職場でマウンティングしてくる人への対処法5選

職場のマウンティングへの対処法1

さりげなく「マウンティング」をしてくるイヤな同僚や上司、あなたの職場にもいませんか? かつて「マウンティング女子」という言葉が流行語になりましたが、マウンティングをしかけてくる「マウンター」は、男性にも女性にもいます。

他人に対して自分の優位を誇示する方法、マウンティング。やられた相手は、どうにもイヤな気持ちになってしまいますよね。

そこで今回は、マウンターの心理やタイプ、特徴を紹介し、職場でマウンティングされたときの対処法を説明します。マウンティングについては「『マウントをとる』の意味とは? 豊富な会話例ですぐわかる!」で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。

マウンティングとは

職場でも見られるマウンティングとは、自分の優位性を誇示するような言動のこと。「私のほうが優れているんだぞ」と、相手を見下す行為全般を指します。

本来のマウンティングは、サルなどの「優位個体が劣位個体に対して行なう馬乗り行動」(『精選版 日本国語大辞典』より)。これを人間のコミュニケーションに転用したのが、現在の「マウンティング」なのです。

マウンティングという言葉が普及したきっかけは、2014年に出版されたエッセイ『女は笑顔で殴りあう マウンティング女子の実態』(筑摩書房)ならびに同年放送されたテレビドラマ『ファーストクラス』。この影響で、「2014ユーキャン新語・流行語大賞」に「マウンティング(女子)」がノミネートされました。

私たちになじみの深いマウンターといえば、『ドラえもん』の登場人物・スネ夫でしょう。お金持ちのスネ夫は、「今度家族でハワイに行くんだ」「パパが芸能人の○○と知り合いなんだ」「こんなラジコンを買ったんだ」としばしば自慢し、のび太をいら立たせています。

上記のようなスネ夫の言動は、所有しているモノや知識、ステータスをひけらかすことで「こちらのほうが上だぞ」と示威する、典型的なマウンティングです。スネ夫のように露骨ではなくても、さりげないマウンティングをする人は、あなたの職場にいるかもしれませんね。

職場のマウンティングへの対処法2

マウンティングの4タイプ

職場などでのマウンティングを、4つのタイプに分類しました。それぞれの言動例も合わせて紹介します。

ステータス系

マウンティングといえば、社会的ステータスに関するもの。学歴や年収、人間関係などに関するアピールです。

  • 高学歴アピール
  • 高年収アピール
  • 職業・職歴の自慢
  • 「仕事デキる」アピール
  • モテる自慢
  • 恋人・家族・知人の自慢
  • 居住地の自慢

モノ系

物質的・金銭的な豊かさをアピールするのが、モノ系のマウンティング。高価な持ち物を見せびらかしたり、旅行や豪遊を自慢したりなどです。

ちなみに、高年収アピールは「自分はこんなにお金持ちだぞ」というモノ系と、「こんなにお金を稼げる社会的地位があるんだぞ」というステータス系の両面をもつマウンティングだと言えるでしょう。

  • 高級品の自慢
  • 高級店の自慢
  • その他の持ち物自慢
  • 旅行や豪遊の自慢
  • 高年収アピール

知識系

知識によるマウンティングもみられます。聞いてもいないウンチクを一方的にしゃべる人、「そんなことも知らないの?」とバカにしてくる人などです。

  • 物知りアピール
  • ○○通アピール
  • 相手の無知をバカにする
  • 頼んでもいない上から目線のアドバイス
  • 知ったかぶり

言動系

その他の言動によるマウンティングもあります。何かにつけて「いや、それは違うよ」と否定してくる人や、嘲笑など見下す態度をとる人も、広義のマウンターだと言えるでしょう。

  • 過剰に相手を否定する
  • 見下すような振る舞いをする
  • 悪口やイヤミを言う
  • 話を無視・横取りする

上記のようなマウンティングを行なう人は、あなたの職場にいるでしょうか?

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職場でマウンティングする人の心理

なぜ職場でマウンティングが発生するのでしょうか? マウンターの心理としては、以下のようなものが考えられます。

自信がない

まず考えられるのは、自信がないこと。心理カウンセラーの石原加受子氏によれば、能力などに自信がない人ほど、マウンティングをして「自分は格上だ」という安心感を得ようとするそうです。

「弱い犬ほどよくほえる」という言い回しがありますね。劣等感が強い人ほど、虚勢を張ったり周囲の人をおとしめたりして、少しでも自分を大きく見せようとするのです。

承認欲求が強い

次に考えられるのは、承認欲求や自己顕示欲が強いこと。尊敬されたい・一目置かれたいという気持ちが空回りし、過度にみえを張ろうとしているのです。上述した「自信のなさ」のために、承認欲求が暴走しているとも言えます。

もちろん、「認められたい」という気持ちがあるからこそ、必死に努力できることもあるでしょう。しかし、小手先のマウンティングで周囲の目を惹こうとするのは、承認欲求の満たし方として間違っています。

シャーデンフロイデ

「シャーデンフロイデ」という心理があります。心理学者の中野信子氏によれば、他人をおとしめたときや引きずり下ろしたときに生じる快感のことです。

人間の心理には、他者の失敗を見て快を得るという負の面があります。シャーデンフロイデの身近な例としては、対戦ゲームで相手を倒したときや、ドラマなどで悪者がやっつけられたときなどの快感が挙げられるでしょう。

つまり、「気持ちいいから」という単純な理由で、職場などでのマウンティングが発生しているのです。

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職場でのマウンティング対処法

では、マウンティングをしてくる人が職場にいる場合、どう対処すればいいのでしょうか?

なるべく距離を置く

一番の対処法は、マウンターとなるべく距離を置き、関わらないようにすること。まともに接しようとしても、どんどんストレスがたまり、精神がすり減っていくばかりです。

マウンティングをやり返したりなどすれば、相手がエスカレートするかもしれません。ドラマのような「倍返し」は、現実世界だと絶対にNGなのです。

ただし、弱々しい態度を見せず、できるだけ堂々と振る舞いましょう。前出の石原氏によると、マウンターは「コイツになら勝てそう」と思える相手を狙うのだとか。そのため、萎縮すれば、マウンターが増長してしまうかもしれません。

石原氏がすすめる具体的な策は、マウンティングしてくる相手の目をしっかり見据えること。「私とあなたは対等ですよ」と目で示すことで、マウンティングのリスクを減らせます。要するに、ナメられにくくなるのです。

ただし、ハラスメントに近い深刻なケースでは、なるべく担当や部署を変えてもらったり、出勤時間をずらしたりして、マウンターと会わずにすむ環境づくりを第一に考えましょう。

「スルー言葉」を返す

マウンティングを受け流すときに使えるのが、精神科医の樺沢紫苑氏がすすめる「スルー言葉」です。

マウンターは、優越感を得るためにマウンティングしてきます。優越感を得られなければ「つまらない」と感じ、マウンティングをやめるはずです。

「つまらない」と感じさせるには、徹底的な無関心さを見せるのが一番。マウンティングをさらりと受け流す「スルー言葉」を使えば、マウンティングの意欲をそげるでしょう。

最もシンプルなスルー言葉は、無感情な「へぇ」。「へぇ」という言葉には拒絶のニュアンスはありませんが、感情を込めない「へぇ」は、話に興味がないことを表現します。

「なるほど」「それはよかったですね」と、肯定するようなスルー言葉もあります。言葉では同意しつつ、声音や表情によって無関心を示すのです。「へぇ」よりも “大人” な対応だと言えるでしょう。

◆「スルー言葉」の例

  • 「へぇ」
  • 「なるほど」
  • 「それはよかったですね」
  • 「そういう考え方もありますね」
  • 「わかりました、検討させていただきます」
  • 「貴重なアドバイス、ありがとうございます」

「牽制球」を投げる

ややアグレッシブな対処法として、前出の中野氏は「牽制球を投げる」というテクニックを紹介しています。「あなたのマウンティングを不快に感じていますよ」「マウンティングをすると嫌われますよ」とほのめかすのです。

たとえば、「もうー、マウントとらないでくださいよ(笑)」と冗談っぽくツッコんでみると、相手は「あっ、マウンティングがバレてる!」とドキッとするでしょう。「そういうこと言われると傷つくなぁ」「そういうの、けっこう根にもちますよ?」などの言い回しも効果的です。

◆「牽制球」の例

  • 「もうー、マウントとらないでくださいよ(笑)」と、冗談っぽく指摘する
  • 「そういうこと言われると傷つくなぁ」と、さりげなく不快感を伝える
  • 「そういうの、けっこう根にもちますよ?」と、遠回しに不快感を伝える

いずれにしても、冗談っぽくさらりと言うのがポイント。「やり返す」わけではないことに注意してください。投げるべきは牽制球であり、デッドボールではありません。また、牽制しすぎて自分がマウンターにならないよう気をつけましょう。

目上の人に対してはリスキーですが、対等か目下の相手になら、比較的使いやすいテクニックです。

「メタ認知」をする

自分自身の考え方を変えることで、マウンティングへの耐性を高める方法もあります。前出の中野氏が推奨する「メタ認知」です。

メタ認知とは、一歩引いた視点から自分を眺め、理解を深めること。メタ認知によって自分の価値基準がはっきりすれば、他人にいら立ったり嫉妬したりすることが少なくなるはずです。

たとえば、「えっ、こんな有名ブランドも知らないの?」と知識系マウンティングをされたとします。しかし、よく考えたら、あなたは洋服ブランドに興味がありませんでした。「服1着に何十万円もかけるなんて」とすら思っています。そのような価値観を自覚できていれば、「えっ、知らないの?」とバカにされても、「うん。知らないし、知りたくもないよ。だから何?」とスルーできるはずです。

逆に、敗北感や嫉妬心を覚えてしまった場合でも、「いま、自分は○○という理由で悔しがっているな」と自己分析できれば、ネガティブな感情をコントロールできるでしょう。

懐に入る

いっそマウンターの懐に飛び込む、という高度な方法もあります。自分に好意を示してくれた人や、親切にしてくれた人は攻撃しづらいもの。この心理を利用し、相手のマウンティング意欲をそごうという作戦です。

前出の樺沢氏は、マウンターの懐に入る方法として「頼み事」をすすめています。「こんなことも知らないの?」とマウントをとってきた人に対し、「そうなんですよ。よく知らないので教えてくれませんか?」と素直に頼ってみましょう。相手はあなたに好感をもち、マウンティングしてやろうという気を起こしにくくなるのです。

樺沢氏によると、このテクニックは「ベンジャミン・フランクリン効果」に基づいているそう。ベンジャミン・フランクリン効果とは、端的に言うと「自分が助けてあげた人を好きになりやすい」という心理法則です。

「Aさんを助ける」という行動をした人は、行動と感情を一致させたくなり、「助けたのは、Aさんが好きだからだ」と思うようになります。頼み事によって「教えてあげる」「助けてあげる」などの行動を起こさせると、マウンターはあなたに好感をもち、マウンティングを続ける可能性が低くなるのです。

仲よくなってもマウンティング癖がやまないかもしれません。しかし、親しくなれば、こちらから率直に意見しやすくなるため、ストレスをためにくくなるでしょう。敵をつくるどころか味方を増やせるので、職場でのマウンティング対策にはピッタリです。

***
職場でマウンティングされたら、相手にせず「スルー」するか、いっそ懐に飛び込んでしまうのが無難です。ムキになってやり返したり、「自分ってダメなのかな……」と落ち込んだりする必要はありません。今回ご紹介した5つの方法をもとに、マウンターとの適切な付き合い方を考えてみてくださいね。

【ライタープロフィール】
佐藤舜

大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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