本を読んでも「へぇ」で終わる人におすすめ。 “読書×◯◯” の合わせ技が最強だった話

アクションリーディングとは1

みなさんは、次のような読書をしているという心当たりはありませんか?

  • 「本はいいものだから何冊読んでもいい」という、目的のない読書
  • 「ベストセラーだから読もう」という、本選びに主体性がない読書
  • 読み終わっても「へぇ」で終わってしまう、成長につながらない読書

こんな受け身の読書をしがちなあなたには、アクションリーディングが向いているかもしれません。筆者もぎくりとしたひとりなので、この読書法を試してみました。そのやり方と実感した効果を紹介しましょう。

アクションリーディングでは「集中」が大事

アクションリーディング(行動読書)とは、『ゼロ秒思考』の著者で知られる赤羽雄二氏が考案した読書術です。その名のとおり、本から学んだことや、インスピレーションを受けて「やってみよう」と思ったことを、即行動に移すのが目的。赤羽氏はこれを「攻めの読書」と表現しています。

アクションリーディングが重要視するのは集中。具体的に心がけることは、次の3点です。

  1. 目的意識や問題意識をもって本を選ぶ
  2. インターネット接続を切り、電話はかかってこないようにする
  3. 特に重要なところには黄色の蛍光ペンで線を引く

本を読むときは、なぜ、この本を手に取ったのかを明確にします。本を読む目的がはっきりしているほうが、集中力や吸収力が高まり、内容が頭に入りやすいためです。そして、同時に複数の本は読まず、1冊の本を集中して読みます。ネット接続はオフにし、電話は鳴らない設定にするのは、読書に集中できる環境を整えるため。黄色の蛍光ペンで線を引きながら読むのも、集中力を保つのが目的です。

赤羽氏いわく、読書中はわからない部分があっても戻って読んではいけないとのこと。「わからなければ戻ればいい」という意識が、集中の妨げになるからです。加えて、読書中はノートをとらないほうがよいそう。これは、「集中して読む→中断して書く」のループになり、気持ちの切り替えが難しくなるため。

そうしたデメリットを排除するために赤羽氏がすすめるのが、蛍光ペンで線を引きながら本を読むことなのです。線を引く基準は、次の3つ。

  • 「うまい表現だ」と思ったところ
  • 「なるほど!」と思ったところ
  • あまりほかでは見ない、洞察力や知恵のある内容のところ

ちなみに、黄色がよいのは本をコピーしたときに黒くならないからだそう。

アクションリーディングとは2

アクションリーディングのかなめ「メモ」と「チャレンジシート」の作り方

本を読み終えたら、「メモ」と「チャレンジシート」を作成します。ここが、アクションリーディングのキモ。筆者の実践報告を交えながら詳しく解説しましょう。

筆者が選んだ1冊は、仕事術やタイムマネジメントのスペシャリスト・松本幸夫氏による『「朝の2時間」で一気に、イチバンいい仕事をする!』です。

「なぜ、この本を手に取ったのか」というと、在宅ワークが中心になって以来、始業してからエンジンがかかるまでに時間を要するようになり、午前中の作業効率が低下したためです。早起きして作業時間を増やすのではなく、いまの作業時間のままよりよいパフォーマンスを発揮したい私には、「始業からの2時間(=朝の2時間)」に重きを置いたこの本はぴったりでした。

読み終えたら、すぐに「メモ」をとろう

読了後のメモは、A4用紙に書きます。まず、一番上の左側には本のタイトル、右側には日付を記入。そして、思いつくままに見出しを書き、詳細を下に書き込みます。このとき、該当ページをいちいち確認したり、言葉を吟味したりする必要はありません。思ったとおりに、自分の言葉で表現するのが大切だと赤羽氏は言います。

メモを書く時間は1分半が目安です。数日かけて読んだ場合は、毎日書きましょう。今回、私は1日で読みきったので、メモは1枚に収まりました。メモでは「なぜ朝の2時間が大切なのか」「午前中(トータル3時間)の仕事の割り振り方」「朝の2時間を充実させるための準備」の3点を中心にまとめています。

アクションリーディングとは3

「チャレンジシート」を作成しよう

メモを書いたことで、頭のなかで本の内容が整理されました。そうしたらいよいよ、読書後の「即行動」につながる「チャレンジシート」を作成します。

チャレンジシートには、次の5つを記入してください。

  1. 書名・著者
  2. この本を読んだ目的
  3. 読んでよかったこと、感じたこと
  4. この本を読んで、自分はいまから何をするか
  5. 3か月後には何をするか、どうなっていたいか

こちらが、「書名・著者」「この本を読んだ目的」「読んでよかったこと、感じたこと」を書き込んだ様子。

アクションリーディングとは4

次が、「この本を読んで、自分はいまから何をするか」を書いたものです。ここでは、2~4項目を目安に、なるべく具体的に書いていきます。筆者の場合、「前日の仕込み」「始業前の準備」「始業~2時間」「その後の1時間」の4項目に分けて記入しました。

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そして最後が、「3か月後には何をするか、どうなっていたいか」のパートです。筆者の場合はこうなりました。

アクションリーディングとは6

このようにして完成させたチャレンジシートは、一度書いたらそれで終わりではありません。週に1回振り返り、実践できているか確かめることも大切です。そして3か月後には、実際に行動できたかどうかを、次の4つのマークで評価します。

  • ◎……非常によくできた
  • ○……ぎりぎり達成
  • △……あまりできていない、結果につながっていない
  • ×………まったくできていない

上のチャレンジシートのなかで黄色い蛍光ペンで強調してあるところが、筆者が3か月後につけた評価です。

アクションリーディングで、受け身の読書から脱却できた

最後に、アクションリーディングをやってみて感じたことをまとめます。

本選びに対する意識が激変した

これまでの自分なら、「午前の仕事がはかどらない」と感じたら、朝時間や早起きに関する本、やる気に関する本、いま話題のビジネス書などを漠然と選んでいたかと思います。

しかし、アクションリーディングでは明確な目的をもって1冊を選ばなければならず、必然的に自分の悩みとじっくり向き合うことになります。その結果、本当に必要なのは、「午前中の作業効率を上げる方法を深掘りした本」だと気づくことができたのです。

本を選ぶには、これだけ意識を集中させる必要があるのだと、つくづく実感させられました。本の選び方が変わっただけでも、受け身の読書からの脱却はほぼ成功したと思います。いままであまり主体的に本を選んでこなかった人に、ぜひおすすめしたいです。

「読書→即行動→継続」の流れが実現した

いままでの受け身の読書では、本を読んで「へえ、なるほど」「やったほうがいいな」と感じても、いつの間にか忘れてしまい、ほとんど実行できていませんでした。しかし、チャレンジシートを書きながら「これからやるべきこと」をしっかり確認できたことで、即行動に移すことができました。そして、3か月後まで継続することもできたのです。

チャレンジシートに書いて実践した行動のひとつひとつは、じつはとても些細なことです。たとえば、「朝イチのメール対応は15分で終わらせる」「最後に明日の段取りを確認」「仕事終わりにはデスクまわりをきれいにする」……など。こういった些細なことほど、意識しなければ実行できないものなので、やはりアクションリーディングの成果は大きかったのだと思います。読んでも「へぇ」で終わりがちな人にはぴったりの読書法だと言えるでしょう。

目標以上の成果も得られた

午前中の作業効率アップを目標に始めたアクションリーディングですが、思わぬ成果も得られました。朝の2時間が集中できるようになったら、午後にも数時間ほど “集中できるゾーン” が生まれたのです。「いい流れに乗って、午後も頑張りたい」という気持ちが、1日全体のモチベーションアップにつながったのだと思います。

***
このように、私のアクションリーディングは成功に終わりました。本を読んで、いいなと思ったら即行動! その大切さに気づかされています。ぜひ、みなさんも試してみてくださいね。

(参考)
赤羽雄二 (2016), 『アクション リーディング 1日30分でも自分を変える"行動読書"』, SBクリエイティブ.
松本幸夫 (2007), 『「朝の2時間」で一気に、イチバンいい仕事をする!』, すばる舎.

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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