キャリアアップのため資格をとりたい。視野を広げるために勉強したい。でも、仕事もプライベートも忙しくて、いつだって自分は勉強に挫折してしまう……。
そんな人でも大丈夫。挫折してしまったら立ち直ればいいのです。
勉強に何回挫折しても立ち直れる方法を3つお伝えしますので、ぜひご自身の勉強習慣化にお役立てください。
1. 三日坊主を繰り返せば、立ち直れる
勉強を始めても、いつも三日坊主で終わる……。どうせ自分は勉強なんて継続できない……。そう悩んでいるとしても、自分を責める必要はありません。
じつは、勉強の習慣化に成功した人でも、もともとは挫折の経験者。彼らは、挫折するたびにやり直すという方法で、勉強を継続できるようになったのです。
勉強を続けられる人とそうでない人の違いは、7回やめてしまったあとで、8回めを始められるかどうかだ——こう述べるのは、ベストセラー『独学大全――絶対に学ぶことをあきらめたくない人のための55の技法』の著者、読書猿氏。
同氏いわく、「7回始めて、7回やめて、そこで終わる」のが、勉強を続けられない人。逆に、勉強を続けられる人は、「7回始めて、7回やめて、もう1回始める」つまり、やり直す回数が多いだけ。
実際、ほぼ100%の人が挫折を経験するものだし、自身も挫折を繰り返している、と読書猿氏は言います。
そもそも、人間にとって “新しい習慣が続かない” のは自然なことです。その理由を心理カウンセラーの中島輝氏は、脳が現状維持を好むからだと説明します。
中島氏によると、脳は「省エネモードで働く」もの。すでに習慣化された行動であれば、無意識のままに行動できるので、脳は余計なエネルギーを消費する必要がありません。
一方、新たな行動を習慣化するには、脳内の神経細胞どうしの結びつきを強化しなくてはならないそう。そのためには大きなエネルギーが必要で、これが習慣化の成功を妨げる要因となるのだと言います。勉強を始めて2~3日経つと、「なんか面倒くさいな」「明日にしよう」と意志が弱くなるのは、こういう理由からだったのです。
たとえ勉強を3日でやめてしまったとしても、日を置いてもう一度始めてみましょう。「始める→挫折→始める……」と繰り返せばいいのです。中島氏も、勉強を休んだら休んだですぐに切り替えればいいと述べています。
始めのうちは毎日勉強できなくて当たり前。“挫折してもいい” ことを自分に許しながら、何度もやり直しを試みてください。
2. 勉強する目的を確認すれば、立ち直れる
とはいえ、「挫折した勉強を再び始めること自体が難しい……」と感じるときもあるはず。そんな場合は、もう一度「なぜ学びたいのか」を確認してみましょう。
前出の読書猿氏は、8回めを始められる人と7回めで終わる人の差として、「動機づけ」を挙げています。たとえば、
漠然と「いまの時代には英語力が必要だ」と思ったので、英語の勉強を始めた。しかし、思い通りにはかどらず、これじゃあ勉強しても意味はないかなと諦めてしまった……。
というように、学ぶ目的を自分なりに意味づけしない人は、いつまでたっても勉強を「やらされる」だけの人。受け身でいる限り、いつか挫折してしまうと読書猿氏は指摘します。
これに対し、勉強に何度挫折しても立ち直れる人は、「なぜ学ぶのか?」を明確に意識し、適宜メンテナンスしているとのこと。
「やりたいこと」は、待っててもどこかから降っては来ないんですよ。やりたくないけどやらなくちゃならないことを頑張っている時、「これをやっているのは○○をするためだ」と繰り返し行動と志を結びつけ意味づけることで、動機付けや志は養分をもらって育つんです。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|9割の人が知らない「学び続けられる人」と「挫折する人」を分ける1%の決定的な差)
上の例なら、英語を学ぶ目的には
「いろいろな国籍の人と交流し、世界観を広げたい」
などが挙げられるかもしれません。
“〇〇するため” というイメージが描けるようになると、勉強の必要性が感じられて、挫折しても立ち直りやすくなるはず。一度、ご自身の勉強の動機を確認してみてはいかがでしょうか。
3. 勉強のハードルを下げれば、立ち直れる
何度もやり直すことが大切といっても、勉強習慣が定着するまでの道のりは長いもの。そこで、習慣化しやすい方法を押さえておくのも肝心です。それは、“勉強のハードルを下げる” というもの。
ケンブリッジ大学大学院で心理学を修め、グローバルリーダー育成専門のジーエルアカデミア株式会社を設立した塚本亮氏は、努力が続かないと悩む人は、そもそもそのハードルが高すぎる可能性があると指摘します。
じつは、偏差値30台だった高校1年生の頃、大学受験用の参考書を読んでも歯が立たなかったという塚本氏。小学生向けの歴史マンガから入るなどして勉強のハードルを下げたところ、「これならなんとかなる」と意欲が湧いたのだとか。
社会人でも、たとえば初めて簿記の試験に挑戦するのに、簿記1級の問題集を買って取り組んでも、何もわからず諦めてしまうもの。自分が理解できる級にまでハードルを下げ、段階を踏んでいくことが、苦なく勉強を続ける秘訣なのです。
勉強内容だけでなく、勉強時間のハードルを低くすることも大切です。
勉強コーチングを手がける、日本ブレインアップジム代表の椋木修三氏は、数分間だけテキストのページをパラパラとめくることを提案しています。全体の流れを確認するだけで予習や復習になりますし、「忙しかったけど勉強できた」という自負にもなって、勉強習慣を維持しやすくなるのだそう。
背伸びせず、いかに一歩を小さくできるか——これが、意欲を失わず前向きに勉強を続けるために重要なことなのですね。もし1日30分の勉強が続かなかったら、15分、10分と時間を短くして、ハードルを下げてみましょう。
***
一度勉強を諦めても、また始めること。少しだけハードルを下げること。挫折から立ち直るためには、完璧さを手放すことが大切です。
今回ご紹介した方法を参考に、ぜひ、また勉強に挑戦してみてくださいね。
(参考)
ダイヤモンド・オンライン|9割の人が知らない「学び続けられる人」と「挫折する人」を分ける1%の決定的な差
STUDY HACKER|習慣化に3日で挫折する人としない人では「サボったあとの対処の仕方」が全然違う
ダイヤモンド・オンライン|「この方法」で偏差値30からケンブリッジに受かった!毎日、つい努力できてしまう「5つのルール」
Dybe!|ショボい目標から始めよう。「すぐやる人」になるための今日からできる行動習慣
ダイヤモンド・オンライン|試験勉強は「完璧を目指さない」のが合格への近道
【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。