「孤独」の意外なメリットが研究で明らかに。“ひとり時間” が仕事やメンタルにもたらす重要なこと

孤独な環境のメリット01

最近は「テレワーク」「オンライン授業」が一般的になりつつあり、ひとりで在宅勤務や勉強をしている人も増えてきています。他者とのコミュニケーションが減ってしまい、作業中に孤独を感じることも多いかもしれませんね。

しかし、孤独な環境は悪いことばかりではありません。今回は、「孤独」をポジティブにとらえ直すための、4つの効果をご紹介します。

【効果1】仕事・勉強の効率が上がる

社会心理学者でハーバード大学教授のダニエル・ギルバート氏が監督した研究では、ふたりを背中合わせに座らせて作業をさせる実験を行なったところ、「ひとりで作業をしている」と思っているときのほうが作業効率がよかったそう。この研究を主導したハーバード大学のベサニー・ブルーム氏は、研究結果から「他人と一緒にいるときには、他人のことを自動的に考えてしまう傾向がある」と分析しています。

身近な場所に他人がいると、作業効率が下がるということですね。孤独な環境であれば、他人に気をとられて集中力が削がれることもないでしょう。

孤独な環境でさらに作業効率を高めたいなら、精神科医の樺沢紫苑氏もすすめている「To Doリスト」の作成が有効です。自宅で作業をする際、作業開始前に「今日中に何をどこまで終わらせるか」を決めておけば、作業が場当たり的にならず、突然の予定が入ってもきびきびと進められるでしょう。

孤独な環境のメリット02

【効果2】アイデア出しの生産性が上がる

社内でミーティングを開くよりもひとりでいるときのほうが、アイデアを生み出す環境としては効果的です。

テキサス大学心理学部教授ポール・B・パウルス氏による研究では、「直接対面する会議」で意見や情報を交換するよりも、ひとりひとりがそれぞれ個別にアイデアを考えて検討するほうが、生産性を向上させることがわかりました。

会議だと、どうでもいい他人の意見でも聞かなければならないうえ、他人のアイデアに気をとられてしまうこともありえますよね。頭のなかにあった自分のアイデアを忘れてしまったり、そのアイデアを共有しづらくなってしまったりして、生産性を下げることになるのです。

また、「創造力」に関するスタンフォード大学の研究によれば、座っているときよりも歩いているときのほうが、直感的なひらめきは約60%も向上するそう。作業途中に「家のなかや自宅近辺を散歩する時間」を取り入れることで、アイデアの生産性をより高められるようになるはずです。

孤独な環境のメリット03

【効果3】癒やしの時間を得られる

2015年11月にイギリスの環境保護団体Hubbubによって行なわれた、「The Rest Test」という1万8,000人を対象とした大規模なオンライン調査によると、「他人と一緒にいるとき」よりも「ひとりでいるとき」のほうが、癒やされると感じることが多いそう。

調査データでは、リラックスできるさまざまな活動のなかで、「家族や友だちと会うとき」を癒やしだと感じる人が約25%であるのに対し、「ひとりでいるとき」が癒やしだと感じる人は50%を超えています。つまり、友だちと一緒にご飯を食べたり家族とおしゃべりしたりする時間よりも、ひとりで読書をしたり、ひとりで何もしないでいたりする時間のほうが、休息として機能しやすいというわけです。

また同調査では、特にリラックスを感じられる活動として、「読書」や「自然の環境に身を置くこと」を挙げています。お気に入りの本の世界に没頭したり、部屋に観葉植物などを置いてみたりすることで、癒やしの効果をきっと得られるでしょう。

孤独な環境のメリット04

【効果4】メンタルが強くなる

心理療法士のエミリー・ロバーツ氏によれば、「ひとりでいる時間」には他者へ従う必要がないため、何をするにしても、プレッシャーから解放された状態になれるのだそう。また、社会から干渉を受けず自分の考えと向き合うことで自信向上につながり、精神的によりたくましくなれると伝えています。自分の気持ちをうまく調整できるようになるからです。

あわせて、コロンビア大学言語神経認知研究所のアンジェラ・グリース氏は、ひとりでいる感覚を養うことでアイデンティティ・自己認識が強くなり、自分の本当の関心について知ることができると言及しています。「ひとりでいる時間」は自分自身に焦点を当てることが多くなるため、自分が忘れていた情熱や心地よい関係についてじっくり考えられるのです。

孤独な環境でメンタルをさらに強くしたい方は、「ストレッチ」を日々の生活に取り入れてみましょう。一見関係がないように思えるかもしれませんが、筋肉を伸ばしたところで動きを止めるストレッチは、自律神経を整えるのに役立ちます。リラックス状態のときに働く副交感神経を活性化させることで、自分のメンタルをケアできますよ。

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カールトン大学心理学部教授ロバート・コプラン氏は、「心を楽にするために『ひとりでいる時間』を必要としていることを、私たち人間はうまく認識できていない」と伝えています。孤独な環境を不安に感じたときには、ひとりの環境をポジティブにとらえ直す工夫をしながら日々を過ごしてみてください。

(参考)
boston.com|The power of lonely
リクナビNEXTジャーナル|仕事の早い人がしている「仕事効率化」7つのコツ
Association for Psychological Science|There’s a Better Way to Brainstorm
Stanford news|Stanford study finds walking improves creativity
BBC NEWS|How being alone may be the key to rest
TheNewYorkTimes|Why You Should Find Time to Be Alone With Yourself
RENAISSACE|ヨガ、ストレッチ、アロマ…日常生活にプラスして自律神経の不調を改善しよう

【ライタープロフィール】
YOTA
大学では法律学を専攻。塾講師として、中学~大学受験の6科目以上の指導経験をもつ。成功者の勉強法、効率的な学び方、モチベーション維持への関心が強い。広い執筆・リサーチ経験で得た豊富な知識を生かし、効率を追求しながら法律家を目指して日々勉強中。

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