思考は “自問” でこそ磨かれる。できる人は必ず使う、思考を深める『5つの質問』

仕事で考えついたアイデアは、なぜかいつも没。そして上司からは「もっとよく考えなさい」というアドバイス。どうしたら深く本質を突いた考えを持つことができるのだろう……。

そんな状態にあるのなら、ぜひ「自分自身」にたくさん質問を投げかけてみてください。「鋭く深い思考」を生むには、良質な質問が必要不可欠なのです。

今回は、深く鋭く考えるために自問すべき、5つの質問について紹介します。

自分への質問が思考を深める

いつも物事の本質を突き、独創的なアイデアを出すことができる人と、「よく考えなさい」と上司に叱責されてばかりの人。両者の違いは、「自分に対する質問」の違いによるものです。

人は1日に約2万回以上、自分自身に質問を投げかけています。質問の「質」が高いほど、思考が深まり、質問の「答え」がレベルアップするのです。「しつもんコンサルタント」として、質問の力を訴える河田真誠氏は次のように述べています。

しつもんは自分自身にも投げかけ、答えを引き出すことができます。むしろ僕は、この「自分しつもん」が最も大事で、最も効果があると考えています。なぜなら「自分しつもん」をすれば、思考を深め、創造力、課題解決力を高めることができるからです。

(引用元:日経ビジネスONLINE|解決力を鍛える!「自分しつもん」5つのコツ

皆さんが課題に直面したとき、「困った」とつぶやきながら課題とにらめっこしていても何も解決しませんよね。「この課題をどうやって解決しよう」という質問を自分自身にすることで、課題の解決につながります。

たとえば、「プロジェクトのリーダーになりたい」と考えているだけでは、状況は変わりません。「いつどんなプロジェクトのリーダーになりたいのだろうか?」と自分自身に質問をすることで、「半年後に作業が始まるA案件のプロジェクトリーダーになりたい」「それまでに社内外の信頼を得るため、丁寧な仕事をしよう」などと、深く考えられるようになるのです。このように、自身の考えを掘り下げられる質問をすることで、「そのために今何をしなければならないのか」が見えてきます。

思考を深める『5つの質問』-01

深く考えるための5つの質問

では、考える力をつけるために、いったいどういった質問をすればよいのでしょうか?

『7つの仕事術』の著者である戦略コンサルタントのShinさんは、著書で「できる人たちが使う」5つの質問を紹介しています。

プロジェクトや専門が違っていても、できる人たちはみな、共通の言葉を使っていました。それが次の5つです。
1, 具体的には?
2, 理想は?
3, そもそも
4, 一言でいうと?
5, なぜそう言えるのか?

(引用元:Shin (2017), 『7つの仕事術』, ダイヤモンド社.)

これらの言葉を用いて質問することで、飛躍的に考えを深めることができるのだそう。そこでさっそく「自分の書いた記事に対する読者の満足度を上げる」という課題を例に、Webライターである筆者が自分自身への質問を考えてみました。

「記事の満足度を上げる」ための質問

1.  具体的には?:具体的なことを考えることで思考を一歩前に進める

「記事の満足度を上げるにはどうするべきか?」のように、一発で答えにたどりつこうとする質問から始めるのは避けましょう。多くの場合、「はて、どうすればよいのだろう……」と悩むだけ。よいアイデアは何も浮かんでこず、最終的に「よい記事を書こう」という月並みな考えに収束します。そうならないために、まず「具体的には?」と考え、思考の「すそ野」を広げるのです。

【質問例】「記事の満足度が高い」とは具体的にどういう状態を指すのか?
【解答例】SNSを通して記事に寄せられた「いいね」の数が多く、多くの人に共有してもらえる

2.  理想は?:理想を考えることで思考のゴールを定める

目的地があいまいなままで山道を進むと迷ってしまうように、理想が分かっていない状態では思考を深めることはできません。そして、ゴールが異なれば考える道のりも変わってきます。

たとえば、記事にアクセスしてもらうために取る策と、記事を最後まで読んでもらうために取る策は異なりますよね。ゴールが明確でない場合は、まず理想的な状態を想像し、ゴールを明確に言語化しましょう。

【質問例】理想的な記事とは?
【解答例】自分が宣伝しなくても周囲の誰もが知っているくらい広まった記事

3.  そもそも:本質を捉え直すことで思考の迷走を止める

いくら目的地が定まっていても、私たちは考える途中でどうしても本質から離れていくことがあります。本質を見失ってしまった場合、「そもそもどうして記事の満足度を上げる必要があるのか?」など、もう一度問い直すことで、思考の迷走を止めることができます。また、本質を問い直すことで、はじめは思いつかなかった新しいアイデアが生まれることもあるでしょう。

【質問例】そもそもどうして記事の満足度を上げる必要があるのか?
【解答例】記事の満足度を高めることで、次の記事を読んでくれる可能性が高まるから

4.  一言でいうと?:一度まとめることで思考を整理する

ある程度思考が深まってきたり、要点が多くなってきたりすると、全体像が見えづらくなってきます。すると、深く考えようとしても本質からずれてきてしまったり、それ以上深く考えることが難しくなってきたりするのです。そこで、これまでの考えを一言で整理してみましょう。考えがすっきりし、続きが考えやすくなるはずです。

【思考例】これまでの考えを一言で整理してみると?

  • 満足度が高い記事とは、読みやすい記事である
  • 満足度が高い記事から、読者は欲しい情報を得られる
  • 記事の満足度と記事の長さは関係ないと予想できる

【質問例】満足度の高い記事とは一言でいうと、どんな記事だろうか?
【解答例】満足度の高い記事とは、読者のほしい情報が読みやすくまとめられた記事である

5. なぜそう言えるのか?:根拠のない考えをあぶり出す

思考を簡単に高いレベルに引き上げることができるのが、この「なぜ?」という質問です。ある程度考えがまとまったら、「なぜ?」をぶつけてみるとよいでしょう。

たとえば「なぜ記事の満足度と記事の長さは関係ないと予想できるのか?」と質問します。「過去に書いた3,000字の記事も、1,000字の記事も、寄せられた『いいね』の数は変わらなかったから」など、明確な答えが返せれば、十分に深く考えられたと言えます。逆に「数えていないけれど、なんとなく」という答えを返してしまうようなら、質問に答えられるように考える必要があります。このように「なぜ?」という問いを繰り返すたびに、考えはより深く鋭くなるので、何度も繰り返すとよいでしょう。目安は5~7回です。

【質問例】なぜ記事の満足度と記事の長さは関係ないと予想できるのか?
【解答例】過去に書いた3,000字の記事も、1,000字の記事も、寄せられた「いいね」の数は変わらなかったから

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「具体的には?」「理想は?」「そもそも」「一言でいうと?」「なぜそう言えるのか?」
これら5つの質問をするように心がけることで、あなたの思考力は向上するでしょう。ぜひ試してみてくださいね。

(参考)
Shin (2017),『7つの仕事術』, ダイヤモンド社.
日経ビジネスONLINE|解決力を鍛える!「自分しつもん」5つのコツ
日経ビジネスONLINE|ビジネスによく効く、6種類の「しつもん」とは
Wikipedia|なぜなぜ分析
コトバンク|オーバーホール
ダイヤモンド・オンライン|「良い質問」とはどのような質問か?

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