参考書やビジネス本などを読んで、「なるほど!」と感動しても、いつもそこで終わってしまいませんか? ただ感動しただけでは数週間もすればすっかり忘れてしまい、自分の本物の知識とはなりません。本や人から学んだことを本当に自分のものにするには、どうすればいいのでしょうか。物理学の偉人たちの言葉を借りて考えてみましょう。
友人に説明しよう
「ご冗談でしょう、ファインマンさん」などの本で有名な理論物理学者のRichard Phillips Feynmanは次のような言葉を遺しています。
高校生レベルの知識層に説明して伝えることができなければ、その人は科学を理解しているとは言えない。
(引用元:ソーシャルおじさんの未来のつくりかた(2015))
これは科学に関する説明ですが、他の物事にも当てはまります。専門書や参考書にはいくつもの専門用語が出てきますが、高校生に説明する時には専門用語は使用できません。曖昧に覚えていた専門用語の意味を確認し、噛み砕いて説明しているうちに、自分自身の本物の言葉となって説得力を持つようになるのです。 また、中国の古いことわざ「教うるは学ぶの半ば」には以下の意味があります。
教うるは学ぶの半ばとは、人に何かを教えるときは、半分は自分にとっての勉強にもなるということ。
英語でも“We learn by teaching”という言葉があるように、いつの時代でも人に教えることにより学びが深まると考えられているわけです。あなたも新しい知識をインプットしたら、ぜひアウトプットすることでしっかりと自分の知識にしてください。
自分で試してみよう
新しい知識を簡単に説明すれば、それだけでもう十分なのでしょうか。いえ、偉人はそれだけでは満足していません。Feynmanはこのようにも述べています。
私は自分に作れないものは、理解できない。
(引用元:名言格言集(2015))
相対性理論を築いたかのEinstainも、最善の学ぶ方法をこのように説明しています。
何かを学ぶためには、自分で体験する以上にいい方法はない。
(引用元:癒しツアー(2015))
どちらも、実際に自分自身で作ったり体験することの重要性を述べていますが、Feynmanは、自分で再現できなければ理解さえしない、と言い切っています。今後新たな知識を取り入れたときには、ただ知って納得するのではなくぜひその一歩先まで進むことをおすすめします。
二つ以上の説明を持とう
最後にもう一度、偉大なる物理学者Feynmanの言葉を借りましょう。
『分かる』とは、少なくともそれに関して二つ以上の説明の方法を持つこと。それが出来たとき、初めて私は『本当に分かった』と感じる
(引用元:名言格言集(2015))
一つの事象を二つ以上の方法で説明をするためには、今まで以上に角的に物事を見る目が必要となります。実際にFeynmanはこの言葉通りに、量子力学という物理の分野の基礎方程式(シュレーディンガー方程式)を、それまでとは全く違う方法(経路積分)で導出して見せました。 さらにこの経路積分という方法は、今まで説明がつかないと思われていた物理の法則(最小作用の原理)を説明することも可能にしたのです。二つ以上の説明をできるようになること、つまり多角的に物を見ることは、もっと大きな事実を理解する手掛かりになることもあるわけです。
*** いかがでしたか。今までは新しい知識を手に入れても、ただ感動して終わっていたかもしれません。これからはせっかく得たその知識を、実践したり人に噛み砕いて説明してみてください。この経験の積み重ねで、一つずつあなたの知識の引き出しが増えていくと思いますよ。
参考文献 名言格言集|リチャード・フィリップス・ファインマン語録 癒しツアー|アインシュタインの名言・格言 ソーシャルおじさんの未来のつくりかた|リチャード・P・ファインマンの名言とスティーブ・ジョブズのプレゼン 故事ことわざ辞典|教うるは学ぶの半ば