増やそう! 」これではいけません。もし、自分の練習スタイルが間違っているのだとしたら、闇雲に自主練の時間を増やすのではなく、先輩やコーチのいる普段の練習で多くのアドバイスをもらうことの方が必要でしょう。まずは、テニスがうまくならないのはどうしてなのか、何が不足しているのかを、きっちり考える必要があるのです。
最適な「打ち手」を決定すること
問題分析が終わったら、何か方策を実行する必要があります。それを考える際に大切なことは二つ。一つは、より多くの「打ち手」を考え出すことです。
すぐ可能性を否定するのではなく、いったんは考えつくものすべてを洗い出してみることです。そこから連想ゲームのように、面白いアイデアが思い浮かぶかもしれないからです。本当に実現できるかどうか、効果的かどうかは、一度アイデアを出し切ってから、優先順位をつけ、絞り込んでいけばよいのです。
そして二つ目は、その中から最も適した「打ち手」を選ぶこと。
筆者が紹介しているのは、効果が高いか低いか、そして簡単に実行できるかできないか、に分けて考えて打ち手を選ぶという方法。効果が高く簡単に実行できるものは、もちろん今すぐやってみるべきでしょう。効果が高いけれど難しそうなもの、これもすぐ諦めてはいけません。人に助けてもらったりアドバイスをもらったりしながら、簡単に行えるかもしれないからです。このように打ち手を分類して、効果が高いものを実行するのが大事なのだとか。
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いかがでしたか? 本書は2007年に日本で出版されたあと、中国、台湾、韓国、アメリカ、イギリス、イタリア、オランダ、スペイン、ドイツ、ベルギー、ブラジル、インドネシア、タイ、イスラエルなど12言語20ヵ国以上で出版されているベストセラー。自分の力で考え抜き、人生を切り開いていくために、ぜひ一度読んでみてくださいね。