コミュニケーションで一目置かれるのは「即、まとめられる人」。仕事で必須の「要約力」を鍛えてみた

「短冊型メモ チェックリスト」を使い、なんでも要約してみたもの

オンラインでのコミュニケーションが主流となったいま、要点をつかんですばやくまとめる “クイックな要約力” が必要とされているそうです。

“すばやさ” において自信がない筆者は、短冊型のツールで要約力のトレーニングを行ない、その成果をミーティングで確かめてみることにしました。その内容を詳しく説明しながら、筆者と同じ悩みをおもちの方へ、クイックな要約力を身につけるヒントをお伝えします。

いま必要なのは「短い時間でまとめる」こと

じつのところ、集めた情報をわかりやすくまとめ、文章にしていくのは得意なほうです。ただ、筆者が得意なのは “じっくり型” の要約作業。つまり、推敲(文章をよりよくするために何度も練り直す)を重ね、要約の精度を高めていく作業です。

その一方で、ビジネスチャットやWeb会議、オンライン営業にオンライン商談、オンライン接客など、増え続けるオンラインコミュニケーションに必要なのは “クイックな要約力” のはず。ひとりでじっくり練り直すわけではなく、相手とのやり取りのなかで行なうからです。なおさらオンラインだと、よりすばやい対応が求められるのではないでしょうか。

2020年に公開された要約に関する記事の冒頭にも、こんな一文がありました。

オンラインでのコミュニケーションが一般的になったいま、必要とされるのは「短い時間で簡潔に伝えるスキル」。

(引用元:日本実業出版社|話がまとまらない人と「要約上手」の決定的な差

自信がないなどと、言っている場合ではありませんね。

「要約力」のトレーニングをやってみた

そこで、強制的に要約するような習慣を取り入れてみることにしました。メモをとるときなどに、わざと書くスペースが少ないツールを用いて、要約せざるを得ない状況にしてしまうのです。

たとえば、一筆箋などでもいいかもしれません。カルチャースクールの樵雲学園によると、一筆箋とは80mm×180mmほどの「短冊型をした細長い便箋」のこと。

何かを送る際などにちょっと添えておくような、短い手紙用の便箋です。書くスペースが少ないので、簡潔にまとめるのがコツとのこと(参考およびカギカッコ内引用元:樵雲学園|一筆箋の書き方とマナー)。

一般的には、下の画像の向かって左にある例のように使います。それを、たとえば例1のように健康情報をまとめてみたり、例2のように仕事で出された修正指示を整理してみたり、なんでも要約メモとして使ってしまうわけです。

一筆箋を使って要約してみたもの

一般的な一筆箋の例は「樵雲学園」記事内のイラストを参考に筆者が作成。
手書きの例はノートで代用したもの。例1の参考元:大塚製薬|ナイアシン

あるいは、似たようなサイズの「短冊型メモ チェックリスト」(無印良品)といったものもあります。

無印良品の「短冊型メモ チェックリスト」

(画像の引用元:STUDY HACKER|「学んだことをちゃんと活かせる人」がしていること。“自分の言葉で覚える力” を鍛えてみた

試しに、先の一筆箋(ノート代用)で要約したものと、同じ情報を要約してみました。1行1行の幅が狭いので、よりいっそう要約力が鍛えられそうです。

短冊形メモ・チェックリストで要約してみたもの

(メモ内参考元:前出の「大塚製薬」サイト)

これだけ書くスペースが少ないと、バッサバッサと不要な情報を切り捨てられそうな気がします。だとすれば、間違いなく要約力アップに貢献するでしょう。

伝える力【話す・書く】研究所所長の山口拓朗氏は、著書『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』(日本実業出版社)のなかで、相手に伝える情報を絞り込むとき「何を伝えるか」だけでなく、

「何を伝えないか」を決めることも大切

だと述べています。「理想は、手元にある情報の9割を捨てること」なのだとか。

(カギカッコ内含む引用元:前出の「日本実業出版社」記事)

こうしたことをふまえ、まずは手元にあった「短冊型メモ チェックリスト」を使い、なんでも要約してみました。

「短冊型メモ チェックリスト」を使い、なんでも要約してみたもの

(メモ内参考:SBI証券|新NISAならSBI証券 / 前出の「大塚製薬」サイトおよび前出の「日本実業出版社」サイト)

このような具合に、情報をバッサリと切り捨てながら、限られたスペースにすばやく要約するトレーニングを重ねていったのです。

「要約力」をミーティングのメモで測ってみた

そうして、だんだんすばやく要約する作業に慣れてきたころ、要約力トレーニングの成果を確かめたくなってきました。すると、たまたまオンラインミーティングがあったので、その内容を要約しながらメモしてみることに。

資料を読んで得た情報をすばやく要約するのと、人の話を聞きながらすばやく要約するのとではだいぶ違いますが、仕事をするなかで後者の場面はいくらでもあります。要約力を仕事で発揮できればメリットは大きいだろうと考えたのです。

通常、議事録はパソコンに打ち込むかたちで作成しますが、その日は議事録担当ではなかったこともあり、「短冊型メモ チェックリスト」に手書きで要約しながらメモをとってみることにしました。

今回の試みの目標は、「ミーティングで何が話されたのかが “わかりやすく” かつ “短く” まとめられたメモを “すばやく” つくること」と設定。

その結果、できあがったのがこちらのメモ。内容はお見せできないのでボカシていますが、すばやく書くことを意識するあまり、途切れ途切れのミミズが這ったような字になってしまいました。あとで見返したときに、何が書いてあったかわからなくなりそうなレベル……。

また、いつもにも増して、要約しながら端的にメモを残そうとした結果、ついつい聞き入ってしまった状況が何度もありました。そのため、メモがスカスカになっています。まだまだトレーニングが必要そうです。“慣れ” も求められるのかもしれません。

短冊型のチェックリストを使い、手書きでミーティングのメモをとってみたもの。

ただ、筆者にとっては意外なメリットも感じられました。要約しようと意識したおかげか、ミーティングの内容がいつもよりスッと頭に入ってきたのです。つまり、そのせいで “ついつい聞き入ってしまった” わけです。

ベストセラー『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』(サンマーク出版)の著者・浅田すぐる氏によると、書籍の内容を短くまとめようとして、自分の言葉に変換すると、理解が進んで覚えやすくなるそうです。したがって、書籍の内容を頭に入れるには、要約が最も合理的なのだとか(参考:EL BORDE|本質を掴んで端的に伝えろ!「要約力」こそが最強のビジネススキルである理由

筆者にも、これと似たようなことが起きた気がします。つまり、短くまとめるため、自分の言葉に変換しようとした行為が、頭のなかでの理解を促進した可能性があったということ(だから、「いつもよりスッと頭に入ってきた」と感じられた)。

今回は “わかりやすく要約されたメモを書く” ことが十分にできたわけではありませんでしたが、要約するという行為がもたらしてくれるメリットは大いに感じられました。以前と比べ “クイックな要約” をすることに意識が向くようになったので、これからも書くスペースが少ないツールを使い、見ながら・聞きながらすばやく要約するトレーニングを重ねていこうと思います。

***
短冊型のツールで要約力のトレーニングを行ない、その成果をミーティングで確かめてみたら――要約のメリットを実感でき、「要約=自分の言葉に変換すること」だと知りました。

要点をつかんですばやくまとめる力がつけば、仕事がはかどることは間違いありません。日々のメモを通して、クイックな要約力を高めていきましょう。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

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