仕事をするうえで意思決定を迫られる場面は多々あります。なおさらチームリーダーともなれば、その頻度が増え、内容も複雑になるでしょう。今回は、識者たちのアドバイスや脳科学の研究を参考に、「意思決定のときに大切にすべきこと」を探ります。

心の声に耳を傾けよう

米Apple創業者の故・スティーブ・ジョブズ氏は、2005年に母校スタンフォード大学で行ったスピーチで、「最も大事なことは、あなたの心や直感に従う勇気を持つこと」だと話しました。同氏は、毎朝「今日が人生最後なら、今日やることは本当にやりたいことか?」と問いかけ、それに対し「No」という答えが続いたら、「何か変える必要がある」と知っていたからです。

その意識は、意思決定においても必要かもしれません。

米ニューヨークのセラピスト、マリア・バラッタ氏は、何かを決断しようとした際に少しでも違和感があれば、いったんその決断を保留にして、心の内なる声に耳を傾けるべきだといいます。

そうすべき理由は、もう一度冷静に考えて最適解を導き出すためですが、実は後悔しないためでもあります。どんなに優秀でも、常に正しい意思決定ができるとは限りません。自分の内なる声を無視した決定が最良ではなかった場合、その後悔の度合いはより大きくなるでしょう。

自分の声に耳を傾けるということは、いま一度冷静かつ客観的になること、そして精神的なリスクを最小限にすることでもあるわけです。

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1日1時間しか勉強できない超多忙な私が、90日でTOEIC800越え。「私に合った勉強法」のほんとうの意味。
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意思決定を行う際の4つのステップ

ではここで、マリア・バラッタ氏が提唱している4つのステップを、分かりやすくまとめてご紹介します。

1.意思決定に集中できる場所と時間を確保
――ジム、散歩、公園、カフェ、電車、バスなど、タスクフリーの状態で考えられる場所に身を置く。

2.いますぐ決断すべきか再確認
――最優先の案件に集中できるよう、先送りできる意思決定を除外する。

3.経済的合理性の面から問題を考える
――実利を得るための最適解を考え、いったん自分のクセや思い込みから解放される。

4.決断がもたらす「結果」をイメージしてみる
――イメージした「結果」がしっくりこなければ、自分の“心の内なる声”に逆らっている可能性が高い。

最後のステップで違和感があれば、再考が必要だということになります。

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ビジネスリーダーが意思決定を行う際の3ステップ

そして、もしもあなたがビジネスリーダーであれば、前項の基本的なステップのほかに、チームメンバーとの関係を含めたステップが必要になります。米IT企業「Khorus」のCEO、ジョエル・トランメル氏が解説した内容を参考に、ビジネスリーダーがよりよい意思決定をするために必要な3つのステップをご紹介します。

1.以下のように分類し、その特性に応じて活用する

重要ではない意思決定――試験的に意思決定をチームメンバーに任せて、「意見を聞く」「責任意識を育てる」機会として活用。
重要だが判断が容易な意思決定――上位メンバーに意見を求め、多様なチームメンバーの合意形成に役立てる。
とても重要で判断も難しい意思決定――上位メンバーに意見を求めるが、最終判断はリーダーである自分が下す。

2.意思決定をチーム内で透明化

「決断したこと」「決断によって起こると予想される状況の変化」「決断するにいたったプロセス」を必ずチームメンバー全員に説明し、理解を広める。

3.検討会を行い結果を分析

意思決定後は必ず検討会を行い、何か問題があればすぐに解決策を検討する。そうすることにより、その後の意思決定の質が向上し、リーダーとしてメンバーからの支持や信頼も得られる。

このように、リーダーとしての意思決定は、個人の範疇で行うよりも手間が多くなりますが、そのぶん得るものも大きいはずです。では次に、意思決定を行う際に、注意すべき点をご紹介します。

意思決定を行う前に注意すべきこと

長年、企業上層部の意思決定を研究しているという、ベイン・アンド・カンパニーのパートナー、マイケル・C・マンキンズ氏によれば、よい結果を生まない意思決定には、以下5つの誤りが生じているとのこと。

1.万能な解決策を求めた意思決定
――競合を一足飛びに追い抜くことや、即座に業績を急上昇させることは、実際のところ非現実的である。

2.複数の選択肢を検討しない
――代案や、一度は却下した案などを検討せずに重要な意思決定を行ってしまうと、意思決定の質は高くならない。

3.意思決定に関わる人が多すぎる
――同氏の調査によれば、意思決定に関わる人数が7人を超えると、そこから1人増えるごとに意思決定の有効性が10%下がるとのこと。

4.継続事項についての検討を怠る
――新しい決断だけに目を向け、現在行っていることを継続するか否か判断していかないと、貴重な時間も資源も無駄にし続けてしまうことがある。

5.意思決定後の危機管理
――重大な意思決定には複雑さがともなうため、リスクを想定して十分な対応策を検討し、予防措置を取らないと、後に最悪の事態が起こる場合がある。

以上を踏まえ、可能な限り少人数の意思決定モデルを守り、複数の選択肢をしっかりと検討するようにしましょう。また、非現実的な解決策を求められるまま応じようとせず、解決できること・できないことを明確にしたうえで、最適な意思決定を下しましょう。そして、重大な意思決定後に何が起こるか想定し、備えておくことが大切です。

決断前は、全く関係ないことをする

最後に、興味深い研究をご紹介します。米カーネギーメロン大学の研究チームが2013年に発表した内容によれば、何か重要な決断を下す前に、全く関係のないことを2分間行うことで、正しい判断をする確率が高くなるそうです。

研究チームが行った実験は、27人の健康な参加者に、質が良いものや、質が悪い車のパーツなどを見せ、その後それらがランダムに組み合わさった車体を提示し、短い時間内で評価してもらうというもの。

すると、評価する前の2分間、全く関係のないことをしていたグループが、最も正確に車の価値を評価できたそうです。その際MRIで脳の活動をチェックしたところ、関係ないことをしているときも、意思決定に関係する部位(視覚野と前頭前皮質)の活動が続いていたそう。いったん意思決定から自分の意識を離して他のことに没頭したほうが、最適な決断を下すための活動を脳がしやすくなるわけです。

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プロセスをしっかりとふんでリスクにも備え、ぜひ「意思決定のプロフェッショナル」になってください!

(参考)
@DIME アットダイム|ビジネスリーダーとして良き決断を下すための3つのステップ
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|重大な意思決定の前に注意すべき5つの罠
ログミー|仕事や人生に効くスティーブ・ジョブズの名プレゼン