「体内時計」が狂うと体のバランスが崩れるため、勉強や仕事、家事などにも影響が出てしまいます。そうならないよう規則正しい生活を心がけ、しっかりと食事・睡眠をとることが大切ですが、新たな発見から、ほかにも注目すべきことがあると分かりました。それは「脳髄液の循環」。さっそくご説明しましょう。

体内時計についての新たな発見

私たちの体中の細胞にある「概日時計」は、1日を周期として起こる、睡眠や覚醒、体温、ホルモン分泌、代謝など、さまざまな生理機能を制御しています。そして、それらを統率する中枢時計としての役割を担っているのが、 脳の視床下部にある「視交叉上核」という小さな神経核。それが、いわゆる「体内時計」です。

そして今回、理化学研究所を中心とする国際共同研究グループは、マウスを用いて、中枢時計をつかさどる視交叉上核よりも、堅固な概日リズムを刻む場所があることを発見しました。(英国のオンライン科学雑誌『Nature Communications』2018年3月14日付に掲載)

その場所とは、脳脊髄液をつくり出すという「脈絡叢」のこと。

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脈絡叢の「体内時計」としての役割

脈絡叢(ミャクラクソウ)とは、脳の各脳室(側脳室、第三脳室、第四脳室)の天井部分にある、血管が発達したもののこと。体の血液からの、脳内への物質移動を厳密に制御している「血液脳関門」をつくり上げています。いわば、関所のようなものですね。

そして脈絡叢は、脳脊髄液をつくり出して、脳室に分泌するという重要な役割も担っています。

前項で紹介した新たな研究では、中枢時計をつかさどる視交叉上核よりも、脈絡叢が強力な概日リズムを刻むと分かったわけですが、その「脈絡叢時計」が、脳脊髄液の循環を介して中枢時計に作用し、概日行動リズムを制御していることも分かったそうです。

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「脳脊髄液の循環」に注目すべき理由

「体内時計」が狂うと、睡眠障害や、がん、生活習慣病、循環器疾患、代謝疾患ほか、精神疾患にまでつながると考えられています。睡眠障害などが起これば、脳機能がうまく働かなくなるので、日常の生活や、勉強、仕事にも影響します。

そして、それは「脳脊髄液の循環」においても同じことがいえるのです。

『「脳の呼吸」を整えればあなたの全身はよみがえる!』の著者で、国際的なカイロプラクティックの学会でも研究者大賞を受賞した宮野博隆氏は、「息」を整えるだけでなく「脳の呼吸」を整えることも必要だといいます。「脳の呼吸」とは、脳脊髄液をつくり出し、分泌する、いわゆる脳脊髄液の循環のこと。脳脊髄液の循環(脳の呼吸)が整えられず脳が圧迫されてしまうと、頭痛や“めまい”、“だるさ”だけではなく、思考力・理解力・記憶力の低下まで引き起こしてしまうのだそう

しかも今回、脳脊髄液の循環が、体内時計にも深く関係していると分かったのです。健康のため、仕事や勉強のパフォーマンスを上げるためにも、脳脊髄液の循環を整えなければなりませんね。

脳脊髄液の循環を整える方法

ここで、宮野博隆氏が提唱している脳呼吸法や、新潟大学大学院医歯学総合研究所名誉教の安保徹氏と、医学博士の堀泰典氏共著の『最後は「免疫力」があなたを救う!』に書かれている内容を参考に、脳脊髄液の循環を整える方法を3つご紹介します。

1.脳呼吸(手上げ法)

仰向けに寝て、片方の腕をまっすぐ頭の上に伸ばす。その際、腕が耳につくようにして、15秒間維持。同じように、もう片方の腕でも行う。これを交互に繰り返し、1分~3分ほど行う。

2.脳呼吸(足上げ法)

椅子に座って、片方の足の“かかと”だけを1cm上げて15秒間維持。反対の足も同じように行う。これを交互に繰り返し、1分~3分ほど行う。

3.足踏み運動

蓋のついた容器に300gの水を入れておく。仙骨(お尻の出っ張りのすぐ上にある骨)をポンポンとたたく。頭の上で水を入れた容器を(できるだけ高い位置に手をそえて)持ち、それによって頸椎を少し押さえつけ、ななめ上のほうを見ながら、太ももがしっかり上がるよう意識して、その場で足踏みする。水の総量は300gからスタートし、慣れてきたら3の倍数で600g、900g、1200gと増やしていく。

※1と2について、15秒や1cmといった数字は、脳の呼吸ペースなどが関係しています。効果を得るために厳守しましょう。
※3の「足踏み運動」について、書籍『最後は「免疫力」があなたを救う!』では、水を入れる容器は梅酒をつくる際に使うようなものが推奨されています。また、目安として「これを1ヵ月以上続け、最終的に6000gで40分程度できるようになれば、脳脊髄液の循環が改善される」とありますが、かなり重いので危険や無理のないよう、できる範疇で行ってください。

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脳脊髄液の循環は、睡眠中に脳の代謝物が洗い流されるという「脳内のリンパ系システム」とも深く関係しているとのこと。脳脊髄液の循環を整えて、仕事や勉強のパフォーマンスを上げてくださいね!

(参考)
理化学研究所|新たなリズム時計の発見
コトバンク|脈絡叢(ミャクラクソウ)とは
Kay-Hirota Group|Research
Study Hacker|座りながら気軽にできる! 脳を活性化させる3つの方法。
Career Supli|心身のコンディションを左右する新見解!「脳の呼吸」の影響力とセルフケアの方法
安保徹著,堀泰典著(2013),『最後は「免疫力」があなたを救う! 』,扶桑社.