仕事と勉強の効率が上がる! チャートですぐわかる「あなたに最適な “脳の活性化” の方法」

チャートでわかる脳の活性化1

「なんだか脳がうまく働かなくて、気づけば時間が経っている」
「作業を始めようとすると、ぼーっとしてしまって、何も頭に入ってこない」
このような悩みを抱える人は、多いのではないでしょうか?

そんなときは、仕事や勉強を始める前に、脳を活性化する作業を取り入れてみましょう。つまり、脳内の休んでいる部位を覚醒させて、記憶力や集中力を高めていくのです。朝早くからの仕事や1時間目の授業に身が入らないのは、脳の中でまだ寝ている部位があるからかもしれませんよ。

以下のチャートを使って、自分に合った「脳を活性化させる方法」を見つけてみませんか?

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【脳を活性化させる方法1】朝のランニング

「体を動かすことが好き」で「早起きが得意」という方には、「朝のランニング」をおすすめします。

カリフォルニア大学アーバイン校で神経科学を専門とするマイケル・ヤッサ氏と筑波大学でスポーツ科学を専門とする征矢英昭氏らは、2017年にある共同研究を行ないました。その結果、少しキツめの短時間運動が、記憶をつかさどる脳器官「海馬」の機能向上に関わっていることが世界で初めて証明されたのです。

彼らの実験に参加した健康な生徒たちは、「10分間ペダルをこぐ運動をするグループ」と「10分間ただ座るグループ」とに分かれ、最後に記憶力テストを行ないました。難易度が低〜中の問題では差がそれほど見られませんでしたが、難易度の高い問題に関しては、運動を行なったグループのほうが正答率は高かったのです。

運動は日常生活でも実践しやすいはず。朝起きてから自宅の周囲をランニングするだけで、新たな記憶が脳に定着しやすくなりますよ。

チャートでわかる脳の活性化3

【脳を活性化させる方法2】ランチ前のウォーキング

「体を動かすことは好き」だけれども「朝早く起きるのは少し苦手」という人は、ランチ前に少しだけウォーキングをしてみてはいかがでしょう?

精神科医である樺沢紫苑氏は、自身の著書『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』において、毎日同じ場所で食事をしていると、たまっている疲れを発散できないと述べています。しかし、食事前にウォーキングをすれば、平常心を保つ効果や癒やし効果があるホルモン「セロトニン」が分泌され、脳を覚醒させられるのだそう。あわせて、ウォーキング中に日光を浴びることも、脳の活性化を助成するのだとか。

朝のランニングとは異なり、ランチ前のウォーキングなら、そこまでキツい運動をする必要もありません。ランチに行くがてら外を歩けば、脳が活性化され、午後からのパフォーマンス向上も期待できますよ。

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【脳を活性化させる方法3】計算問題を解く

「体を動かすのはあまり好きではない」が「物事を論理的に考えることならば好き」という方。非常に簡単な計算問題を解くだけで、脳を活性化できますよ。

私たちの脳は、「前頭葉」「頭頂葉」「後頭葉」「側頭葉」の4つに大きく分割されています。そして前頭葉の半分以上を占める「前頭前野」という部位では、思考やコミュニケーション、記憶といった人間を人間たらしめる働きをつかさどっています。

東北大学加齢医学研究所教授の川島隆太氏は、fMRI(脳内の血流を可視化する機器)を用いた調査において、簡単な計算をしているときに前頭前野が働いていることを明らかにしました。朝起きてから簡単な計算問題をたった10問ほど解くと、前頭前野の働きが活発になり、その後の作業に身が入るようになるのです。

注意するべきポイントは、計算問題だからといって、高校や大学レベルの難しい問題を解かないこと。短時間で即座にできることが重要なため、労力がかかってしまう難しい計算問題は、かえってストレスがたまり、集中力を途切れさせてしまいます。

朝のちょっとした時間で、気軽な脳トレーニングを試してみてください。

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【脳を活性化させる方法4】笑顔で話す

「体を動かすのはあまり好きではなくて」「物事を論理的にとらえるタイプでもない」という方には、「笑顔で話す」という方法がうってつけです。

笑顔でコミュニケーションをとることは、幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」の分泌を促進します。脳生理学者の有田秀穂氏によれば、オキシトシンは、ストレスの緩和や他者への信頼感を生み出すホルモンなのだそう。笑うことで日々の鬱憤を解消するのはもちろん、まわりの人ともより親密な間柄を構築することができるのです。

また、作業療法士であり常葉大学保健医療学部教授の山田英徳氏による実験では、自身が笑ったりコミュニケーション相手が笑ったりするのを見ると、脳内の血流がよくなる効果が証明されました。これは言い換えると、脳の働きが活性化するということ。そして、笑顔から生まれる「喜び」は、ドーパミンと呼ばれる物質を同時に分泌し、仕事や勉強の作業能率を高めることを、脳科学者の茂木健一郎氏も指摘しています。

普段から、仏頂面ではなく笑顔で人と接し、脳を覚醒させてみてはいかがでしょう?

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脳を活性化させる方法を4つ紹介しました。普段の生活を変えたい人にもおすすめのテクニックなので、ぜひ試してみてくださいね。

(参考)
The Hindu|Debunking ‘midbrain activation’ of children
Michael Yassa, Hideaki Soya, et al. (2017) "Acute Moderate Exercise Improves Mnemonic Discrimination in Young Adults", Hippocampus, Vol. 3, pp.229-234.
樺沢紫苑(2017), 『神・時間術』, 大和書房.
KUMON 学習療法センター|理論と効果
医療法人社団 平成医会|セロトニンの増加が心身に及ぼす効果
家庭画報.com|現代人は減っている。疲れを癒し、心を整える「幸せホルモン」の増やし方
Hidenori Yamada (2012), "Smile and Cerebral Blood Flow", Japanese Journal of Laughter and Humor Studies, Vol. 19, No. 0, pp.86-95.
茂木 健一郎 (2010), 『脳を活かす勉強法』, PHP文庫.

【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。

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