ノートにまとめるより「テキストに書き込む派」向け。理解と記憶に効く本当に効果的な書き込み方

テキストに書き込んで勉強する人

「勉強効果が上がるとわかっていても、わざわざノートを書くのは面倒」
「ノートをまとめる時間がもったいない」

そう感じた経験はありませんか? ノートをとる本来の目的は、勉強した内容を覚え、仕事や試験に活かすこと。知識が身につくならば、ノートに書かず直接テキストに書き込んでもいいはずですよね。

そこで、本記事ではテキストへの書き込みで効率よく知識を定着させる方法を紹介します。ぜひ日々の勉強にお役立てください。

【ライタープロフィール】
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格を取得。現在は国際中医師合格を目指し毎日勉強している。勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

効果的な書き込み方1. ペンの色は1色だけにする

たくさんの色を使ってノートをとればきれいな紙面ができあがりますが、どこが重要なのか、ひとめでわかりにくいというデメリットがありますよね。そればかりか、頑張ってノートをつくったわりには、記憶に残りにくい場合もあるもの。

そんなカラフルなノートづくりよりも効果的なのは、1色のペンでテキストに書き込むことです。

「色を複雑に使い分けても、一目で理解できない」ようなノートづくりをしていては「ノートをつくることが中心となってしまい、暗記することまでには力がおよばない」と話すのは、宅建試験対策研修事業を行なうナルミナスキャリア代表で、現役講師も務める並木秀陸氏。教材に書き込むための「『赤のボールペン』1本」さえあればいいと述べます。(カギカッコ内引用元:マネー現代|試験に受かる人は「赤ボールペン」1本でメモをとる…「本番に役立つ」勉強法

赤1色では、大事な部分がどこなのかかえってわかりにくいのでは? と思うかもしれません。ですが、線の引き方や印のつけ方を工夫すれば、ポイントがひとめでわかるように書き込めるそう。

参考になるのが、同氏の教え子が実際に行なっていたという書き込み方です。

  • 「重要な部分にアンダーラインもしくは波線や二重線など」を引く
  • 「重要だと思ったところ」は「星印」や「◎」で囲むなどで「強調」する
  • 「因果関係や流れ」は「テキストに書かれているキーワードを矢印でつなげ」る
  • 「比較関係」は「=」や「⇄」を使う
  • 「すでに知っている事柄と一緒(似ている)」ならば「○○と同じ(似ている)」と「自分の感情や思考も書き記」す

このようにテキストに直接印をつけていく方法は、「本番に役立つ、それを見据えたスタイル」だと、同氏は言います。

(カギカッコ内引用元:同上)

たしかに、実際の試験では、問題に色分けしながら書き込むことはできませんよね。色分けをせずに印や線で書き込むことに慣れておけば、本番でも問題用紙に書き込みながら情報を整理することが可能なのです。

資格試験を控えている人は、試験さながらの気持ちでテキストに書き込んでみては。

赤ボールペンで書き込まれたテキスト

効果的な書き込み方2. 余白に要約する

勉強して内容を理解できた気がしても、いざ人に説明しようとすると、言葉が出てこない……ということはありませんか? もしかすると、テキストの理解度が低いせいかもしれません。心当たりがある方は、文章を要約してみるのはいかがでしょう。

広島大学・琉球大学・福岡教育大学による共同研究の結果から、文章を自分でまとめる(つまり、要約する)と理解度が向上するとわかったそうです。(参考:石田潤,桐木建始,岡直樹.森敏明(1982),「文章理解における要約作業の機能」, 日本教育心理学会,30巻,4号,pp.322-327.

テキストの内容を要約すれば、勉強していることへの理解が深まると言えます。おのずと知識も定着するはず。その要約をテキストに書き込んでしまえば、別でノートを用意するより効率的ですね。

ただ、要約に苦手意識のある人もいるでしょう。そんな人でも、コツを押さえれば要約しやすくなります。資格・勉強法アドバイザーの鈴木秀明氏によれば、次の3つのポイントを意識すればいいのだそう。

  1. あるワードを削除しても文意を変えずに文章が成り立つなら、そのワードは消す
  2. 複雑なワードや表現を、もっと簡潔な別のワードに置き換える
  3. あえて書かずとも残りの文章から当然連想できる内容は、まるごと省略する

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|覚え方は要約力で決まる

つまり、まずは押さえるべき部分と端折ってもいい部分を明確にするのです。

同氏は、特許法の条文を例に解説します。

  1. 「消す」:「特許出願の日」⇒「出願日」
  2. 「置き換える」:「その特許発明の実施をすることができない期間」⇒「実施不可期間
  3. 「省略する」:延長登録の出願により延長することができる」⇒「延長可」

(カギカッコ内引用元および上記参考:同上)

ここで気をつけるべきなのは、正確性に欠けた要約をしないことです。

たとえば、「特許権は出願日から20年」を「特許は20年」としてしまうのは考えもの。
「20年の起算日が『特許出願日』なのか『設定登録日』なのかを区別して覚え」る必要があるからです。(カギカッコ内引用元:同上)

重要な部分はやみくもに省略や言い換えはせず、正確に記すよう努めましょう。

理解度を高める書き込みをしたいなら、以上のポイントを押さえて、余白に書き込みするといいでしょう。

テキストの余白に要約を書き込む手

テキストに書き込んでわかった3つのメリット

筆者も、効率よく知識を身につけたいので、実際にテキストに書き込みながら勉強してみました。

印を書き込む際に設けたルールは、以下のとおりです。

  • 書き込む色は赤色のみ
  • ポイントとなるワードは「○」で囲み、文章には下線を引く
  • 問題に何度も出てくる重要なワード・文章には「☆」をつける
  • 難解な文章は「□」で囲み、余白に要約する

こちらが実際に書き込んだものです。

テキストに書き込む勉強法実践(ノート全体)

テキストに書き込む勉強法実践(ノート詳細)

(画像は筆者作成)

テキストに書き込んでみて、以下の3つのメリットを実感しました。

  1. 読んだ内容が記憶に残る
  2. 見返したとき、ポイントがわかりやすい
  3. 場所を選ばないので、習慣化しやすい

テキストを読んでも、なかなか文章が頭に入らないのが長らく悩みだった筆者。ですが、要約しながら読むことで「つまり、こういうことか!」と理解度が高まり、記憶への定着を実感できました。

また、以前はテキストで確認したい内容があった場合、該当分野の文章全体を読み直して余計な時間がかかっていました。今回の方法は印でポイントが明確化され、見返してすぐ知りたい情報にたどり着けたのです。

さらに、これまではテキストとノートを置ける場所でしか勉強ができませんでしたが、電車での移動時間や寝る前のベッドの上などでも手軽に勉強しやすくなり、習慣化につながりました

「テキストを読むと、すべて大切に思えて印だらけになりそう……」と考える人もいるかもしれませんが、そんなときは問題集を参考にするのがおすすめ。問題演習後にテキストを見直せば、「問題に何度も出てきたから、このワードは大事そうだ」「この部分の理解ができていないから、解けなかった」とポイントとなる箇所が明確になるからです。実際に問題を解く時間がない場合は、問題の解答を参考にするのもいいでしょう。

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テキストに直接書き込むことで、知識を効率よく定着させる方法を紹介しました。ぜひ、日々の勉強に活用してみてくださいね。

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