仕事の中には、いろいろな「ムダな時間」があります。ただし、ここでいう「ムダな時間」というのは、休憩している時間や、何かをぼんやり考えている時間のことではありません。本人としては一所懸命に仕事をやっているつもりだけど、実は仕事そのものは進んでいないという時間のことを指します。そんなムダな時間を減らしていけると、仕事の効率を高めることができます。

そのムダな時間の中には「迷う時間」や「思い出す時間」があります。人は「迷う」ことや「思い出す」ことで、意外に時間を使ってしまうものなんです。実は、私自身もそんな時間が多かったのですが、時間管理を行うようになって、だんだんそのムダに気づくようになりました。

では、その「迷う時間」や「思い出す時間」が特に多くなりやすい、朝の時間の使い方について考えてみましょう。

「朝からがんばってるなあ……」は大間違い

1日のスタートである朝イチの時間は重要なもの。しかし、それをうまく使えている人は意外に少ないです。たとえば、私は昔、こんなふうに朝の時間を使っていました。

仕事が忙しいというプレッシャーがありましたから、職場に着いたらせわしなく動きます。デスクに座るよりも先にまずPCの電源を入れ、PCが立ち上がるまでは手元の書類を見ながら、「この仕事そろそろやらなきゃ」「この書類、後で記入して提出しよう」と考える。PCが立ち上がったら、デスクトップ画面に置いてあるファイルに目が行き「この資料作成、今日やっておこうか? いや明日でもいいかな?」と考えながら、今度はメールを立ち上げる。メールをチェックしながら「このメール、まだ返信してなかった。後で返信しよう」と考える。そうやって一通り確認しながら「まず何からやろうか」と考えていく……という感じでした。

この様子を傍で見ている人がいれば、「水口さん、忙しそうにしてるな」「朝からがんばってるなあ」と思うかもしれません。慌ただしく書類を見たり、パソコンを操作したりしていたからです。実際、私もテキパキと仕事を進めているような気になっていました。

しかし、違うんです。この状況、見た目は慌ただしく仕事をしているようですが、実際には自分の仕事はまったく進んでいません。なぜなら、その間にやっていたことは、やり残したタスクを思い出したり、どれから手をつけるか迷ったりすることだけだったからです。つまり、やり残したタスクを「再確認」していただけで、タスクそのものはまったく進展していなかったんですね。

しかも、朝だけではありません。何かひとつタスクが終われば、また「次はどれをやろうか」と迷いますし、会議から戻ってきたときや、昼休み明けにも思い出したり、迷ったりすることがありました。朝イチよりは短いですが、やはりそのたびに少しずつ時間を使います。これらを合計すると、おそらく1日に30分以上の時間を費やしていたはずです。1日30分というと、1ヶ月の残業時間でいえば10時間。決して少なくはありません。それを「迷う」「思い出す」ことだけに費やしていたわけです。

その後、時間管理をやるようになってだんだん分かってきたのですが、自分のタスクをうまく計画できるようになってくると、これらの時間を大幅に短くすることができます。

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タスクを管理できると、朝の使い方が変わる

この連載の第3回「タスクは「実行日」に書け! “本当に使える” タスク管理の方法とは?」でも少し紹介しましたが、私たちが抱えているタスクの数は全体で数十個におよびますし、なかには百個を超える人もいます。それらをどう管理しているかで、朝の時間の使い方が変わります。

先ほどの例は、私がタスクを管理できていなかったときの話でした。自分がやるべきタスクが整理されているわけではないので、デスクトップ画面上のファイルを見てはタスクを思い出し、書類を見たり、メールを見たりしてもタスクを思い出すという感じです。タスクを忘れていないかと不安なので「思い出す」ことに時間を使っていたわけですね。でも、実際のファイルや書類、メールなどを確認しながら思い出すなんて、時間がかかります。

実際、タスクを管理するようになると、この「思い出す時間」が減ってきました。タスクが1箇所にまとまっているので、見ればすぐに思い出せるからです。

しかし、ただタスクを書き出すだけでは「迷う時間」はなかなか減りません。タスクの数が多いので、どれからやるかを考えるのが意外と大変なんです。

これは第3回の最後に紹介した「タスクを実行日に書く」方法を始めると解消できました。タスクを実行日ごとに振り分けているので「今日やろうと思っているタスク」だけに注目して判断できて、「迷う時間」を大幅に減らせました。

それらの結果、朝の時間の使い方は大きく変わりました。以前のように「思い出す」ためだけに書類やファイルを眺めることはないですし、「迷う」ことも少なく、すぐにタスクそのものに取りかかれます。今となれば、昔はなんであんな再確認に時間を費やしていたんだろう……と思うのですが、タスク管理ができていなかった頃は、ムダなことをしてるとは気づかなかったんですね。

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朝イチから重要なタスクを進めていく

このように、自分のタスクが整理できてくると朝イチの時間をうまく活用できるようになってきます。再確認ではなく、タスクそのものを進めることに時間を使えるようになるわけです。

たとえば、まだタスクをうまく管理できていないという人は、まずは前日の仕事終わりに「明日やるタスク」を書き出すようにしてみてください。そうすれば、翌日の朝、スムーズにタスクに取りかかっている自分に気づくはずです。さらに、先ほど紹介した第3回の「タスクを実行日に書く」方法を行うと、常に「明日やるタスク」が書き出された状態にしておくことができます。

もっと積極的に朝イチの時間を活用することもできます。そのためには最初に取りかかるタスクの選択が重要です。おすすめは、意外かもしれませんが、いきなり重要なタスクに取りかかることです。

職場によって多少違いはありますが、朝イチの時間は他の人に仕事を中断させられることが少なく、意外と仕事に集中できる時間であることが多いです。こういう時間帯は集中して考える必要があるタスク、つまり、重要なタスクや難しいタスクをやるのに向いているのです。

実際、朝イチからそういうタスクに取りかかってみると、意外なくらい仕事がはかどります。私の場合、もともと朝に強かったわけではなく、むしろ「朝から集中して考えるのは苦手」という意識がありました。ですから、朝イチから重要なタスクに取りかかるのは、最初は躊躇がありました。でも、やってみると意外にいいんですよね。もしかしたら「朝は苦手」という意識を持っていたのは、迷ったり思い出したりするために時間や注意力を取られていたせいかもしれません。

朝の時間を活用するには、まずはその日にやろうと思うタスクをはっきりさせておくこと。それができたら、躊躇せずに朝イチから重要なタスクに取りかかってみること。それによって仕事のはかどり方が違ってきますし、残業に頼ることも減ってきます。ぜひ試してみてください!

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