どうも人付き合いが苦手。職場の人間関係も良いとはいえない……。そういった想いがあるのは辛いですよね。そんな悩みをもつビジネスパーソンのために、少しでも職場の人間関係を円滑にする方法をお伝えします。

職場における「人間関係」の重要性

厚生労働省が平成24年に全国の労働者を対象に行った調査によると、仕事で悩みやストレス等を感じていると答えた割合は全体の60.9%。そのなかで最も多かったのは「職場の人間関係の問題」(41.3%)だったそうです。

心理学博士の鈴木丈織氏は、「私たちの行動は、賞罰よりも、自分の個性と職場の人間がつくり出す環境に大きな影響を受けており、それは行動科学が証明している」と述べています。また、人事制度構築を行う重本コンサルティングオフィス代表・重本由宇氏は、社員の働きやすさにおいて特にウェイトが高いのは、会社の物理的・制度的な部分・仕事のやりやすさよりも、「人間関係」であると伝えています。立教大学の研究では、職場の人間関係がストレスおよび組織コミットメント(会社との結びつき)に影響を及ぼすと確認されたのだとか。

つまり、どんなに他のことが充実していても、職場の人間関係に不満があると社員はやる気が失せて、組織コミットメントが弱まってしまいます。それによって生産性が低くなり売り上げが落ちたら、収入まで下がってしまうのです。

「人間関係」は、ことのほか重要だというわけです。

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人間関係をよくするポイント

もしもいま現在、職場の人間関係がよくないと感じ、それがあなたの“憂うつ”のもとならば、まずは「自分の心地よさを確保するために、自分を変える」ことです。なぜならば、過去と他人は変えられないけれど、自分と未来は変えられるから。そして、もうひとつ大切なのは「感情に巻き込まれず、理論的に考える」こと。そうすることで、自分自身を取り巻く状況などを大きく俯瞰できるはずです。

それらを踏まえ、心理学者の伊東明氏、哲学者の岸見一郎氏が述べていることなどを参考にした「人間関係をよくするポイント」は以下のとおり。

・他人に察してほしいと考えない――人は自分の期待どおりにならないから
・ネガティブな話題は提供しない――ネガティブな話題は好感度を下げるから
・できるだけ笑顔を絶やさない――無表情は相手に心が動いていないサインだから
・聞き上手になるコツをつかむ――自分の話を聞く人に、人は好感をもつから
・他人からの評価を気にしない――心を不安定にする最大の要因だから
・自分の価値観をハッキリさせる――周囲に流されなければ憂いも少なくなる

これらのポイントを押さえつつ、職場の人間関係を円滑にする方法を具体的に見ていきましょう。

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人間関係を円滑にする方法1.割りきる

心理学ではよく「期待を手放す」という表現があります。人は期待どおりに物事が進まないとネガティヴな感情をもってしまうため、それを手放して別の方法を考えようというもの。それにのっとり、職場でコミュニケーションをとるのです。

例えば、自分が積極的に自己開示しても、相手から同じ反応があると期待しない。友達になろうと接するのではなく、仕事の環境を良好にするため割りきって接する。

その意識をもつことで、「人間関係で悩む」という感情からは解放されていくはずです。もちろん、その際には笑顔を絶やさず、ネガティブな話題は提供しないように。それで反応がいまひとつなら、その方法をあっさり手放して感情に流されず、理論的に考えて他のタイミングや言葉で再びチャレンジしましょう。

そうしていくうち、割りきっていたはずなのに、育まれていく絆もあるのです。

人間関係を円滑にする方法2.会話を引き出す

心理学者の伊東明氏は聞き上手になるコツとして、相手が話したいことを常に想定し、うれしい質問を心掛けることをすすめています。しかし、聞き上手になるのはなかなか難しいもの。だからこそ、相手が自由に答えられるオープン・クエスチョンが役立ちます。5W1Hといわれる「When (いつ)Where (どこで)Who (誰)What (何)Why (なぜ)how (どうやって)」を使って質問することです。具体的には以下のとおり。

・「ほんと? どこで?」
・「へえー! なぜそうなったの?」
・「面白い! で、どんな感じ?」

ただし、初対面の相手には、「スポーツはやりますか?」「最近映画観ました?」といった、答えを限定しやすいクローズド・クエスチョンのほうが、会話の糸口を見つけやすいとのこと。

もちろん、期待どおりに会話がすすまなくても、これは方法のひとつに過ぎないので気にする必要はありませんよ。

人間関係を円滑にする方法3.アサーティブコミュニケーション

アサーティブコミュニケーションとは、 「誠実」「率直」「対等」「自己責任」という4つの柱を土台にし、相手を気遣ったうえで自分の意見を述べるコミュニケーション法。人間関係を良好にする研究でその効果が確認されています。

例えば、商談中に次の予定が迫っている場合、必要以上に相手を気づかわず、かといって強い態度をとることもなく、「恐れ入りますが、このあと約束があり、そろそろそちらへ向かわなければならないのです」というようにハッキリと意志を伝えるのです。もしくは、「忙しいところ申し訳ないけれど、この資料の○○○は先日の定例会議で無くなったはずなので、修正したほうがいいと思う」といった具合です。

この方法は、自分の価値観を明確にすると自信がもてるので、より取り入れやすくなりますよ。自分の価値観は、「どんな行動をとっているときの自分が好きか」を考えると、おのずとわかるはずです。

***
職場の人間関係を円滑にする方法をご紹介しました。客観的にとらえて、職場の人間関係が円滑になるようチャレンジしてみてください。ただし、どうしても難しいときは、決して自分を追い込まないように。場合によってはその場から離れることも必要です。

(参考)
宮下茉美絵 (2013),『コミュニケーション技法が職場の人間関係及びPIS に及ぼす影響 : 働く人々のメンタルヘルス対策に向けて 』,立教ビジネスレビュー,立教大学学術リポジトリ,Vol.6 pp.84
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