連載の第1回「“想定外” を想定せよ! 時間管理は「矛盾」との戦いだ。」で紹介したように、私たちが普段行っている仕事は「アポイントメント」「タスク」「予定外の仕事」の3つに分類することができます。そして、第2回「GGBB(ギリギリにバタバタ)に陥ってない? 時間管理に失敗する原因を探る。」で紹介したGGBBのように、いろいろな失敗の原因になりやすいのが、このなかのタスクです。このタスクをどう計画し、実行していくかが時間管理の最重要ポイントだといっても過言ではありません。

一般的にタスクの管理というと「To Doリスト」をイメージする人が多いですが、第2回で紹介したように「To Doリスト」は計画として十分なものとはいえませんし、実際に失敗例も多いです。

では、タスクはどう計画していくのがいいのか? 今回はいろいろなタスク管理の手法を比較しながら考えていきましょう。

To Doリストはなぜ挫折する?

To Doリストは、自分がやるべきタスクを書き出したものです。やるべきことを忘れないために、そして、何が終わっていて何が終わっていないかを確認するために役立ちます。しかし、「時間の使い方」を計画するというところまではいきません。ちょっと比較してみましょう。

まず、To Doリストと呼ばれるものにも2種類あります。ひとつは「今日(前日に作る場合は明日)やろうと思うこと」をリストアップしたもので、もうひとつは「やろうと思うすべてのタスク」を書き出したものです。区別のため、前者を「ワンデイリスト」、後者を「ビッグリスト」と呼びましょう。昔からある時間管理の方法では、ワンデイリストを推奨しているものが多いですし、少し前に話題になった「GTD」と呼ばれる手法では「ビッグリスト」のように自分のやるべきことをすべて書き出すことが推奨されています。

ワンデイリストは非常にシンプルなところにメリットがありますが、問題点も多いです。まず毎日リストアップする作業が大変だという点です。やるべきことを思い出したり、「今日やるべきか、明日以降でもいいか?」と考えたりする作業は意外に時間を使いますし、その間かなり集中して考える必要があります。これが負担になって続けられないという人も多いです。

もうひとつの問題点は先が読めないことです。どうしても今日、明日のことが中心になるので先のことが読めず、特に自分の仕事量が適正かどうか(時間が足りるかどうか)の判断が難しいです。また、長期的な視点を持ちにくく、目先のことに目が向きがちになってしまいます。

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「ビッグリスト」の問題点

ビッグリストの問題点は、まず、それをどうやって作るかにあります。たとえば、週に1回時間を取って書き出すことが推奨されている場合もありますが、これはかなりの時間が必要で(1時間以上におよぶ場合もあります)、しかもその間は集中して考える必要があるため、継続できない人が多いです。また、仕事の時間管理としては1週間ごとの見直しでは遅すぎます。

ただ、この問題は、まとめて書き出すのではなく、タスクが出てくるたびに(忘れないうちに)書き出すようにすることで回避できます。たとえば「タスクが出てくるたびに付せんに書いて貼っておく」といった方法です。私も以前やっていました。この方法はタスクを忘れないためには有効ですが、別の問題がありました。

ビッグリストの根本的な問題のひとつは、タスクの数が多く、どのタスクから手をつけるか迷ってしまうところにあります。タスクの数は全体で数十個におよぶため、それらの優先順位を判断するのは簡単ではなく、毎日迷いながら仕事をしているような感じになります。

そしてもうひとつの問題点は、ワンデイリストと同様に仕事量が適正かどうか(時間が足りるかどうか)が判断しにくいところにあります。それぞれの仕事が期限に間に合うのかどうか、どれだけ余裕があるのかが分かりにくく、不安を抱えながら仕事をすることになってしまいます。

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タイムスケジュール方式の問題点

さらに、第1回でも紹介しましたが、タスクを実行することを含めてすべてタイムスケジュールに組み込む方法もあります。これをタイムスケジュール方式と呼びましょう。この方法は「予定外の仕事」が発生することを前提としていない点で問題があり、第1回で紹介したように細かく計画を立てるほど、計画通りにいかないという問題が起こります。

しかし、この方法にはTo Doリストにはないメリットがあります。それが仕事量の判断しやすさです。それぞれのタスクの所要時間を予想し、タイムスケジュールに組み込むので、仕事量が多すぎる(時間が足りない)とタイムスケジュールがいっぱいになり、すぐに気づけます。さらに「今日やらなくていいタスク(明日以降やるつもりのタスク)」が気にならないというメリットもあります。

本当に使えるタスク管理の方法は?

これら3つの方法は、私もそれぞれ実際に試してみましたが、数ヶ月にわたってがんばってみても、結局うまくいきませんでした。それぞれ問題があり、手間がかかるうえに効果が感じられなかったのです。同様の理由で、過去にこれらの方法に挫折してしまった人もいるはずです。

私のタスク管理がうまくいくようになったのは、あるひとつのやり方を試してからです。それが、タスクを「実行日に書く」という方法です。期限ではなく「実行する日」を決めておくのがポイントです。

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この図はスケジュール管理ソフトにタスクも入力したところを表しています。実行日ごとにタスクを書くことができれば、手帳などを使っても構いません。タスクを実行日に書くというのは、日付ごとに別々にTo Doリストを作るようなものです。ただし、そのタスクを「実行できそうな日に書く」のがポイントです。

タスクという仕事は、本来は実行する時刻が自由です。期限までにやればいいだけです。しかし、それが失敗の原因にもなります。逆に、あえて自分で実行する日を決めることで、仕事量を判断しやすくなりましたし、それぞれのタスクをやるべきタイミングを逸しないようになりました。

ただし、第1回で紹介したように、当日には「予定外の仕事」も発生しますから、余裕のない計画は実行しきれません。無理に早い日付にタスクを集中させるよりも、できそうな日に書いていくようにしましょう。また、当日の状況によって、一部のタスクの実行日を早めたり、遅らせたりすることがあっても構いません。

そもそも、タイムマネジメントでは「完璧な計画」というものは存在しません。状況は常に変わる可能性があり、すべてが計画通りにいくことなんてあり得ません。そして、それを前提とするなら、この実行日に書く方法は、仕事量はかなりつかめるし、その都度書くようにすれば、計画を立てる負担も少ないです。また、「今日やらなくていいタスクが気にならない」というメリットもあります。「実行日を決める」という一手間をかけるだけで、先に紹介した方法の「いいとこ取り」のメリットが得られるのです。

この方法を行うためには、タスクをやる時間が確保できているかどうかの判断が重要です。次回はそのための時間の可視化を紹介しましょう。

■連載『仕事も学びも効率化 目からウロコの時間管理術』一覧はこちら
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