マッキンゼー出身者が推奨「リサーチ時間を大幅短縮」できる情報収集法。効率アップのカギは○○○化

円グラフや棒グラフが載っている資料

手当たり次第に本やインターネットを調べ始めた結果、やたらと時間がかかり、ほかの業務に支障が出る。過度な情報収集で不必要な情報まで取り込んでいたことにあとから気づき、非効率感に打ちのめされる――。「自分はどうして情報収集が下手なのだろう……」

そうお悩みの方に、今回、有名コンサルティング企業出身者が実践・推奨する情報収集のコツを、筆者の実践も交えてご紹介します。情報収集がうまい人のやり方を、あなたもまねしてみませんか?

【ライタープロフィール】
上川万葉
法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している

「とりあえず」の情報収集は時間の無駄

「○○について調べて」と頼まれたとき、なにをどう調べるかイメージしないまま、“とりあえず” 情報を調べ始めてしまうことはありませんか? その行動が情報収集に失敗する原因かもしれません。

プライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)出身の清水久三子氏は、スピード重視で情報を集めても「後で手戻りが発生したり、アウトプットの品質が低く」なることが多いと指摘します。(カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|仕事のスピードが速い人の「情報収集」のコツ

たとえば、上司から取引先企業について調べるよう指示されたとします。 インターネット検索で目についた業績や評判に関する情報を急いで集めて提出したら、「関係強化を図るために、相手企業の社風や社長について知りたかったのに」と言われて、やり直しになる――このように、目的を理解せず、思い込みや勘違いによって無計画にリサーチを進めると、本来のニーズとかけ離れたデータに惑わされて必要な情報をうまく集められないのです。

情報収集に疲れて目を押さえる女性

最短時間で必要な情報を集めるコツ

「時間と労力をかけても情報収集がうまくいかない……」と悩む人は、とりあえず検索する習慣をやめて、ポイントを絞ったリサーチを行ないましょう。

なんのためにリサーチするのかを明確にしたうえで、必要な情報のみを狙うのです。

ここでぜひ学びたいのが、マッキンゼー・アンド・カンパニー出身で、『「速さ」と「質」を両立させるデッドライン資料作成術』(2015, クロスメディア・パブリッシング)著者の上野佳恵氏が推奨する「"なんとなく検索"をしない」情報収集法。上野氏によれば、「効率よく最短の時間で必要な情報を得るためのポイント」は3つです。

(1)目的を明確にする(2)フレームワークで考える(3)情報源を意識する

(カギカッコ内および枠内引用元:NIKKEI Media Marketing|第2回 ネット時代に必要とされる情報の選択眼 ※太字は編集部にて施した)

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

1. 目的を明確にする

情報収集の目的によって、必要な情報は変わるもの。上野氏は、次のように述べています。

「A社について調べておいて」と言われた時に、まず行うべきはA社のホームページを開くことではない。何のためにA社について調べようとしているのか、を考えることである。

(カギカッコ内および枠内引用元:同上)

つまり、なんのために情報収集が必要なのか、目的を確認することが重要なのです。まずは、リサーチを頼んできた相手と目的の「すり合わせ」を行ないましょう。(カギカッコ内引用元:同上)目的がわかれば、集めるべき必要な情報を洗い出せます。

たとえば、以下のような具合です。

【目的例】開拓余地のありそうなA社に新規営業をかける
→ 売上・業績・社風のほかに、営業の切り口になるような話題や情報を調べる
【目的例】今期案件が減っているA社に案件を増やしてもらう
→ A社のビジネス展開や業界全体の方向性、競合他社との実績を調べる

2. フレームワークを利用する

目的が明確になったら、次は必要な情報について考えましょう。

上野氏が推奨するのは、「フレームワーク」の利用。使い勝手のいいフレームワークとして、以下を挙げています。

  • 「会社を捉える基本的なフレームワーク『ヒト・モノ・カネ』」
  • 「マーケティングの基本要素である4P(Product、Price、Place、Promotion)のフレームワーク」

(カギカッコ内引用元:同上)

フレームワークを使えば、おのずと調べる項目が決まるため、同じような情報ばかり探す無駄や必要な情報の抜け落ちを防ぐことができます。たとえば以下のような目的なら、調べるべき内容はそれぞれこんな具合です。

【目的例】新規営業の対象であるA社について詳しく知りたい

ヒト:「従業員数、年齢層、雰囲気、社長のパーソナリティ、社風など」
モノ:「主力の商品・サービス、最近力を入れている分野など」
カネ:「売り上げ、利益動向、各種経営指標など」

【目的例】競合企業B社の売上が半年で3倍になった理由が知りたい

Product:具体的な「商品やサービス」
Price:商品の「価格設定」
Place:「流通」(実店舗・インターネット通販など)
Promotion:「販売促進」(宣伝方法など)

(カギカッコ内引用元:同上)

3. 情報源をチェックする

目的を定め、欲しい情報も決まったら、適切な情報源はどこなのか検討しましょう。

上野氏は、ビジネスについてリサーチをかけるときはやみくもに検索するのではなく、「1―2年の日本経済新聞の記事とビジネス雑誌の記事」から全体の流れをつかむようすすめます。(カギカッコ内引用元:同上)

情報源が公式なものか確認しつつ、ひとつの情報だけを鵜呑みにするのではなく、複数集めて照らし合わせることも忘れてはいけません。「ダブルチェック・トリプルチェックの習慣」をつけることも大切だそう。(カギカッコ内引用元:NIKKEI Media Marketing|最終回 ネット時代に必要とされる情報の選択眼

さらに、自分が収集した情報が相手のニーズを満たすものかどうかを確認しながら進めるのも重要なポイントです。それには「想像力」が不可欠。(カギカッコ内引用元:同上)

「この情報で部長決裁が得られるだろうか」などと、自分の頭で考えながらリサーチを進めてみてくださいね。

以上のポイントをふまえて情報収集すれば、遠回りや無駄なやり直しを回避でき、時間の短縮につながるのではないでしょうか。

最短情報収集法をやってみた

前章の内容をふまえ、筆者も “なんとなく検索” をしない情報収集法を実践してみました。

今回、新商品開発のために「プラントベースフード」を扱う競合企業の取り組みについてリサーチするよう、上司から指示を受けた場合を想定しています。プラントベースフードとは、いま話題の植物由来の原材料を用いた食品です。

まずは情報収集の下準備として、やるべきことを簡単なメモに書き出しました。

机の上にあるメモ用紙

(画像は筆者作成)

上記のメモに従い、インターネット経由でプラントベースフードを扱う企業の情報をいくつかピックアップし、4Pフレームワークの項目に関する共通点を抽出して書き出します。

4Pの分析例

(画像は筆者作成・参考:NIKKEI Media Marketing|第2回 ネット時代に必要とされる情報の選択眼

その結果、競合企業が行なっている取り組みの全体像がつかめる情報を、短時間で得ることに成功しました。

「見える化」がリサーチ時間短縮への近道

最短時間で必要な情報を集める情報収集法をやってみて、事前になにをするのかメモに書き出して “見える化” したおかげで、迷うことなくサクッと必要な情報を収集できたと感じました。

リサーチの目的が明確になったため、余計な情報に惑わされず、自信をもってキーワードを選択できました。そのため、短い時間でリサーチを完了できたのだと思います。

また、収集すべき情報を的確に絞り込むにはフレームワークが役立つことも実感しました。なんとなく思いつきに任せてダラダラ検索を始め、情報収集に時間がかかりすぎてしまうとお悩みの人におすすめのメソッドです。

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情報収集の際には、この方法を実践してみては? なんとなく検索を始めてしまうよりずっとリサーチ時間を短縮できますよ。

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