「“10歳児にもわかるように” 説明できなければ、本当に理解したとは言えない」

理解を加速させる「再言語化」の方法01

「本をたくさん読んでいるのに、知識として全然身についていない気がする……」
「まじめに講義を聞いているつもりなのに、なかなか頭に入ってこない……」
こんな状況に悩んでいる人はいませんか?

それは、あなたが読んだり聞いたりしただけで満足しているから。「1枚」ワークス株式会社代表取締役で『すべての知識を「20字」でまとめる 紙1枚!独学法』などの著書をもつ浅田すぐる氏は、学んだことを忘れてしまう原因のひとつとして「咀嚼していないこと」を指摘します。自分なりに整理したりかみ砕いたりしていないため、使える知識として血肉化しないのです。

きちんと記憶したい、深く理解したい――そんな方には、「再言語化(=自分の言葉に置き換える)」というひと工夫を加えることをおすすめします。具体的な方法を3つご紹介しましょう。

【1】「WHY」と「HOW」を自問自答する

メンタリストとして活躍するDaiGo氏は、著書『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』のなかで、いったん基本的な学習を終えたあとの復習の技法として「自己解説」が有効だと説きます。ここでのキーワードは「WHY」と「HOW。自問自答を重ねていくことで、本当に覚えているかどうかを振り返ってみるのです。

たとえば、速読術に関する本を読んだとしましょう。以下のような具合で「WHY」と「HOW」を自分に投げかけます。

【WHY】
Q. なぜ1冊読むのに時間がかかってしまうのか?(=遅読の原因)
A. 文字をひとつひとつ心のなかで音声化しているから。

【HOW】
Q. どのようにして本を速く読むのか?(=速読のメカニズム)
A.「文字を見る→音声化する→理解する」ではなく、「文字を見る→理解する」という流れで本を読む。文字を見る際、普通4~5文字と言われている有効視野を拡大して、1行全体をひとめで読み取れるようになるべし。1行の文字数が少ない新聞が、初めの練習に最適。

(※『即効! 成果が上がる 速読の技術』より)

実際にやってみると、意外と難しいことに気づくはず。場合によっては「全然答えられない……」と少しショックを受けるかもしれません。

私たちが普段読む本や受ける講義の内容は、往々にして難しいこともわかりやすく説明されているもの。それゆえ「自分は理解できたはずだ」と思い込んでしまいがちですが……これは “流暢性の錯覚” とも呼ばれる勘違いにほかなりません。自己解説してみることで、わかったつもりになっていないかをシビアに確認できるのです。

理解を加速させる「再言語化」の方法02

【2】「10歳児でもわかる言葉」にかみ砕く

学んだ内容が頭のなかにしっかり入ったかどうかを確認する指標として、「他人に説明できるかどうか」というのもあります。知識の習得が不十分だと、相手を納得させられるだけの説明はできないからです。とはいえ、いつも相手がいるとは限りませんよね。そんなときは、誰かに説明するつもりで勉強に臨んでみましょう。

DaiGo氏は、「これを10歳の子どもに伝えるにはどうすればいいんだろう?」と考えてみることをすすめています。コツは「比喩表現を使う」ことと「10歳児でも知っている知識を用いる」こと。たとえば、以下の文章のなかに出てきた「コモディティ化」という言葉を10歳児にもわかるように再言語化すると、次のような具合になります。

企業間における技術的水準が次第に同質的となり、製品やサービスにおける本質的部分での差別化が困難となり、どのブランドを取り上げてみても顧客側からするとほとんど違いを見出すことのできない状況がコモディティ化である。
(※『コモディティ化市場のマーケティング論理』より)
 ↓
いろいろなメーカーのテレビの機能が充実して、電気屋に行っても映りや性能の違いがほとんどわからなくなったように、どれも似たり寄ったりになってしまうこと

難しい概念や用語などについて、より平易でシンプルな言葉に置き換えてみることで、自分なりの理解が深まっていくでしょう。

理解を加速させる「再言語化」の方法03

【3】「20字」でまとめてみる

学んだ内容の理解が曖昧だと、「なんとなくわかるけれど……」「だいたいの意味はこうだっけ……」というように、頭のなかにはふわふわしたイメージしかありません。ぜひ明確に言語化し、理解を自分のものにしましょう。そのときにおすすめなのは「20字」でまとめてみることです。

前出の浅田氏いわく、「20字あればなんでもひとことで言い表せる」とのこと。浅田氏が挙げる以下のポイントに沿って、コンパクトな表現に言い換えられないか考えてみましょう。

■もっと短い別の言葉に言い換えられないか?

<例>
オペラント条件づけ(報酬や嫌悪刺激(罰)に適応して、自発的にある行動を行なうように学習すること)→アメとムチで行動をコントロールすること(19文字)

■言葉の順序を入れ替えることで、もっと端的に表現できないか?

<例>
(心理的リアクタンスの事例として)学習意欲をなくす原因は、他人に「勉強しろ」と言われることにある→「勉強しろ」は逆効果(10文字)

***
勉強した内容は “自分の言葉” になっていますか? 「再言語化」することで、理解も記憶もしやすくなるでしょう。

(参考)
浅田すぐる(2018),『すべての知識を「20字」でまとめる 紙1枚!独学法』, SBクリエイティブ.
メンタリストDaiGo(2019),『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』,学研プラス.
goo辞書|「流暢性の錯覚」の意味
Wikipedia|オペラント条件づけ

【ライタープロフィール】
SHOICHI
大学院修了後、一般企業に就職。現在は会社を辞め、執筆活動をしている。読書、音楽、YouTubeが好き。

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