幸せになるためにはまずは努力しないとダメだ。成績がもう少し上がれば、昇給のチャンスをものにできれば、あとすこし痩せさえすれば、もっと幸せになれるはずだ。ほとんどの人がそう考えて努力します。しかし、いい大学に入ったとしても、給料が増えたとしても、3キロ体重を減らしたとしても、必ずしも幸せになれるわけではありませんよね。

努力して成功しても、幸せがついてこないのはどうしてなのでしょうか。

ここで重要なのは、順序を逆さまに考えること。つまり「幸せは成功に先行する」と心得ること。こう主張するのは、ハーバード大学にて成功と幸福に関する実証研究を行い、グーグルやマイクロソフトなどの著名企業をはじめ、世界45ヶ国以上で幸福に関する講演を行うショーン・エイカー氏です。

ほんのすこしの幸福感が大いなる生産性の向上を生み出す

ショーン・エイカー氏の著書『幸福優位7つの法則』の中で、幸福感が成功に先立つものであることを示したわかりやすい例の1つとして、こんな話が紹介されています。

医学部では、医師の卵たちの診断の訓練にロールプレイングを用います。それは患者役の人が架空の症状や病歴を読み上げ、医学生に診断を下させる、といった形式のものだそう。そこで、心理学者たちが経験豊かな医師たちを集め、同じロールプレイングをやらせました。すると、意図的に幸福度を高めたグループは、特になにもしなかったグループに比べて2倍の早さで正確に診断できたというのです。しかも、どうやって医師たちの幸福度を高めたかというとキャンディを配っただけなんだとか。たった1個のキャンディが医師たちの診断スピードを2倍にアップさせたというのですから驚きです。

他にも、こんな興味深い話があります。

四歳の子どもたちにいくつかの知的な作業をさせます。子どもたちを2つのグループに分け、一方のグループにはできるだけ早く終わらせてくださいと指示します。もう一方のグループにも同じ指示を与えるのですが、指示のあとに「何かうれしかったことを考えましょう」と付け足します。すると、ポジティブなことを考えさせたグループはそうでないグループに比べてはるかに早く正確に作業を終えたとのこと。

これらの実験から、ほんの僅かな幸福感でも十分な生産性を生み出せるということが分かりますよね。

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今日あったいいことを3つだけ書き出す

でも、いったいどうやって幸福感を生み出せばいいのでしょう? 仕事や勉強をする前にキャンディを舐めればいいのでしょうか。

エイカー氏によるとキャンディを買う必要はなく、ただほんの少しの工夫で幸福を見つける能力を鍛えればいいだけなんだとか。その工夫とは、寝る前に今日あったいいことをたった3つだけ書き出すこと。ほんの五分ほどでできるこれを、毎日繰り返すだけです。

馬鹿らしいと思う人もいるかもしれませんが、この「いいこと日記」を実行した人たちは、一ヶ月後、三ヶ月後、六ヶ月後の追跡調査の結果、それをしなかった人たちよりも幸福度が高く、落ち込む回数も少なかったということが明らかにされています。

人間の脳は型にはまった行動を好む傾向にあるため、日常のポジティブな面に注目することを毎日繰り返していると、自然と幸せを見つけるエキスパートになってしまうのです。しかも、どんないいことがあったっけと記憶をスキャンする過程で、ネガティブなことが意識されにくくなります。それまで頭を占めていた不安やイライラを緩和するだけでなく、程度によっては忘れてしまうことも可能。まさに一石二鳥ですね。

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いいこと日記を習慣にしてポジティブな人に

効果はお墨付きだとしても、自分は意思が弱いから続けられるかどうか……と感じる人もいらっしゃることでしょう。しかし、今ではあたりまえのように毎朝行う歯磨きも、はじめは意思の力を必要としていたはずです。どんなに意思が弱い人でも毎日磨き続けた結果、それが習慣となったのです。

つまり、行動が持続しないのは意思が弱いからではなく、習慣化が甘いからなのです。今回皆さんに習慣にしてもらいたい「いいこと日記」は、筋トレやランニングのように肉体的疲労を伴うものでもなく、読書や勉強のように精神的疲労を伴うものでもありません。

しかも、トイレにカレンダーとボールペンを備えておくだとか、ベッドサイドに小さいノートを置いておく、またはスマホに日記アプリをダウンロードするなど、習慣化のための環境を簡単に作ることができます。「書き込み式 いいこと日記」という商品も売られていますので、活用すると便利かもしれません。あとはたった五分の時間さえあれば、科学的に裏付けられたポジティブになるための練習を始められるのです。
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いかがでしょうか。「幸福感は成功の母」と言えることがわかりましたね。成功を目指すなら、まずは「いいこと日記」で自分の中に幸福感を醸成しましょう。自分はネガティブだという意識のある人にも、実践をお勧めしたいと思います。歯磨きのように習慣化できたころには、ピカピカの心になっていることでしょう。

参考
ショーン・エイカー著、高橋由紀子訳(2011),『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』,徳間書店.
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