みなさんは、プライベートのストレスを仕事や学業にも持ち込んでしまう人ですか。それとも、プライベートはプライベート、仕事は仕事というように割り切って切り替えができる人でしょうか。
プライベートで何か辛い出来事があったとき、プライベートと仕事・学業の切り替えがなかなかできないと、プライベートのストレスを長く引きずることになり辛くなってしまうもの。それだけでなく、仕事や学業の取り組み方、成果などにもきっと悪影響が出てしまうはずです。
そこで今回は、公私を分けるメンタリティの身に付け方についてお伝えします。
プライベートのストレスを引きずることのデメリット
プライベートでのストレスを仕事や学業にまで引きずってしまうと、いったい私たちにどのような影響があるのでしょうか。
例えば、家族や友人と喧嘩をしてしまった場合を考えてみてください。相手にイライラした状態のまま仕事や学業に取り組んでいても、なかなか作業に集中することができませんよね。進まない作業を目の前にしてさらにイライラが募ることになり、結果的に負のスパイラルが起こってしまいます。プライベートのストレスを抱えたままでは、仕事や学業で良い成果をあげにくくなってしまうのです。
デメリットはそれだけではありません。誰でもストレスを受けて落ち込んでしまうのは当然のことですが、ストレス過剰な期間が続いて、いわゆる「ストレスを引きずっている状態にある」場合、精神的安定をもたらす効果がある神経伝達物質セロトニンの量が不足することになります。そしてそのセロトニン不足がきっかけとなって脳の活動が低下し、自律神経失調症やうつ病、パニック障害を引き起こしてしまう可能性があるのです。
公私を分けるためにストレスを軽減する方法
できれば、プライベートでのストレスを仕事や学業に持ち込みたくはありませんね。しかし、完全に持ち込まないようにするのは難しいもの。ですから、プライベートのストレスそのものを少しでも早く解消し、ストレスを受けている状態からできるだけ早く気持ちを切り替えるようにしましょう。
ストレス状態から脱するのに有効な、気持ちの切り替え法を2つ紹介します。
1. 「五感イメージ」と「客観イメージ」を使い分ける
メンタルトレーナーの岡本正善氏によれば、私たちは過去の苦い経験を思い返すとき、「五感イメージ」で捉えてしまっているのだそう。つまり、ストレスの原因となる出来事を過去にあった事実として思い出すだけでなく、そのときの五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚を通して得た感覚)も一緒にイメージしてしまうのです。したがって、ストレスを抱えているとき、私たちはストレスに陥った状況を実際に何度もリプレイしてしまっている状態にあります。
岡本氏は、プライベートでの出来事によるストレスは「客観イメージ」によって解消することができると言います。
自分の失敗をまるで他人事のように見ることで、事実として思い出しはしても、五感までリプレイされることがなくなります。分析的に、冷静に事実を見られるので、「これが原因だったのか」「こうすれば解決できそうだ」という前向きな気づきも生まれてきます。これこそが、客観イメージの力です。
(引用元:THE21ONLINE|プライベートのストレスで「仕事が手につかない!」の解消法)
具体的には、ストレスに陥った状況(例:家族と喧嘩した時の状況)を映画館のスクリーンに映し、それを客席から見るようなイメージをするとよいのだそう。こうすることで、ネガティブな感情を晴らし前向きになることができ、ストレス自体の解決にもつながるようです。仕事・学業への影響も抑えることができるでしょう。
2. 辛い過去から解放されるための行動を「自ら選択」する
オーストラリアを拠点に活動するベストセラー作家のキャシー・メンドーザ=ジョーンズ氏は、辛いことなどによるストレスを引きずり自分で自分を縛り付けてしまっているときは、自分を解放するための「選択」をするべきだと伝えています。
「自分にどう接するかは自分の意思で決められることなんです。カフェで朝食を選ぶのと同じようにね」
(引用元:ハフィントンポスト|つらい過去や失敗を抱え込まずに生きる、4つの方法)
ストレスと向き合うためにどう行動するかは、カフェで朝食に何を食べるか決めるのと同じように、自分で選択できること。ストレスを和らげるために自分の時間やエネルギーをどのように使うのかを、自身で考えて決めるべきなのです。そしてメンドーザ=ジョーンズ氏は、次のように自分に問いかけると良いと言います。
自分にこう問いかけてみましょう。過去を解き放つには何が必要?具体的にどんなことできる?もしかしたら、一杯のコーヒーで気持ちが楽になるかもしれませんね
(引用元:同上)
ストレスを抱えてしまった場合には、コーヒーを飲んだり散歩をしたりするなどして自分がリラックスできる時間を取り、過去を引きずらないようにすることが大切です。こうすればきっとプライベートでのストレスを軽減することができ、仕事や学業にも身が入るようになりますよ。
実際の活用方法
では、私たちはこれらの考え方をどのようにして実生活に取り入れていくことができるのでしょうか。具体的な場面を想定してご紹介します。
先ほども少し挙げましたが、例として、プライベートで家族と喧嘩をしてしまい、心にもないことを言ってしまったことに対してストレスを抱えているとしましょう。
その記憶を思い返すとき、「どうしてあんなことを言ってしまったのだろう」と後悔するだけだと、言いすぎてしまった自分の心地悪い感覚も一緒に呼び起こしてしまうことになります。ですから、「〇〇と言ったら相手が悲しい表情をした、仲直りをするにはどうするべきか」と、まるで他人の悩みに付き合っているかのように、客観的に事実を捉えて解決策を考えてみてください。
また、喧嘩してしまった過去について「自分を責めない選択をする」ことも大切です。運動をして気分を変えるなど、自分のストレスを和らげるためにできることを模索しましょう。
*** みなさんも、プライベートでストレスを抱えてしまった場合には、ぜひお伝えした方法を繰り返し実践してみてください。そうすれば次第に、プライベートのストレスを仕事や学業まで引きずらないようになれるはずです。
(参考) THE21ONLINE|プライベートのストレスで「仕事が手につかない!」の解消法 NIKKEI STYLE|ビジネスパーソンのストレスの「正体」と解消法 Forbes JAPAN|「6つのレベル」で考える仕事とプライベートの境界線 ハフィントンポスト|つらい過去や失敗を抱え込まずに生きる、4つの方法