GGBB(ギリギリにバタバタ)に陥ってない? 時間管理に失敗する原因を探る。——水口和彦『仕事も学びも効率化 目からウロコの時間管理術』第2回

第1回「“想定外” を想定せよ! 時間管理は「矛盾」との戦いだ。」では、時間管理の中にある矛盾、つまり「計画は立てるべきだけれども、計画通りにいかない覚悟も必要」という問題を紹介しました。

「予定外の仕事」の存在を認めること、つまり、すべてが計画通りにいくわけではないことを認めることが必要。それが現実的な時間管理、特に仕事のための時間管理の前提になります。しかし、計画通りにいかないからといって、計画を立てることが無意味というわけではありません。計画は必要なものです。

ちなみに、時間管理で計画すべきなのは、自分の「時間の使い方」であり、それは「自分の行動」そのものです。「時間の使い方=自分の行動」を計画し、実行していくのが時間管理なんですね。できれば計画と実行だけでなく、結果の振り返りもできたほうがいいのですが、その方法は後日紹介することにして……、今回は、うまく計画できていない失敗例を紹介しましょう。

時間管理の失敗例「GGBB」

うまく計画できずに失敗する例の典型が、「期限ギリギリ」になってから「バタバタとあわてる」という状況です。「ギリギリにバタバタ」なので、以下省略して「GGBB」と呼びますね。このGGBBを経験したことのある人は多いのではないでしょうか?

私も昔、仕事でGGBBに陥ることがよくあったものです。「期限までにはまだ時間があるし大丈夫」と思っていたら、いつの間にかその期限が迫っているんですね。結局、「明日の報告書がまだできてない!」と慌てながら、夜中まで、ときには明け方まで仕事をしたこともあります。昔は長時間労働やサービス残業が問題視されていなかったから、そんなことができましたが、いまではちょっと考えられないですね。

あるいは、学生の頃にGGBBを経験したという人も多いはずです。小さい頃にさかのぼれば、夏休みの宿題がありますね。夏休みの終わりが近づいた頃にあわてて宿題をやったという話はよく聞きます。その後、大学生になっても「レポートの提出が期限ギリギリになった」とか、「就活のエントリーシートを期限ギリギリに書いた」という話が周りにたくさんあったのではないでしょうか? このように、多くの人が経験し、後悔したり悩んだりしているのがGGBBなんです。

このGGBBは、時間管理がうまくできていない典型的な例です。しかし、なぜこんなことになってしまうのでしょうか……?

前回、私たちが普段行う仕事は、時間管理の観点では3タイプに分けることができると紹介しました。時刻が指定された仕事の「アポイントメント」、実行する時刻は自分で自由に決められる「タスク」、そして、突然飛び込んできて、その場で対応しなければいけない「予定外の仕事」です。

では、これらのなかでGGBBになる仕事は、どれでしょうか……?

GGBBになってしまう仕事

3タイプの仕事のうち、GGBBになってしまうのは……そう、タスクですね。タスクという仕事は、期限が決まっていることが多いですが、実行する時刻そのものは自由な仕事です。自由だからこそ、融通がきいて助かる面もありますが、GGBBのような失敗も多いのがタスクの特徴です。

ちょっとアポイントメントと比較してみましょう。アポイントメントは時刻が決まっている仕事であり、その時刻にその場所に行って行います。そういう意味で制約があり、負担も大きい仕事ですが、計画の立て方や実行の仕方としてはシンプルです。その時刻には行動しなければいけないことがはっきりしています。つまり、「いつやるか」がはっきりしているのです。

ですから、アポイントメントの場合は、ひとつひとつのアポイントメントを決めること自体が「計画」になります。どの時刻に、どれだけの時間を使うか、具体的にイメージできます。

一方、タスクは「いつやるか」がはっきりしていない仕事です。たいていの場合、タスクには期限がありますが、これは「いつやるか」ではなく、「いつまでにやらなければいけないか」を表しています。「いつまでに」というのは、そのタスクにともなう「条件」であって「計画」ではありません。実際にそのタスクを「いつやるか」は、かなりぼんやりとしたイメージしか持てないのが普通です。

To Doリストでは十分ではない

たとえば、タスクを管理する方法のひとつとして、よく紹介されているのが「To Doリスト」です。やるべきタスクを書き出したものですね。タスクの内容だけでなく、その期限も合わせて書きとめておくことが多いです。では、このTo Doリストは「計画」として十分でしょうか?

To Doリストは「自分がやるべきタスクをうっかり忘れないようにする」という意味では役に立ちますし、タスクをちゃんと終わらせたことも確認できます。一種の「備忘録」でもあり、タスクの実施状況を確認するチェックリスト的な役割も果たします。

そういう用途ではTo Doリストは役に立つものですが、これで「自分の行動」が具体的になるわけではありませんし、自分の「時間の使い方」を計画できているともいえません。To Doリストを眺めていても「やらなきゃいけないなあ」とは思いますが、自分の行動(たとえばそのタスクを具体的にいつやるか)は、なかなかイメージできないですよね。

実際、To Doリストについては失敗例がとても多いです。たとえば、張り切ってTo Doリストを作ったけれど、そこに載せたタスクを実行しきれず、いつまでもリストに残っているタスクがあるとか、To Doリストを見るだけで気が重くなってしまうとか、嫌になって結局書くのをやめてしまったとか、タスクの期限もしっかり書いているのに結局GGBBになってしまうとか……。私もよくありました。To Doリストを作るだけでは、GGBBがなくなるわけではないんですね。

GGBBをなくすためには、タスクをうまく計画・実行していくことが必要です。また、これこそが時間管理の最も重要なポイントだといっても過言ではありません。タスクをうまく計画・実行していくことができると、いわゆる「スケジュール管理(アポイントメントだけの管理)」を「時間管理」と呼べるものに進化させていくことができます。次回、その方法を紹介していきましょう。

■連載『仕事も学びも効率化 目からウロコの時間管理術』一覧はこちら time-management-article-banner

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