「時代遅れ」に見えてじつは「正しい」仕事術4つ。無駄扱いされがちなアレに価値がある

一見すると「時代遅れ」だけどじつは「正しい」仕事術01

「仕事のやり方を上司から教わったけれど、いまの時代には効率が悪い気がする」
「紙にメモをとるなんて時代遅れだろう。やっぱりデジタルを使い倒さないと」

時代に合わせて仕事のやり方を変えていくのは、たしかに大切なこと。しかし、「時代遅れ」に思える仕事術のなかには、じつはいまもなお「正しい」ものもあるのです

にもかかわらず、そんな仕事術を「遅れているから」と軽視していたら、効率を上げるどころかむしろ下げることに……。どのような仕事術がなぜ正しいのか、4つご説明しましょう。

【1】資料を印刷して確認する

いまはペーパーレスの時代。資料の確認もパソコンの画面だけでやるのが当たり前になっていて、それになんの違和感もないという人は多いでしょう。

でも、画面でチェックした際は完璧だったはずなのに、いざ印刷してみるとミスがいくつも見つかったという経験はありませんか? じつは、資料を正確につくり上げるには、印刷して確認したほうがいいのです。

文学者で文明批評家、『メディア論』を著書にもつマーシャル・マクルーハン氏によれば、ディスプレイを見ているときと紙を見ているときでは、以下のように脳の情報処理モードが異なるそう。

  • ディスプレイ脳が文字や映像をそのままインプットする
    →テレビをぼんやり見ているときのように、情報を正誤関係なく受け入れるため、ミスに気づきにくい。
  • 脳が情報を自発的にチェックする
    →情報に注意を向けやすくなるため、ミスに気づきやすい。

また、企業向けのシステム開発を手がけるトッパン・フォームズ株式会社による、脳科学実験の結果もあります。同社は被験者に、液晶画面と紙媒体で同じ情報を見せ、脳のどの部分が活発に働いているかを測定したそうです。すると、紙媒体を見ているときのほうが、液晶画面を見ているときよりも、脳の情報処理をつかさどる前頭前皮質が強く反応したのだとか。つまり、紙媒体では情報をより深く理解でき、間違いも見つけやすいのです。

資料をわざわざ印刷するのは手間がかかりますし、ペーパーレス化が叫ばれる現代に合わないと思うかもしれません。しかし、取引先へ提出する資料のように重要なものは、必ず一度プリントアウトしましょう。紙の資料を見て、誤字脱字やグラフの間違いなどをチェックすることをおすすめします。

一見すると「時代遅れ」だけどじつは「正しい」仕事術02

【2】紙にメモをとる

紙にメモするよりもパソコンに打ち込むほうが、断然早いし楽。デジタルでメモをとるほうが絶対にいい――と思っていませんか?

じつは、紙にメモをとるほうがいい場面だってあるのです。ビジネス書作家の寺澤伸洋氏は、日系および外資系企業に長く勤務した経験から、紙にメモをとるほうが仕事のアイデアを整理しやすいと伝えています。

というのも、紙には思いつくままに書き込むことができるから。たとえば、考えを整理するために表を作成するとしましょう。手書きなら紙にサッと書けますが、パソコンだと罫線を引く・文字を打ち込むといった「操作」が必要。寺澤氏は、その操作をしているあいだに思考が分断されてしまうと言います。紙にメモをすれば考え事に集中できるので、実際に寺澤氏自身も普段から、広々使えるA3用紙に手書きしているそうですよ。

さらに、アメリカのシンクタンクであるランド研究所リサーチャーのパム・A・ミューラー氏らが行なった実験でも、パソコンより手書きのほうが、知識の記憶と理解に適しているとわかっています。

実験では、学生たちに普段通りメモをとるよう指示して講義を行なったあと、講義内容に関するテストを実施。その結果、パソコンでメモをしていた学生よりも、手書きでメモをしていた学生のほうが正答率は高かったそう。ミューラー氏らはこの結果について、「何も考えず、聞こえた言葉をパソコンでそのまま逐語的に打ち込むだけでは、内容を記憶・理解できない」と分析しています。

あなたはメモをとるとき、パソコンにただひたすら打ち込んでいないでしょうか? メモは本来、仕事に活かすためにとるもののはず。ですが、メモをとることが目的になっているのでは本末転倒です。

企画を考えるときや会議に出席した際は、内容を吟味しながら、浮かんだアイデアや聞いた情報を、自分の言葉で手書きしましょう。思考の途中経過を書き残しておけば、あとでゼロから思い出す必要がなくなります。結果的に、仕事の効率を高められますよ。

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【3】新聞を読む

「社会人なら新聞ぐらい読むべきだ」とよく言われるものの、ほとんどの人は無料でサッと読めるインターネットのニュースを見ているのではないでしょうか。

「オールドメディア」とも呼ばれるほどに、新聞は時代遅れだという風潮が強まるなか、ジャーナリストの池上彰氏は新聞は情報を得るツールとしてとても優れていると言います。その根拠は、新聞の「一覧性」

新聞には国内外のさまざまなニュースがまとめられ、世間で何が起きているのかを、ページをめくるごとにひとめで理解可能です。一方、インターネットのニュースサイトでは、自分で見出しを選び、いちいちクリックして読まなければなりません。つまり、情報の重要度を判断する手間がかかってしまうのです。さらに、閲覧履歴や検索履歴にあわせて表示内容が変わるため、得られる情報に偏りが出やすいとも池上氏は指摘します。

では、どうすれば新聞を効果的に読めるのでしょう。

池上氏がすすめるのは、論調の異なる新聞を、少なくとも2紙以上読むこと。視点の偏りを防ぐためです。

また、作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏は、紙の新聞と同じレイアウトで読める電子版の活用をすすめます。電子版なら、全体をざっと見渡すのに、紙の場合の約半分の時間ですむとのこと。さらに、記事を読む際は次の手順で読むといいそうです。

  1. 「見出し」に目を通す
  2. 「見出し」を見て気になった記事は「リード(前文)」を読む
  3. 「リード(前文)」を読んでさらに気になった記事は「本文」まで読む

佐藤氏はこの読み方で、主要なニュースを1紙につき5分でつかんでいるそう。ビジネストレンドに乗り遅れないために、新聞から多面的な情報を効率よく得たいですね。

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【4】ミーティングを開く

毎月の定例会や、報告をするだけのミーティング。こういった会議は「時代遅れで非効率的」と言われがちです。

たしかに、非効率な会議は存在するでしょう。しかし、ソフトバンク株式会社在籍中に培った会議術をまとめた著書をもつ前田鎌利氏は、チームのパフォーマンスを最大限に引き出すために、会議は重要だと断言します。

たとえば、何かを報告する会議ならば、報告に「これからどうするのか?」「どうやってやるのか?」という「ネクストステップ」を加えることで、会議の意味が出てくるそう。参加者が自分なりに考えたネクストステップを、上司やほかの参加者とディスカッションすることで、課題解決に焦点を当てられるからです。

逆に、結果を伝達するだけ、指示・命令を出すだけで、ネクストステップについて建設的な話し合いが行われない会議は、無駄だと言います。

例として、「イベントの集客状況について会議で報告する場合」を考えてみましょう。報告にネクストステップを加えると、以下のような具合になります。

  1. 担当者から上司(および参加者全体)へ報告する
    例「本日時点での集客は50名です。目標人数の5割です」
  2. 上司が担当者(および参加者全体)にネクストステップを考えさせる
    例「で、どうするの? 足りない分はどうやって集めるの?」
  3. 担当者の提案をもとに、ディスカッションをしながら是非を検討する。上司が中心となり、さらなる集客手段を決定する。

「会議は非効率だからなくしてしまおう」という機械的な考えでは、むしろチームがうまく回らなくなってしまう可能性も。それより、会議の進め方についていま一度見直してみてはいかがでしょうか。無駄だと思っていた会議が有意義なものに変わるかもしれませんよ。

***
一見すると時代遅れに感じる仕事術も、その裏には長く活用されるだけの理由があります。時代の流れにとらわれすぎず、確実に実績や効率アップにつながる方法を選んでくださいね。

(参考)
日刊 建設工業新聞|回転窓/反射光と透過光の違い
トッパン・フォームズ株式会社|「紙媒体の方がディスプレーより理解できる」ダイレクトメールに関する脳科学実験で確認
プレジデントオンライン|GAFA部長が断言「パソコンでアイデア整理をする人は仕事ができない」
ハーバード・ビジネス・レビュー|なぜ、手書きのメモはノートPCに勝るのか
Pam A. Mueller, Daniel M. Oppenheimer “The Pen Is Mightier Than the Keyboard: Advantages of Longhand Over Laptop Note Taking” (2014), Psychological Science, 25(6), 1159-68.
type|新聞とインターネットどっちが効率的? 池上 彰、佐藤 優が教える最強のインプット術とは
東洋経済オンライン|池上彰も唸る、佐藤優の「新聞の読み方」3極意
ダイヤモンド・オンライン|「ムダな会議」は悪だが、安易な「会議不要論」も会社を滅ぼす
ダイヤモンド・オンライン|その人が伸びるかどうかは「報告」を聞けばわかる。伸びる人は「起きた事実」を報告するだけではなく、必ず「○○」を伝える。

【ライタープロフィール】
藤真 唯
大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいてわかりやすく伝えることを得意とする。

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