皆さんは整理整頓が得意な方でしょうか?「苦手な方だな......」と思った方も少なくないと思います。
株式会社日立ソリューションズの実施した調査によると、20代ビジネスパーソンの58.7%が整理整頓に苦手意識を持っており、また「整理の習慣がつけば、仕事効率は上がると思う」と回答した人は94.8%近くにものぼりました。
そうは言っていてもなかなか手が回らないのが整理整頓というもの。まとまった時間をとって整理しても、またどうせ汚くなっていくと思うと、余計後回しにしてしまいがちですよね。
けれど、皆さんはご存知でしょうか。整理整頓こそが、あなたの「脳」の力を最大限に引き出す「魔法の習慣」であることを......。
「デスク」の整理は「脳」の整理
では、整理整頓がなぜ必要なのでしょうか。それはもちろん無駄な探し物をしないためですよね。オイルライター会社のZippoの調査によると、日本人は1ヶ月あたり約76分もの時間を探し物に費やしているみたいです。これは一生に換算すると、なんと52日間......。驚きを通り越してて危機感すら覚えますね。
この探し物をしている時間こそが、「脳」に不必要な負荷を与えています。整理整頓を習慣的に行うことができれば、処理する情報量が減り、脳のストレスが軽減されるのです。仕事がデキる人ほど、習慣的に整理整頓をすることで脳を効率良く使っているのかもしれません。
「作業興奮」で脳を覚醒させる
整理整頓を習慣にすることで、「脳」のストレスを減らし、作業能率をあげる。ここまでの内容であれば、それほど驚くべきことではないでしょう。
しかし整理整頓には、「脳」の力をさらに引き出す効果があるのです。「脳」というものはONとOFFを繰り返しながら1日働いています。人の集中力の持続時間は一般的に約50分と言われています。またその50分間の中にも15分程度の周期があるとされています。そのため私たちは無意識のうちに脳をONと OFF に切り替えて、仕事や勉強をしているです。
面倒なことに、そのスイッチの切り替えには少し時間を要します。仕事が手につかなかったり、思うようにはかどらないというのは、「脳」のスイッチの切り替えがうまくできていない事が原因かもしれません。 では切り替えを上手に行うにはどうしたらいいのでしょうか。そこで大事なのが「作業興奮」を生み出す事です。
「作業興奮」とは、手を動かす簡単な作業をする事で、脳が刺激されて軽い興奮状態になることです。
(引用元:築山節(2012),『脳が冴える勉強法―覚醒を高め、思考を整える』,NHK出版新書)
例えば、朝、頭が働かない時に、身支度をしたり、カバンの準備をしたり、机を少し片付けたりすることで頭が徐々に冴えてくるという経験はありませんか。それはまさしく、「作業興奮」により脳のスイッチがONに切り替わっているからなのです。
つまり「整理整頓」を習慣化させることには、その「作業興奮」を意図的に生み出し、効率的に脳の力を呼び覚ますことにも効果があるのです!
デキるひとの「整理整頓術」
ここまで、整理整頓が仕事の効率をあげる理由を、脳の働きという観点からご紹介しました。いつでも整理された作業空間で、脳の力を最大限引き出していきたいところですね。ここでは、整理整頓を習慣化するための4つのポイントをご紹介します。
1.デスクの上には置くのは必要最低限
→机の上にだして置くことで、何がどこにあるのかわかりやすいと考えている人も少ないと思いますが、実はそれが「脳」の無駄遣いをしてしまっているのです。「処理する情報量が少ければ、脳のストレスが軽減されます。余計な情報がない机、つまり物が少ない机は、仕事への集中力や処理能力も上がります」
机の上に置くのはPC、ペンたて、カレンダーなど最低限にするルールを作り、書類などはすべて、引き出しの中で管理することを心がけましょう。
2.こまめに不要な物を捨てる「決断力」をもつ
→いつか使うかもしれないと思うと、なかなか捨てることができないという人は、判断することを先延ばしにしているだけです。管理するなら管理する、捨てるなら潔く捨てることで、「脳」の負担も軽減し、身の回りをシンプルな環境に整えられます。
3.毎朝10分間机の整理をする
→上の2つが習慣化している人には、不要に思えるかもしれませんが、「脳」は覚えることよりも、忘れることの方が得意です。引き出しの中まで管理が行き届いている状態を保つには、この日々の10分は欠かせないものになるはずです。
また朝の簡単な整理整頓作業が「作業興奮」を生み出し、1日のスタートが心地よいものにするでしょう。ただし大事なのは、10分という制限時間をオーバーしないこと。制限時間内に終わらせようという適度な緊張が「作業興奮」をより促します。
4.定期的にリセットする
→整理整頓を習慣化できている人も、3ヶ月に一回程度は少し長めに時間を取り、しっかりとした整頓をしてみると良いかもしれません。取り組んでいた事業がひと段落した時や、逆に行き詰まったときに、身の回りをリセットし、整理し直すことで「脳」を刺激し、いい気分転換になったり、いいアイデアが浮かぶということがあります。
こちらも闇雲に行うのではなく、自分で時間を決めて行うと良いでしょう。目安は、長くても、集中力を持続できる50分が良いでしょう。
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いかがでしたか?「整理整頓を習慣化できている人」は、脳を効率的に活用できるために、仕事がデキるのかもしれませんね。あなたも「整理整頓」を意識した習慣を取り入れるだけで、仕事能率が劇的に変わるかもしれませんよ。
参考 日立ソリューションズ|オフィス整理整頓術 ロケットニュース24|「時間がない」って言ってる場合じゃない!! 日本人は一生で52日分の時間を探し物に費やすという調査結果 日経ウーマンオンライン|机がきれいな人に仕事ができる人が多いワケ 集中力をつける方法|人間の集中力の持続時間(平均や限界) 築山節(2012),『脳が冴える勉強法―覚醒を高め、思考を整える』,NHK出版新書 Hatena Blog|「脳が冴えている状態」を計画的に作り出して、勉強時間に利用する方法