「好敵手の存在」が成長のカギを握る。賢人たちが送る4つのメッセージ

「彼(彼女)には負けたくない」「あの人だけは尊敬できない」「自分を敵視する人がいて不愉快だ」などなど……。楽しい感情だけで過ごせたらいいですが、そうはならないのが人生です。世の中には、自分を含め多種多様な人間が存在しているので、仕方がありませんよね。

でも、そんなとき少しだけ思考を変えてみると、その「嫌な」存在から学べることが多々あると気づけます。賢人たちのメッセージとともに、紐解いていきましょう。

1.ライバルが自分を成長させる

出版プロデューサーの川北義則氏は、著書の中で「大きく成長したいなら、まず好敵手を探すことだ」と述べています。もしも身近にいなければ、自分が憧れるような存在を見つけて、その人を「仮想敵」に見立ててもいいそう。

その理由は、敵が定まれば自分がどうあるべきかが明確になり、自分を活性化できるから。つまり、例えば「相手が2倍努力しているなら、自分は3倍努力しよう」と考えられるからです。

「あの人さえいなければ、自分はもっと上に行けるのに」とイライラしているより、「職場のライバルが自分のモチベーションを高めてくれる」と思えば、気分も変わってくるはず。

2.どんな相手からも「学べること」はある

フランスの作家、ミシェル・ド・モンテーニュは「賢者が愚者から学ぶことのほうが、愚者が賢者から学ぶことよりも多い」といいました。

人が人を評価すると、どうしても主観が入り込むため、偏見や見誤りで本質を見逃していないともいいきれません。しかし、相手の言動に「尊敬も共感もできない」と感じてしまったら、その人に対し嫌悪感を抱き、心の中で蔑んでしまうことは誰にでもあるでしょう。

ところが、たとえ自分が尊敬できない相手でも、自分を高めてくれる存在になることは確かです。なぜならば、「反面教師」になってくれるから。一橋大学イノベーション研究センター編集の本には、こう書かれています。

「人のふり見てわがふり直せ」というが、ビジネスの世界でも同じことがいえる。反面教師だって立派な模範(ただし、逆の意味での模範)となる。

(引用元:『一橋大学イノベーション研究センター編集(2017),『一橋ビジネスレビュー 2017年SPR.64巻4号』,東洋経済新報社.)

つまり、 自分にとって悪い見本がいれば、そこから学んで望ましくない言動を防いでいけるということ。どんなことからでも学べる人が「賢者」であり、何を見ても聞いても学べない人が「愚か者」なのです。

川北義則氏も、「一流の人ほど全ての人から学ぼうとする」とし、「非一流からも学ぶことはある」といいます。ただ軽蔑するのではなく、「反面教師」として自分の糧にしてしまうのです。

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3.人の気持ちを察するのが早くなる

前項で紹介したモンテーニュの言葉について、また違うとらえ方もあります。随筆家の秋庭道博氏はこの言葉を、「人の気持ちを察するのが早い人」になるためのメッセージと述べています。「賢い者とは相手の立場になって見ることができる人」のことで、「愚か者とは、人間の心理や人情の機微が分からない人」だというのです。

例えば、何かの荷物を誰かに送ったとき、「届きましたよ」と一報くれる人と、くれない人がいます。送付したほうは荷物が届いているか気がかりなので、その気持ちを察すれば相手は連絡しようと考えるはず。しかし、受け取る側のほうは、それに気づかないことも少なくありません。

だから、「届きましたよ」と一報を送る人は、自分が逆の立場になったとき、「連絡をもらえず不安になったことがある人」。つまり、荷物を受け取ったという一報を送らない人の行為を「反面教師」にして、自分の行動を“良いほう”へと選択できた人です。

なぜそれが良い選択かというと、秋庭氏の言葉を借りれば、そうして「相手の立場に立って行動できる人が、ビジネスを発展させていくことができる人」だから。学べる機会は、あらゆる対人関係の中でたくさんあるのです。

4.あなたを敵視する人は、あなたの力を認めている

そして最後は、あなたを敵視してくる人について。もしも、あなたがその相手に対し、どうにか友好的に接しようとしているならば、なおさら理不尽だと感じていることでしょう。

しかし、ドイツの物理学者、アルベルト・アインシュタインの言葉に「人は他人の才覚を認めるのを嫌う。その他人が敵でない限り」というものがあります。実はこれ、アメリカの人気サスペンスドラマの中で紹介されていたので、言葉の真意は定かではありません。ただ、その物語が、先の犯罪者に認めてほしいと考える模倣犯や、優れたFBI捜査官たちを勝手に好敵手だととらえ、執拗に絡んでくる犯罪者を描いていることから、逆にこう考えられます。

あはたを敵視する人は、あなたの力を認めている

つまり、相手はあなたに嫉妬しているだけ。人は誰しも「他人よりも優れていたい」「認められたい」という本能的な欲求、いわゆる「自己重要感」がありますが、その欲求を妨げるのが“あなた”という存在なのです。そこで、自分を敵視してくる人物と対立しそうになったら、相手の「自己重要感」を満足させてあげればいいと、著述家・産業カウンセラーの植西聰氏は述べています。

もちろん、それは簡単なことではないかもしれませんが、敵視してくる人を同じように敵視し火花を散らすだけでは、居心地が悪くなってしまうだけです。例えば謙虚に「○○の件はありがとう。さすがだね。おかげでそのあとのやり取りがスムーズになったよ」など、地道に少しずつ相手の自己重要感を満たしていけば、返報性の原理(他人から何らかの施しを受けると、お返しをしなければならないという感情を抱く心理)も働き、徐々に相手の態度も変わってくるかもしれません。

*** 以上を踏まえ、ときおり賢人たちのメッセージを思い出しながら、自分を高めていく思考術を身につけてくださいね。一朝一夕にことは運ばないかもしれませんが、心がけていれば必ず変化があらわれてくるはずです。

(参考) 川北義則著(2009),『男には七人の敵がいる』,PHP研究所. 秋庭道博著(2012),『「まず動く!」人が、仕事は9割うまくいく』,学研パブリッシング. 一橋大学イノベーション研究センター編集(2017),『一橋ビジネスレビュー 2017年SPR.64巻4号: イノベーション研究 これからの20年』,東洋経済新報社. 植西聰著(2012),『チャンスに変えるきっかけ9』,PHP研究所. 新刊JP|ミリオンセラーのヒットメーカー「川北義則」を知っているか? Wikipedia|返報性の原理

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