「ちゃんと勉強したいし、仕事もしっかりやりたい。でも、この両立って本当に可能なのだろうか……?」
――はい、スキマ時間をうまく利用すれば、十分に可能なはずですよ!
まずは、できるわけがないという思い込みを捨て「両立は可能だ」と考えること。そのうえで、小さなスキマ時間を使い、ギッシリと身が詰まったインプットとアウトプットを繰り返せば、うまくいきます。筆者の実践を交えてお伝えしましょう。
スキマ時間に「小さく入力」する
忙しくて時間がない。仕事だけでもうクタクタ……。そんなビジネスパーソンが、仕事と勉強の両立に不安を覚えるのは当然です。でも、インプットの時間が極端に短くてもいいのであれば、その不安は少し薄まるのではないでしょうか。
京都大学に首席で合格した経験をもつ、教育系事業を手がける実業家の粂原圭太郎氏によると、数分もしくは数十秒でも本から知識は得られるそうです。その際には、「そんなこと絶対に無理」といった “思い込みの壁” を外すといいのだとか。極端に短いスキマ時間でも、情報を手に入れられると認識することが大事とのこと。
そうして、たとえば “2~3分で本やテキストを読む” などを繰り返していけば、徐々に精度が高まり、短い時間の使い方も洗練されてくるそうです。*1
スキマ時間に「小さな出力」を繰り返す
スキマ時間の有効活用については、アウトプットにおいても同じことが言えます。頭に入れた情報について話す、書き出す、発信する、思い出そうとする作業を、スキマ時間に繰り返し行なうのです。
たとえば明治大学文学部教授の齋藤孝氏は、頭に入れた知識をちゃんと回転させ、しっかりと生かす黄金比率は「インプット1:アウトプット9」だとして、以下の練習を提案しています。*2
- 本を数ページほど読んだらその内容について周囲に語るなど、小まめにアウトプットする。
- 古典にあるような1行ほどの言葉に対し、自分の考えを整理して周囲に語ったり、SNSで発信したりして、何倍もアウトプットする。(古典は練習に格好の材料とのこと)
これらを参考にすると、スキマ時間に本・テキスト・参考書などを少し読むごとに、そのあとのスキマ時間で誰かに語る、SNSで発信するなどを繰り返せば、知識が生きてくるのではないでしょうか。
また、スタンフォード大学オンラインハイスクール校長の星友啓氏によれば、自分の頭だけで記憶を取り出そうとすること、つまり、ノートや教科書を見ずに思い出そうとする勉強法は、長きにわたる研究で高い効果が確認されているそうです。そして、これに当てはまる「テスト」が、記憶の定着には有効だと伝えています。*3
それならスキマ時間にミニテストや、思いつくままに書き出す作業、頭のなかで思い出そうとする作業を、繰り返し行なってもいいわけです。
スキマ時間に「小さな入力と出力」を繰り返してみた
筆者も前項の内容を受け、仕事と勉強の両立は不可能ではないと考えるようになりました。そこで試しに小さなインプットを行ない、アウトプットを繰り返してみましたよ。
まずは、5分間で2,700文字程度の文章を頭に入れ、合間に仕事などを行ない、そのあとでインプットした内容を思い出しながら、5分間で書き出してみます。
数時間ほど仕事をして、再び頭のなかの記憶を引っ張り出しながら書き出します。
そして、ちょっと答え合わせを……。赤字で追記したり、バツをつけて正しい内容に書き直したりしています。*9
あれ、意外と記憶違いがありましたね。でも、肝心なところはしっかりと覚えられました。
ただ――
仕事で日々たくさんの資料を読んでいるので、これに勉強のインプットも重なると、頭が疲れてしまう気がします。じつは、今回の試行をする前にも仕事の資料をたくさん読んでいたので、少し疲れてしまいました。
短い時間で集中的にインプットしようとすると、一時的に脳への負担が高まるのかもしれません。習慣的にスキマ時間勉強を行なうのであれば、脳の負荷を軽減する方法も考えておくべきですね。
仕事と勉強を両立させるため、脳の負荷を軽減するコツ
負荷を軽減する方法といえば、AIの活用を思い浮かべる方も多いでしょう。
たとえば最近は、ChatGPTで特定の情報を調べることができ、国内外の研究論文も簡単に見つかるので、以前に比べ情報収集がだいぶ楽になりました。これもひとつ、働きながら勉強する際の負荷を減らすコツではないでしょうか。
ただ、ChatGPTの返答には不正確なものも含まれるといいます。筆者は先日、仕事で専門的な長文を読まなければならなかったとき、忙しかったのでChatGPTに要約を頼んだものの、結局自分で内容の真偽を確かめるため、すべて読み直す羽目になりました。
このような状況を避けるためには、良質な信頼できるサービスを利用し、情報収集やインプットの負荷を減らすのも、ひとつの手かもしれません。個人的には、毎日利用できそうな以下のニュースアプリやビジネス情報サイトなどがよさそうに感じたので、概要を記しておきましょう。
- 【SmartNews+】(iOS/Android)
SmartNewsの有料サービス。国内外35以上のメディア(ダイヤモンド・プレミアム、現代ビジネスプレミアム、The New York Times、THE WALL STREET JOURNALなど)やコンテンツパートナーから厳選した会員限定記事が読み放題。ニュースの深掘りや詳細な解説記事も素早く読めるように要約した「30秒ブリーフィング」がある。英語学習コンテンツも拡充しており、期間限定で初月無料と月額購読料が980円(通常1,480円)に割引となるキャンペーンを実施している。*5 - 【NewsPicksプレミアム】(iOS/Android)
NewsPicksの有料版。もともとNewsPicksは厳選した経済ニュース等に有識者らのコメントや解説を加え、読者が深く理解できるよう促してくれる。*6
有料会員になるとそうしたすべての記事や、ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、海外メディアの翻訳記事が読み放題、動画も見放題になる。*7
有識者らの考えを聞けるのはとても参考になる。 - 【日経ビジネス電子版】(iOS/Android)
読者層はマネジメント層中心のビジネスパーソン。*8
人気特集を図表入りで要約した「5分で分かる人気特集」がある。それを含め有料会員はすべてのコンテンツが閲覧可能。*9
このメディアを知らないビジネスパーソンはいないかも。
やはり、有料版はそれなりに大きなメリットがありそうです。いまのところ筆者が取り入れているのは無料版だけなので、今後は有料版も試してみようと思います。
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仕事と勉強をしっかり両立できる人は、スキマ時間の使い方がうまく、同時に負荷を減らすことも上手なのかもしれませんね。いずれにせよ、仕事と勉強の両立は、無理なことではないはずです。この記事が、仕事も勉強もちゃんとやりたい方の不安を、少しでも取り除けたら嬉しいです。
*1 PRESIDENT Online|京大首席が実践する10秒で本を読む方法
*2 ダイヤモンド・オンライン|「インプット1:アウトプット9」の黄金比率を実践してみよう
*3 AERA dot.|スタンフォード大学オンラインハイスクール校長が伝授「あらゆる年代に使える」3つの勉強法
*4 早稲田大学|眼前の友人の存在は心拍数の減少を引き起こす
*5 スマートニュース+|新しいニュース購読のカタチ。
*6 NewsPicks | いますぐダウンロード
*7 NewsPicksプレミアム | 無料トライアル実施中(ノートの中身参考)
*8 日経ビジネス電子版|日経ビジネスとは
*9 日経ビジネス電子版|5分で分かる人気特集
STUDY HACKER 編集部
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