東大生は本の前に “これ” を読む。理解度爆上がり「読書前のルーティン」5パターン

読書前のルーティーン01

「仕事は忙しいけれど、本を読んで知識を身につけたい」というビジネスパーソンは多いはず。しかし、疲れて挫折してしまったり、読んだものの振り返ると内容を覚えていなかったり……。どうすれば、効率よく本の内容を頭に入れることができるのでしょう。

メンタリストDaiGo氏は、身になる読書ができるかは「本を読む準備」をしているかどうかで7割決まると断言します。読書の効果を確実に得たいなら、読書の前のちょっとした準備が大切なのです。

今回は、本の内容を効率よくしっかり頭に入れるために行なうべき「読書前のルーティン」をご紹介します。効率的かつモチベーションを損なわずに本を読む “デキる人” たちは、読む前の準備をとても大切にしているようですよ。

身になる読書には「目的の設定」が最重要

読書は本を「開く」ところから始まると思っていませんか? じつは、本を「開く “前”」から読書は始まっているのです。

有限会社シンプルタスク代表取締役で習慣形成コンサルタントの吉井雅之氏は、著書『習慣が10割』において、「目的がないものは長続きしない」と述べています。それは読書にも言えること。目的をもって本を読まなければ、途中で飽きてしまったり、読んでも頭に内容が入ってこなかったり、ということがありうるのです。

ですから、読書をする前に、その本を読む目的を設定しましょう

たとえば、脳科学に関する本を読むとします。「なんのためにこの本を読むのか?」と自分に問いかけ、「勉強をはかどらせたいから」「頭がいい人はなぜ頭がいいのか知りたい」「自分が脳に悪い行動をしていないか確かめたい」……などと答えてみましょう。自分なりの目的意識をもてば、本の内容が頭に入りやすくなるはずです。

目的を決めたあとは、付箋などに書き込んで本に貼っておけば、目的を忘れずに本を読み進めやすくなりますよ。ノートに書いておいて、読書をしながら定期的に見返してもよいですね。ぜひ自分なりに工夫し、読書の目的を常に意識してみてください。

読書前のルーティーン02

「キュリオシティ・ギャップ」で知識を定着させる

前述のとおり、読書前には「目的」を決めることが大切です。その応用としてご紹介するのが、メンタリストDaiGo氏もすすめる「キュリオシティ・ギャップ(好奇心のギャップ)」というメソッド。「本を読む前からすでに知っていること」と「本を読んでこれから学ぶ知識」の差を意識することで、内容を記憶に定着させるテクニックです。

やり方は以下のとおり。

  1. ノートを用意する(A4用紙を横に置いて、真ん中に縦線を引いてもOK)
  2. 左ページ「すでに知っていること」を書き出す
  3. 右ページに、目次を読んで興味をもったタイトルなど「自分の知らない内容」を書き出す

この取り組みの狙いは、好奇心を刺激することにあります。DaiGo氏によれば、好奇心がかき立てられると、やる気と深く関係する脳の「報酬系」という領域が活性化するのだそう。報酬系は記憶力をつかさどる海馬と隣接しているため、報酬系が活性化すると海馬も動き出し、記憶力が高まるのだとか。本から新しく学びたいことを事前に明確化することで、「知りたい!」という好奇心が刺激されるため、本の内容が記憶に残りやすくなるというわけなのです。

加えて、すでに知っている知識を前もって確認しておくことは、読むべき箇所と読まなくてもいい箇所を特定することにもつながります。そのため、読書スピードが上がる効果も期待できるそう。

実際に、キュリオシティ・ギャップを使った読書をやってみました。今回選んだ図書は、有田秀穂氏の『医者が教える疲れない人の脳』。読み始める前、ノートに以下のように書き出しました。

読書前のルーティーン04

ノートに書き出すことで、「この本から、何を得たいのか」を読む前にはっきりと確認することができました。

また、自分のすでにもっている知識を明確にしたことで、「××ということは知っていたけれど、○○についてはもっと知りたいな」というように、好奇心が確かに刺激される感覚がありました。知識の延長線上に新たな情報が加わったように実感しています。

さらに、DaiGo氏が言っていたように、「この章は知っている情報だから読み飛ばそう」「ここは知らない情報・興味が惹かれる情報について書いてあるからしっかり読もう」と無駄のない効率的な読み方をすることができました。

これまで本をなんとなく読みがちだった人は、「読書の目的を決めなさい」と言われても、ぱっと思いつかないかもしれません。ですが、「知っていること・知らないこと」の差を意識するだけなら簡単にできるはずですよ。ぜひお試しください。

読書前のルーティーン03

東大生がやっている「本を読む前の3つの準備」

最後は、知識の吸収に優れる東大生たちが実践している、読書前のルーティンを紹介しましょう。彼らもやはり、本を読む前の準備を重要視しているようです。

現役東大生で、著書『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』などがベストセラーとなっている西岡壱誠氏によると、東大生が難しい本をすぐに理解できるのは、「読解力が優れているから」ではなく、「本を読む前の工夫が優れているから」なのだとか。

西岡氏が著書『マンガでわかる東大読書』で紹介する、東大生が本を読む前に行なう3つの工夫を以下で解説していきます。

1. 前提知識をつける

東大生は、難しい本を読む際、その足がかりとなる簡単な本を探すそう。「はじめての◯◯」「◯◯入門」「漫画でわかる◯◯」など、初級者向けのやさしい本で初歩的な知識をつけてから、最終的に読破したい本に取りかかるのです。

前提知識をつけておけば、難しい本や、新しく勉強したい内容の本を読み進めやすくなります。難しくて挫折してしまうことへの心配も減るでしょう。

2. タイトルから内容を推測する

東大生は本を読む前に、その本が語りたいことをタイトルから推測するそう。

たとえばビジネス書『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』であれば、「私たちが正しいと思い込んでいることがじつは間違っていると主張する本なのかな?」など。

常に「なぜこのタイトルをつけたのだろう?」と考え、内容を予測しながら読むことで、本への理解力が上がっていくのだそうです。

3. 要約を先に読む

本を読んでから、ほかの人たちの見解が気になってオンラインで要約を探すことはよくあるでしょう。しかし西岡氏は、このやり方は間違っていると断言します。東大生は逆で、本の内容がまとまっている文章を先に読んでから読書に取りかかるそうなのです。

要約を読んだからといって、本は読まなくてもいい、というわけではありません。要約はあくまで要約なので、事前準備として内容を把握するためだけに目を通します。そのあとは、自分なりに考えを深めながら詳細を読み進めていく――こうすることで、より効果的な読書ができるのです。

要約を先に読むなんて、ちょっと手抜きのようにも思えますが、この工夫が知識の吸収力を高めてくれるのですね。

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本を読む前に行なうことで、より理解度や読書スピードが上がる「読書前のルーティン」をご紹介してきました。ぜひ参考にしてみてくださいね。

(参考)
吉井雅之(2018),『習慣が10割』, すばる舎.
メンタリストDaiGo(2019),『知識を操る超読書術』, かんき出版.
東洋経済オンライン|東大生がやっている「本を10倍ラクに読む」技術
西岡壱誠(2020),『マンガでわかる東大読書』, 東洋経済新報社.
有田秀穂(2020),『医者が教える疲れない人の脳』, 三笠書房.

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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