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『はなまるうどん』は全国に約370店舗を展開する大手うどんチェーンです。
このはなまるうどんが展開するキャンペーンが、毎回型破りな「ギリギリ」のキャンペーンで話題を集めています。大企業になるほど斬新なことはしにくい風潮の中、毎回攻めたキャンペーンを実現できるのはなぜなのでしょうか。
今回は、『はなまるうどん』のキャンペーンから、攻めた案を実現するための「伝わる」技術をご紹介します。

はなまるうどんのユニークなキャンペーン

はなまるうどんは、次々とユニークなキャンペーンを行っています。

例えば他社発行の有効期限切れ割引券・金券を持って来れば、300円以上の飲食代金から一律50円を割り引くというなんとも掟破りなキャンペーン。「消費者の約4割が期限切れの割引券などを持っている」という消費者調査の結果がヒントとなり始まったものです。

あるお店のクーポンは全国のそのお店か発行店のみでしか使うことができない、という疑われることもなかったルールをひっくり返したこのキャンペーンは、今まではなまるうどんを利用したことのなかったお客さんを呼び込むことを可能にし、自社でクーポンを印刷するコストもかけることなく、話題性を集めることに成功したのです。

これと似たキャンペーンでは公的医療保険の保険証を提示すると、「コクうまサラダうどん」が50円引きになるキャンペーンや、子供を連れていくことですべてのうどんから50円を引いてもらえる「生こどもクーポン」キャンペーンなど、コストを抑えながらも話題性は抜群のキャンペーンを数多く展開しています。

また、レタス1個分食物繊維入り麺「はなまる食物繊維麺」の発売を記念した、レタスまるごと配布キャンペーンでは、新しい麺になったことをアピールするために麺の試食を実施するのではなく、レタスを配ってしまうという斬新な内容で話題を集めました。

これら一部を見ただけでも、いずれも賛否両論を呼ぶかなりギリギリを攻めたキャンペーンを展開していることがわかります。批判も数多く巻き起こしかねないこれらのキャンペーン、はなまるうどんはどうやって実現することができているのでしょうか。

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「バカバカしいことを真面目に」

「生こどもクーポン」キャンペーンの実施に関して、はなまるのマーケティング担当部長である田中安人さんは

「正直言って、今回のキャンペーンも怖かった。ソーシャル でも何を言われるか…。でも、マジメすぎてもメッセージが伝わらない。ギリギリのところで企画しています」

(引用元:ニコニコニュース|「こども提示」で割引の「ナゼ?」 はなまるうどんに聞いてみた

と発言しています。

こうしたギリギリのキャンペーンを打ちだせる背景の一つには、「バカバカしいことを真面目に」という社風があります。若手社員が委縮してアイディアを出さなくなってしまうのを避けるため、どんな企画も真面目に検討することを方針としているのです。

例えば2013年のエイプリルフールに行った「まるごとダイオウイカ天新発売」という嘘のキャンペーンがその一例です。同年1月に放送され話題になったNHKのドキュメンタリー「世界初撮影!深海の超巨大イカ」をもとに、嘘とは思えない力の入った特設サイトを設置、ユーザーからは通常の24倍ものアクセスがあり、SNSでの拡散による広告換算額は約2億5千万円に達したと言います。

そして、はなまるのギリギリのキャンペーン実現を成功させている最大の要因が、はなまるのキャンペーンを7年以上担当しているPOOL INC.という会社の、お客さんへ「伝わる」ためのこだわりです。

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「伝える」のではなく、「伝わる」ための技術

POOL INC.のCEOでクリエイティブ・ディレクターの小西利行さんは、ギリギリのキャンペーンに限らず、あらゆるコピーやキャンペーンの仕事の基本として最も大切なことは、

「相手の立場に立って考えること」

(引用元:ダイヤモンド社書籍オンライン|「相手の立場になって、考え抜いているか」【佐々木圭一×小西利行】(前編)

だと言います。

最初は自分が伝えたい相手のことを念頭において考えていたはずが、案を練っていくうちに自分の考えを優先しようとしてしまっていることがあります。特に、自分が奇抜でいいアイディアを思いついたと自信があるときほど、そうした傾向は強まってしまうものです。

小西さんは、著書『伝わっているか?』で次のように書いています。

「伝える」ことばかり考えると、結局、相手のことを考えず、自分の意志を押し通すエゴになってしまう

(引用元:小西利行著(2014),『伝わっているか?』,宣伝会議.)

「伝わる」ためには相手の気持ちを徹底的に想像して、その人が嬉しくなって、心が動くアイデアを考えなければいけません。

(引用元:同上)

「伝える」と「伝わる」の違いは、文にしてみるとわかりやすくなります。

「私は相手に伝える」という文章は、相手に伝えるという自分の動作を表しています。「私の意見が相手に伝わる」という文章は、自分が伝えた意見がすでに相手に伝わった状態を表しています。「相手」という着地点を前提にした「伝わる」の考え方で相手に伝えようとすることが、重要なのです。

この「伝わるため」の心構えは、一般のビジネスシーンでも大いに生かすことのできるものなのではないでしょうか。他社と差をつけたいプレゼンの時などに、この心構えは非常に役に立つはずです。

(参考)
POOL INC.
ニコニコニュース|「こども提示」で割引の「ナゼ?」 はなまるうどんに聞いてみた
Wikipedia|はなまるうどん
東洋経済ONLINE|掟破り?「はなまるうどん」の他社割引券吸引戦略!《それゆけ!カナモリさん》
マイナビニュース|東京都・新宿駅でレタス870個を配布! -はなまるうどん「食物繊維麺」切替で
AdverTimes|“バカバカしいこと”を真面目に考える――はなまる
ダイヤモンド社書籍オンライン|「相手の立場になって、考え抜いているか」【佐々木圭一×小西利行】(前編)
小西利行著(2014),『伝わっているか?』,宣伝会議.


京都大学文学部所属。長野県立松本深志高校卒業。ぱんだとししまいがとても好き。在学中は京都でしか見られないししまいを見てまわりたい。