勉強に苦手意識がある人にとっては、文字が多いものより、イラストや図が多い学習教材のほうが取り組みやすいのではないでしょうか。筆者も同じです。
その一方では、自ら絵を描いて学ぶことが、理解と記憶を促進すると考えられています。そこで筆者も教材の特性に頼るばかりでなく、絵・図・文字でまとめるノート術の「スケッチノート」で学んでみることにしました。
「スケッチノート」を選んだ理由
イラストや図を用いるノート術のなかには「こ、こんなの描けない……」と感じてしまう、かなり難しそうなものもあります。しかし、文具メーカーのコラムに書かれていた言葉により、「スケッチノート」ならできるかも? と思うことができました。
その内容がこちらです。
スケッチノートに特別なイラストの技術はいりません。厳密な決まりもないので、イラストを描くというよりは「落書きする」という感覚で気軽に取り組んでみましょう。
同コラムによれば、スケッチノートを実践することで情報や思考の整理ができるうえ、理解が進んで要約力も身につくとのこと。
(参考および引用元:Maruman マルマン株式会社|複雑な情報・思考をビジュアルで可視化!「スケッチノート」を始めてみよう)
また、『はじめてのグラフィックレコーディング』(翔泳社)を著書にもつ、UI / UXデザイナーの久保田麻美氏は、スケッチノートの実践で情報が整理されるため、「深い理解と記憶の定着」が促される、と伝えています。
(カギカッコ内引用元:@Living アットリビング|オンライン会議で議論を可視化&活性化!「グラフィックレコーディング(グラレコ)」の実践法)
つまり、スケッチノートは落書き感覚で実践でき、インプットする情報も、頭のなかも整理できて、しかも理解が進んで要約力が身につき、おまけに記憶の定着にも役立つわけです。実践しない手はありませんね。
「スケッチノート」に最適なノートを選ぶ
「スケッチノート」が落書き感覚で自由に描けるノート術なら、その名のとおり、“スケッチブック” に描いてもいいのかもしれません。ただ、罫線がまったくない紙に描くのは、初心者には難しそう……。
そこで、前出の文具メーカー、マルマン株式会社のコラムのなかで “スケッチノートにおすすめ” と紹介されていた、同社の「セプトクルール A5 3mm 方眼罫 100枚」(Amazon , LOFT)を使ってみることにしました。
同ノートは5つのカラーストーリーで展開されているので(5色は定番、ほか限定色あり)、色を選ぶ際に各カラーの色彩心理学 “的” なキャッチフレーズを参考にしてみました。
- Spicy Coral Pink「前向きでいられるピンク」
- Sunny Yellow「おひさまに癒される黄色」
- Crisp White「現実的で無理しない白」
- Comfort Mint「ほっとするミント」
- Spirit Blue「リラックスして集中できる青」
どこからどう見ても、学習に最適なのはリラックス&集中のブルー(Spirit Blue)ですね。それがこちらです。
一見すると異素材の表紙ですが、裏側を見るとわかるように、じつは表紙も “紙”。
樹脂が施されているため、表紙の表面に水滴がついても染み込まないそうです。せっかくなので実験してみました。
おっと、落としすぎたかな?
――安心してください。ちゃんと拭き取れますよ。
ただし、耐水素材ではないとのこと。豪快にこぼすのはやめましょう。
そして注目したいのが、ページ部分に使われている方眼紙。一般的に方眼ノートはイラストや図が描きやすいと言われており、この点はもちろんセプトクルールにも当てはまりそうです。ですが筆者は初めてノートを開いたとき、無地感覚で自由に描けそうな印象をもちました。
なぜなら、セプトクルールは小さな3mm方眼罫なので、罫線の輪郭が主張しすぎていいないからです。セプトクルールの紹介ページに「思い通りに描ける3mm方眼罫」と説明されているとおり、うっすら印刷された小さな方眼罫の存在は、とても控えめ。それでいて実際に無地ではないため、さりげなく書き手を誘導してくれそうな “しっかりもの” といった感じです。
なおかつ、なめらかで手触りのよい用紙が100枚も入っているので、思いっきり気持ちよく書けそうです。
(参考およびカギカッコ内引用元:Maruman マルマン株式会社|セプトクルール - 触り心地がよく、水にも強い丈夫なノート)
「スケッチノート」で勉強してみた
では、さっそくスケッチノートで勉強してみましょう。前出のマルマン株式会社のコラムによれば、スケッチノートを構成するのは、
- イラスト(描き込んでも、簡単なものでも、どちらでも)
- アイコン(瞬時の把握を助ける)
- フレーム(枠で強調したり仕分けたり)
- 区切り線
- 矢印
- バレットポイント(箇条書きの先頭に入れる印)
- 変化をつけたテキスト(太くしたり影をつけたり)
――といった要素とのこと(参考元:Maruman マルマン株式会社|複雑な情報・思考をビジュアルで可視化!「スケッチノート」を始めてみよう)。
それらに留意して、2008年と2018年にそれぞれ発表された研究を、スケッチするようにまとめてみました。
(ノートのなかの参考元:向かって左は 越智啓太著,小坂香織著(2008),「描画による日常記憶の想起促進」,法政大学文学部,法政大学文学部紀要,57,pp.83-90. / 向かって右は Sage Journals|The Surprisingly Powerful Influence of Drawing on Memory)
じつは上記にまとめたふたつの研究は、いずれも「学習の際に絵を描くと、記憶が強化される」と示されたものです。
これらを書いたあと、ノートを閉じて、目も閉じて、書いた内容を思い起こしてみたところ……、たしかにすぐ思い出せるのは、文字ではなく絵や印象的なフレームや区切り、矢印など(それらの空間、位置関係含め)でした。
逆に文字だけの部分は、ぼんやりと霧がかかった感じ。もっともっと、イラストや図を使って表現するべきですね。
ただ、スケッチするように勉強するのは、想像以上に難しいかもしれません。鍛錬が必要だと感じました。
というのも、マルマン株式会社のコラムにも書かれていたように、情報をイラストや図に落とし込んでいく作業には、要点の把握、情報および思考の整理、理解がともなうからです。つまり、「情報→→→イラストや図」の矢印部分に、それらがすべて含まれているということ。要約力が身につくのは当然ですね。
今回使用した3mm方眼罫のノート(セプトクルール)は、少々、リング部分が手に当たって気になりましたが、イラストや図は描きやすく、まだまだ枚数も残っているので、もっとスケッチノートで勉強してみようと思います。
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文字ばかりでなく、時にはイラストや図を描きながら勉強してみるのも効果的ですよ。勉強に苦手意識があるなら、ぜひスケッチノートを試してみてください。自分にとってより学びやすい方法が見つかるといいですね。
@Living アットリビング|オンライン会議で議論を可視化&活性化!「グラフィックレコーディング(グラレコ)」の実践法
Maruman マルマン株式会社|複雑な情報・思考をビジュアルで可視化!「スケッチノート」を始めてみよう
Maruman マルマン株式会社|セプトクルール - 触り心地がよく、水にも強い丈夫なノート
越智啓太著,小坂香織著(2008),「描画による日常記憶の想起促進」,法政大学文学部,法政大学文学部紀要,57,pp.83-90.
Sage Journals|The Surprisingly Powerful Influence of Drawing on Memory
STUDY HACKER 編集部
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