勉強記録はどうつけるのがベスト? あなたに最適な記録法がYes/Noチャートですぐわかる

最適な勉強記録法をチャートで診断01

勉強を頑張りたいけれど、習慣化も効率化もできない……。そんな悩みは「勉強記録」をつけることで解消できるかもしれません。

習慣化コンサルタントの古川武士氏によると、行動を継続するには「記録」が有効だそう。勉強記録を見返せば「続けられている!」と確認でき、それが勉強意欲アップにつながります。また、思うように勉強がはかどらなかったときの記録も残しておけば、「次は失敗しないぞ」という意識が働き、学習効率の改善につなげることが可能。

とはいえ、勉強記録といっても方法はさまざま。どうせなら自分にピッタリのやり方を実践したいですよね……。上のチャートでたどり着いたものがあなたに最適な勉強記録法! それぞれについて詳しく解説しましょう。

1. KWL表

「勉強は読書が中心」で「記録は紙1枚にまとめたい」人には、「KWL表」を使った読書記録がおすすめです。

KWL表とは、アメリカの教育学者Donna Ogle氏が1986年に提唱した、教材を効果的に読むための方法。「K」「W」「L」の意味は次のとおりです。

  • K=Know(What I know):この本について知っていること
  • W=Want(What I want to learn):この本から知りたいこと
  • L=Learn(What I learned):この本から学んだこと

記録の手順はいたってシンプル。

  1. 紙1枚(もしくはノート1ページ)に、左から「K/W/L」の3列の枠をつくる
  2. 読書前にK列とW列を埋める
  3. 読書後にL列を埋める

K・W・Lには、それぞれ狙いがあります。

まず、すでに「知っていること(K)」を書き出すと、新しく学ぶ情報への理解が早くなります。メンタリストDaiGo氏いわく、人間の脳には新しい知識を古い知識に結びつけて覚える仕組みがある、というのがその理由だとのこと。

そして、「知りたいこと(W)」を書き出すと、目的意識を高めることができます。レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長で、『レバレッジ・リーディング』著者の本田直之氏によれば、目的意識をもって本を読むと、自分が知りたい情報が目につきやすくなる「カラーバス効果」が得られるそう。

最後に「学んだこと(L)」を書き込めば、知りたいことをどれだけ知れたかがひとめでわかる表が完成。紙1枚にまとまるので、復習にも役立つのです。

以上をふまえて筆者が作成したKWL表がこちら。

最適な勉強記録法をチャートで診断02

読んだ本は『きほんの呼吸』(大貫崇著)。勉強記録としてより役立てるため、「本のタイトル」「購入日」「読了日」も記入してみました。

実践してみると、学べたことの多さがひとめでわかり、勉強を続けていくやる気が大いに高まりました。また、本を読むスピードも飛躍的にアップ。知りたいところを重点的に読み、そうでないところは読み飛ばすことで、読書効率を上げられました。

KWL表は特に、本を読みながら新しい分野の学習をしたいときに向いていそうです。初めて学ぶ内容は理解しにくく、時間がかかりがちですが、KWL表を利用すれば理解が早まりますし、出来上がった記録で確実に成長を実感できますよ。1回つくるだけでもたしかな効果が得られますので、ぜひ試してみてください!

2. ねぎま式読書ノート

「勉強は読書が中心」で「記録は紙1枚でなくてもいい」という人は、「ねぎま式読書ノート」という記録法を試してみてください。

これは、『読書は1冊のノートにまとめなさい』の著者・奥野宣之氏がすすめるもの。本からの「引用」と、その文章への「感想」を交互に書いていく記録法です。焼き鳥の「ねぎま」に例えて名づけられました。

手順はこちらです。

  1. 本を読み勉強するなかで気になった箇所を、ノートに書き写す(引用)
    →記憶定着を促せる。
  2. 続けて感想を書き込む。
    →アイデア発想のヒントになる。復習時に、読んだ当時の考えといまの考えを比較できる。

この記録法も実際にやってみました! 一部抜粋したものがこちらです。

最適な勉強記録法をチャートで診断03

読んだ本は『リーダーの仮面』(安藤広大著)。奥野氏によると、感想は「おもしろかった」などごく短いものでもいいとのことだったので、長い感想と短い感想を両方書いてみました。ひとこと添えるだけでも学んだ内容がより記憶に残ったように感じています。

このように感想を書くことは、科学的にもたしかに効果的であるようです。精神科医の樺沢紫苑氏いわく、人間は「話す」「書く」といったアウトプットをしないと知識を記憶に定着させられないとのこと。特に「自分なりの気づきや意見」を書くことが、忘れにくい記憶にするポイントなのだそう。

この記録法は、じっくり1冊の本と向き合って勉強する際に最適です。本から学んだ内容が確実に自分のものになるので、勉強意欲も大いにアップしますよ。

3. ストップウォッチ記録法

「勉強は読書に限らない」人で、問題集や参考書を利用しながら「試験の合格を目指している」人には、「ストップウォッチを使った勉強記録」がおすすめ。東大卒・同大学院修了の薬学博士である木村美紀氏が、東大入学前の受験勉強で行なっていた記録法です。

やり方はとても簡単で、ストップウォッチで勉強時間を計測し、何を何時間勉強したか記録するだけ。1日の合計時間を毎日書き、1週間、1カ月分の合計時間も書き出します。木村氏は、時間を足し続けるカウントアップ方式で計測していたそうです。

たとえば、簿記試験合格を目指して勉強しているなら、このような記録となるでしょう。

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木村氏いわく、勉強時間の記録は何よりモチベーション維持に効果的だとのこと。勉強時間の記録は、言い換えれば自分の努力の記録。蓄積することで喜びや自信が生まれます。比較対象は「他人」ではなく「過去の自分」になるので、成長実感が得られるのもメリット。加えて、時間の使い方の改善にもつながるそう。

平日のスキマ時間にしか勉強できない社会人の場合、頑張ったという感覚は得づらいと思います。しかし、この記録法で合計何時間何分勉強したかを可視化すれば、「充分勉強できたぞ!」と思えて学習意欲を維持できるはず。逆に「これじゃ足りない!」と思う場合には、時間の使い方を工夫して勉強時間を増やそうと行動につなげられます。ストップウォッチ記録法で、どんどん勉強時間を積み上げていきましょう。

4. リフレクションノート

「勉強は読書に限らない」人で「試験勉強に限定せず講義やセミナーでの勉強もする」人には、「リフレクションノート」をおすすめします。幅広い学び方に対応できる記録法ですよ。

こちらは、ケンブリッジ大学大学院を修了し『すぐやる人のノート術』ほか多数の著書をもつ塚本亮氏がすすめる方法。「D」「C」「A」「P」という項目に沿って、その日の振り返りをもとに翌日の計画を立てる記録法です。

  1. Do:今日何をしたか
  2. Check:それはどうだったか
  3. Action:どうすれば改善できるか
  4. Plan:次はどうするか

「PDCAサイクル」の起点を「Do」にし、最後を「Plan」にしたものと考えれば理解しやすいですね。やり方は次のとおりです。

  1. ノート1ページを横向きにして、右上に日付を書く
  2. 縦に4分割、横に3分割し、左からD→C→A→Pとする
  3. それぞれの欄を埋めていく

使うノートの種類として塚本氏は、罫線により発想が制限されることのない「無地か方眼のノート」を推奨しています。資料などを貼りつけるのに便利なA5サイズがおすすめだとのこと。

こちらも筆者が作成してみましたので、ご覧ください。

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リフレクションノートで記録をしてみてとても有効だったのは、「次はどうするか」(Plan)を考えること。次に勉強すべきことを具体的に決めたことで、先延ばしすることなく翌日すぐにその勉強を実行できました

かかった時間は5分程度と短かったので、ほかの記録法との併用もおすすめしたいです。たとえば、ストップウォッチ記録法で勉強時間の記録をつけつつ、勉強が思うようにはかどらなかったと気づいたときはリフレクションノートをつくり、明日の勉強内容を考えてみる、というやり方もよいでしょう。

***
勉強の内容やシチュエーションに合わせて、ぜひ自分に合った勉強記録を取り入れてみてください!

(参考)
古川武士(2010),『「続ける」習慣』, 日本実業出版社.
ReadingQuest|Strategies for Reading Comprehension K-W-L
メンタリストDaiGo(2019),『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』, 学研プラス.
本田直之(2006),『レバレッジ・リーディング』, 東洋経済新報社.
ITmediaビジネスオンライン|本のことは100円ノートにまとめなさい! 奥野宣之氏の“読書術”
奥野宣之(2013),『読書は1冊のノートにまとめなさい[完全版]』, ダイヤモンド社.
樺沢紫苑(2018),『学びを結果に変えるアウトプット大全』, サンクチュアリ出版.
プレジデントオンライン|ストップウオッチが、ある東大生の人生を変えた!
塚本亮(2018),『すぐやる人のノート術』, 明日香出版社.
大貫崇(2019),『きほんの呼吸』, 東洋出版.
安藤広大(2020),『リーダーの仮面』, ダイヤモンド社.

【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。

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