実現できない計画なんて意味がない! “破綻しない計画” の立て方

みなさんは仕事や勉強などにおいて、計画通りにものごとを進めることができていますか?

順序立てて計画を立てたつもりでも、想定外の仕事が入ってきたり、急な用事が入ったり……。タスクを計画通りに終わらせるのは、簡単なようで案外難しいことですよね。イレギュラーな事態が落ち着いた後に、またイチから計画を立て直すのもなかなか面倒。

そんな方のために、破綻しない計画の立て方をご紹介します。

計画が途中で破綻してしまう原因

そもそも、せっかく立てた計画が破綻してしまうのはなぜなのでしょうか。破綻しやすい計画には次のような特徴があります。

邪魔が入らないことを前提にしている

〇時までにこれを終わらせて、△時にはあれを終わらせて……。とキッチリと予定を立てていても、たいていの場合、急用やトラブルなど、計画の遂行の邪魔となるものが現れるもの。何かしらの邪魔が入ることを前提にしたうえで、臨機応変で余裕を持った計画を立てることが重要です。

自分を過大評価している

皆さんは学生時代に、次のような経験をしたことはありませんか? 学期初めの履修登録期間中にはやる気に満ち溢れて「1限の授業を毎日入れよう。土曜日の授業もとろう」と意気込んだものの、数週間後に早くも「どうしてこんな時間割にしてしまったのだろう」と後悔し、挙句単位を落としてしまう――。このような失敗の原因は、自分を過信して達成の困難な計画を立ててしまうことにあります。自分の力を過大評価してはいけないのです。

細分化していない

大雑把な計画は立てられているが具体的なスケジュールに落とし込められていない、という点も、破綻しやすい計画の特徴のひとつ。 「〇日までに××を完成させる」という大雑把な計画に対し、それを遂行するための「△日までにアンケートを実施し、2日後には結果をまとめ、□日前までには企画書を作成し、アポをとり……」といった細分化した計画を立てていないと、本来成し遂げたいはずの計画は崩れてしまいます。

タスクの重要性、緊急性が見極められていない

タスクの重要度合いに対する認識の甘さや、時間管理の緩さも、破綻しがちな計画にはよく見られます。重要なタスクとさほど重要でないタスクが同列にあると、重要なタスクは計画通りに進まなくなります。例えば、「○日までに報告書を完璧に仕上げて提出する」という計画があったのに、○日の前夜に先輩に誘われて、一緒に食事に行ってしまったとしましょう。「報告書はどうにか提出したけれど、最後の詰めの部分が甘くなり質が落ちてしまった」のであれば、タスクの重要性や緊急性をないがしろにした行動の結果、計画が破綻してしまったと言えます。

破綻しない計画のポイント

では、計画を破綻させることなく遂行するには、どのようなことに気を付ければよいのでしょう。以下にポイントをまとめました。

ステップをできるかぎり細かくする

目標が大きかったり、タスクが大雑把であったりすると、気が進まずに後回しにしてしまい、計画通りにタスクを進められなくなります。ですので、ハードルが低すぎるほどにステップを小さく分解することが大切です。

例で考えてみましょう。TOEICのスコアを上げるという目標に向け「毎日2時間必ず勉強する」と計画を立てたとすれば、これは破綻しやすい計画。2時間も時間を取れる日がなかったり、単純に気が進まなかったりして計画倒れしがちです。そんな失敗を防ぐために、ステップを小さくしましょう。「試験半年前から毎日3つは必ず単語を覚える」程度ならば取り組みやすく、継続もしやすくなりますね。その後、段階を踏んでハードルを上げていけば、計画通りに進めやすくなります。

プランニング、プログラミング、アクションの区別をする

これは、ビジネス書『「超」整理法』などのベストセラー著作を多く持つ野口悠紀雄氏の推奨する方法です。プランニングとは、期間内に達成すべき目標の設定のこと。プログラミングとは、目標を達成するための手段や行動の計画のこと。そしてアクションは、予定を実行するための1日単位の行動計画のことを指します。これら3つをしっかり区別して計画を立てると、遂行しやすい計画を立てることができるのです。詳しくは次項にて、具体例を交えつつ解説します。

無駄を見極める

タスクそのものの重要性や緊急性が見極められていないと、無駄なことを優先したり時間を多く費やしたりしてしまい、本来遂行したかった計画が破綻する可能性が出てきます。そこで、各タスクの重要度と緊急度をきちんと認識し、無駄を削っていきましょう。ここで用いるのが、ベストセラービジネス書として知られる『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著)のうちの第3の習慣に出てくる、「重要・緊急マトリクス」です。

自分の持っている様々なタスクを、「1. 重要・緊急」「2. 重要・非緊急」「3. 非重要・緊急」「4. 非重要・非緊急」の4種に分類します。例えば、明日のプレゼンの準備は1、昇進に必要なTOEICのための勉強は2、上司に頼まれた用事は3、その他の娯楽などは4に当てはまります。

この場合、削るべきタスクとして4は言うまでもありませんね。また、3も極力削りたいところ。相手の理解を得られないか、誰かに協力してもらえないか検討する余地があります。反対に、削られがちな2は長い目で見ればプラスになるものが多いため、削らない方がいい項目になります。

破綻しない計画を立ててみよう

では、以上の点を踏まえて、破綻しない計画づくりをしてみましょう。

ここでは筆者が実際に直面している最重要タスク「卒業論文の第一章の草稿の提出」に向け、計画を立ててみました。

【1】タスクの細分化

まずは「卒業論文の第一章の草稿の提出」という大きな計画に向けて、タスクを細分化します。

  1. 図書館で資料収集、マッピング
  2. テーマの再考
  3. テーマの決定
  4. 計画表の提出
  5. 下書きを作成
  6. 完成させる
  7. 担当教授に一度チェックしてもらう
  8. 修正する
  9. できればもう一度チェックしてもらう
  10. 修正する
  11. 学科窓口に提出(6月29日締め切り)

この場合において、「プランニング」は11の「卒業論文第一章を学科窓口に提出(6月29日締め切り)」、「プログラミング」は1~10になります。

【2】各タスクへの締め切り日の設定

11の締め切りを元に、全ての項目に締め切り日を設けます。いきなり「25日までに第一章の草稿を完成させる」ではハードルが高くなってしまうためです。急用などが入ることも考え、締め切りの5日前までには完成しているように余裕を持って設定しました。これらを設定したら、全てスケジュール帳に書き込みます。

  1. 図書館で資料収集、マッピング
  2. テーマの再考
  3. テーマの決定(~6月5日まで)
  4. 卒業論文計画表の提出(6月8日まで)
  5. 下書きを作成(6月11日まで)
  6. 完成させる(6月13日まで)
  7. 担当教授に一度チェックしてもらう(6月15日まで)
  8. 修正する(6月17日まで)
  9. できればもう一度チェックしてもらう(6月20日まで)
  10. 修正する(6月24日まで)
  11. 卒業論文第一章を学科窓口に提出(6月29日締め切り)

【3】1日単位でのスケジュール設定

さらに計画を進めやすくするために、1日単位でも詳細なスケジュールを設定します。上で説明した「アクション」がここにあたります。

例)6月10日の計画

7:00 起床
~7:40 計画表に沿って大まかなアウトラインを作る
~12:30 授業
~18:00 アルバイト
~21:00 フリータイム
~22:00 夕食・入浴
~0:00 下書きを進める

1日の行動の中には、重要なこともあれば重要でないこともありますね。急な用事も発生するでしょう。その際は「重要・緊急マトリクス」を使いながら、どのタスクを優先させるべきか考えます。その結果、緊急かつ重要な用事を優先させることになり、卒論の草稿作成が計画通りに進まない日もありましたが、余裕を持って計画を立てていることに加えて毎日数時間のフリータイムを設けたため、多少ずれ込んでも支障がありませんでした。

筆者は締め切りギリギリまで先延ばししてしまう癖がありましたが、ステップごとに締め切りを細かく設けたため、ギリギリまで溜め込むことなく、順序立てて進めることができ、無事にかなり余裕をもってタスクを完成させることができました。

***
重要なのはステップを細かくし、邪魔が入ることを前提に余裕を持って予定を立て、手帳にしっかりと記入すること。 計画倒れしがちな方は、一度細かすぎるほどの計画を立ててみてはいかがでしょうか。

(参考)
プレジデントオンライン|超デキる人の「予定の立て方」7つのコツ
朝日新聞DIGITAL|計画倒れに終わらない、計画の立て方
STUDY HACKER|計画倒れにさよなら! 達成出来る計画を作るための、たった2つのコツ。
東洋経済オンライン|「計画倒れに終わる人」は時間管理が甘すぎる
ZUU online|デキない人にありがちな「計画倒れ」の正体 なぜ、実行できないのか?
ダ・ヴィンチニュース|いつも計画倒れになってしまう人へ――ばかばかしいくらい小さな目標で大きな目標は達成できる!?
フランクリン・プランナー・ジャパン|緊急度ではなく重要度を優先する

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