京大研究で判明「文章力が上がる」意外な習慣。社会人こそ「手書きで○○を勉強」するといい

水で書けるお習字キットで書いた「脳の癖」という文字

メールやLINE、SNSの投稿に、レポートや書類の作成など――

あらゆるシーンで文章を書く機会は数多く存在します。“書く力は生涯の財産” といった言葉を、目にすることも多いのではないでしょうか。

しかし、仕事においては「文書がまとまらない」「速く書き進められない」「なかなか完成しない」といった状況に、陥ってしまう人もいるでしょう。執筆の仕事で文章を書き続けている筆者にも、そんな状況が多々あります。文章力は磨き終わることのない、磨き続けていくべきスキルなのかもしれません。

そうしたなか、手書きで行なう漢字の勉強が、文章力アップに役立つと知りました。さっそく実践を試みたので、その内容を詳しくお伝えします。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

「漢字の手書き」と「文章力向上」の関係

インターネットを通じて文章を作成する機会が増えたいま、逆に、手で文字を書く機会は大幅に減っています。そんな背景が “大人の漢字忘れ” を増加させているのだとか。筆者も先日、手書きで問診表などに記入する際に、何度もスマートフォンで漢字を検索してしまいました。

この状況を放っておくと、漢字どころか文章力まで奪われてしまうかもしれません。なぜならば、京都大学の研究グループが「日本漢字能力検定(漢検)と文章読解・作成能力検定(文章検)の両方を受けた中高生の受検データを解析」し、

漢字の手書き習得が文章力の発達に独自の貢献をすること

を明らかにしたからです。

(カギカッコ内含む引用元:京都大学|漢字の手書きは文章力の発達に独自の貢献をする―読み書き発達の二重経路モデルの提唱

でも、それなら文章力の向上を図り、手書きで漢字を勉強して、漢字も覚えてしまえばいいわけです。むしろ、嬉しい一石二鳥ではありませんか。

手書きで漢字を勉強する意外なメリット

そこで、最近少々 “文章を書くことのスランプ” に陥っていて、なおかつ漢字も忘れがちな筆者も、漢字を手書きで練習してみることにしました。

漢字ドリルを用いる方法もありますが、筆者の場合はより手軽な方法を選ぶことにします。たとえば手元にあるビジネス書などを開き、難しい言葉かどうかは関係なく、“しっかりと覚えていなさそうな漢字を使った短い言葉”(熟語や動詞、慣用句など)を適当に選び、どんどん書いていくのです。

筆者が手元にあるビジネス書などから、漢字を用いた短い言葉(熟語や動詞、慣用句など)を選び、練習したもの

実際にやってみたら、思ったより新鮮でした。いつもは略し、崩して書いていた漢字を、正しく手で書こうとすると、「こんな棒や点があったんだ」などと、新たな発見ができるからです。

また、意外とすんなり集中できたので、精神統一にもいいかもしれません。仕事に関係ありそうな言葉を選んだことが、よかったのだと思います。

ただ、こうして意識的に漢字を書くと、ディテールを完全に把握してバランスよく書くことが、けっこう難しいと感じました。もう少し文字を大きく書いてみようかな、と思った矢先――こんなニュースが飛び込んできたのです。

漢字を手書きするには「書道」が最適

それは、国の文化審議会がユネスコの無形文化遺産登録を申請する候補として、「書道」を選んだというニュースのこと(参考:日本経済新聞|「書道」をユネスコ無形文化遺産に申請へ 26年に審査)。

じつは少し前、この前段階の話題(ユネスコ関連の書道のイベントなど)を耳にしていたので、すでに書道というキーワードは頭のなかにありました。それからのち、このニュースを聞き、日本文化としての書道という存在を、あらためて見直したのです。そして、漢字のディテールをしっかりと覚え、それをバランスよく書こうとするならば、この書道がピッタリだと考えました。

が、しかし――漢字ドリルを用意するのも面倒な筆者が、墨やすずりをそろえて書道を始めるなんて、あまりにもハードルが高すぎます。そこで、もっと簡単に書道を実践する方法はないかと探していたら、いいものを見つけました。

書道を手軽に実践できる方法

幻冬舎の「武田双雲の水で書けるお習字 漢字」(Amazon , ヨドバシ・ドット・コム)は、人気書道家・武田双雲氏のお手本を見ながら「墨を使わずに、水でお習字の練習ができるキット」なのだそうです。乾くと書いた文字が消えるので、繰り返し練習できるのだとか。

幻冬舎の「武田双雲の水で書けるお習字 漢字」パッケージ

このなかには、筆と、水筆用紙と、お手本帳が入っています。そのほかに必要なのは「水」だけ。

「武田双雲の水で書けるお習字 漢字」の中身。筆と用紙とお手本帳。

ちなみに、お手本帳に載っているのは小学校で習う漢字とのこと。基本的な部分はそのお手本帳を参考にしつつ、メインは先の方法と同じように、仕事で使いそうな漢字の言葉を選んでいこうと思います。

(参考およびカギカッコ内引用元:幻冬舎edu|武田双雲の水で書けるお習字 漢字

インターネットで「(該当文字) 漢字 習字」と検索すれば、習字の書き方見本が出てくるはずです。それもあわせて参考にしながら、さっそく試しに書いてみましょう。

「水で書けるお習字」をやってみた

まず、適当な容器に入れた「水」に、付属の筆を浸し、書ける状態まで柔らかくします。

水で書くお習字用に用意した水

これを使って専用の「水筆用紙」に書きます。入っていたのはグレーとピンクの用紙が計3枚だけ。繰り返し使えるので、これで十分なのでしょうか。

「武田双雲の水で書けるお習字 漢字」の水筆用紙

では、試しに仕事術や勉強術のテーマでよく使う、「脳の癖」という言葉を書いてみます。数十年ぶりのお習字なのでドキドキです。

何度かやり直して――

どうにか――

完成しました!

水で書けるお習字キットで書いた「脳の癖」という文字

じっくり書いていると、書いているそばから、どんどん消えていってしまいます。かなり焦りますが、思いきって書き始めて⇒書き終える、いい訓練にはなりそうです。

下の画像は、それぞれの文字を書いたあと間もなく、乾燥にともない文字が消えていく様子です。

「武田双雲の水で書けるお習字 漢字」で脳の癖と書いた文字が、徐々に消えていく様子。

1枚書いて撮影、1枚書いて撮影を繰り返した。
そうしないと文字はどんどん消えていく。

ただ、完全に乾いて文字が消えるまでには、5分から10分ほどかかります。どんどん書きたい人には、もっとたくさんの用紙が必要かもしれません(水筆用紙は別売りあり)。

そして――お習字キットで練習することにより、省略・崩し文字で書いていた “癖” という漢字を、しっかりと把握することができました。やはり、書道は漢字のディテールを覚え、バランスよく書く練習としては最適ですね。先のノートに書いた漢字練習と一緒に、取り入れていこうと思います。

正直なところ始めたばかりなので、肝心な文章力についてはまだ、ハッキリとした効果はわかりません。ただ、漢字を手で書くあいだ、その意味も頭のなかで考えている状況が多くあったので、漢字の手書きは、その意味を理解しようとする思考にもつながると考えられます。文章力を高めるための “いい循環” がありそうですね。

加えて、曖昧な漢字のディテールが頭のなかでハッキリするのは、本当に気持ちがいい。これが積み重なれば、書くことへの不安も緩和されるのではないでしょうか。

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手書きで漢字の勉強をすると、本当にいいことしかありません。ぜひ取り入れてみてくださいね。

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