テニス界最高権威の大会 “グランドスラム” のひとつ「全米オープン」で、日本の大坂なおみ選手が快挙です。日本人選手として初めて、グランドスラムシングルスで優勝を成し遂げました

決勝で対戦した相手は、大坂選手が「自分のアイドル」と公言し続けてきた、セリーナ・ウィリアムズ選手。歴代1位(※オープン化以降)となる23回のグランドスラムシングルス優勝回数を誇る、アメリカの絶対的エースです。

セリーナ選手が地元の声援を一身に受けるなか、完全アウェーの状態で見事にキャリア最大の勝利をつかみ取った大坂選手。優勝が決まった瞬間に帽子のツバを下げて涙をこらえる姿に、多くの人が心打たれたに違いありません。

2017年末には44位だった世界ランキングも、ついにトップ10以内の7位にまでジャンプアップ。今後もさらなる躍進が期待されています。彼女の急成長のヒミツとは何だったのでしょうか? そこには、私たちの成長のためのヒントとなる大切なマインドが隠れていました。

大坂なおみ選手には最大の弱点があった

およそ1年前の2017年10月、大坂選手はスポーツ総合雑誌『Number』誌上のインタビューで、自身の弱点について次のように答えています。

私は、テニスのうえでは自分に厳しすぎるって指摘されるんです。試合中、もっといいプレーが出来たのに、ってイライラしてしまう。

(引用元:Number Web|大坂なおみ、セリーナ戦での品格。全米制覇は“Naomi Era”の幕開けに。

完璧主義で自分に厳しい性格が災いし、些細なミスに端を発して試合中に内面から崩れていってしまう。そんな「メンタルの弱さ」を、かつて彼女自身は吐露していました。

そんな彼女に変化をもたらしたのが、2017年末にコーチとして就任したサーシャ・バヒン氏。彼は、大坂選手が第一に改善すべき弱点として「物事をネガティブにとらえやすい」ことを就任早々に察知したのだといいます。そして「物事をそんなに難しく考えることはないよ! 人生は素晴らしい! 天気も良い! 楽しもうじゃないか!」とポジティブシンキングを推進し、練習時から明るい雰囲気づくりに尽力してきたのだそう。

「今取り組んでいるのは、ポジティブな姿勢をどんな時にも維持すること」

(引用元:VICTORY|大坂なおみ、大躍進を支える“女王育成のレシピを知る者たち”

2018年1月の全豪オープン(※今回、大坂選手が優勝した全米オープンも分類される “グランドスラム” 大会のひとつ)開催中、大坂選手は上のように述べ、完璧主義・ネガティブ思考からの脱却を目指していることを明らかにしました。それから8ヶ月——メンタル面での劇的な成長を実現させ、見事 “Naomi Era(大坂なおみの時代)” の到来を予感させる、グランドスラムでの初優勝をつかみ取ったのでした。

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「完璧主義」は意外ともろい!?

スポーツ心理学者の児玉光雄氏は自身の著書のなかで、完璧主義であることの欠点を次のように述べています。

完璧主義者は浮き沈みが激しい。だから常に感情的に不安定であり、心の中に不安や恐怖を抱えている。それだけでなく、たとえ目標を達成しても、「もっと高い目標を達成して頑張らねば……」と考えてしまい、常にストレスを抱えながら生きる運命にある。
このタイプの人間は現状に常に不満を持っており、「もっと、もっと」や「……ねばならない」が口癖である。それだけでなく、完璧主義者は常に未来の夢を描くだけで現実を疎かにするから、なかなか成長していくことができない。

(引用元:児玉光雄 (2015),『Kのロジック』, PHP研究所.)

また、完璧主義者は “逆境耐性” に欠けているため、少しのピンチに見舞われただけで簡単に挫折してしまうとも指摘しています。

これは普段の勉強や仕事にも当てはまる部分があるはず。皆さんの中にも、自分を完璧主義だと感じている方は多いのではないでしょうか。そして、完璧主義であるがゆえの挫折感や失敗感を味わった経験のある方もいるはずです。

満を持して提案した企画が採用されなかった……。自分の担当した仕事が、成果をまったく生み出せていない……。営業成績が自分の理想とは程遠い……。そして、そんな自分の不甲斐なさをいつまでも嘆いてはいませんか。

大坂なおみ選手も、かつてはそうでした。でも、コーチの教えで完璧主義から脱却し、結果として飛躍的な成長を遂げたのです。では、私たちが完璧主義から抜け出すのにはどうすればいいのでしょうか?

「自分史上最高」を目指そう

完璧主義的な思考に陥りやすい人に対して、習慣化コンサルタントとして活躍する古川武士氏は「自分史上最高を目指す」ことをアドバイスしています。

どんな体験や失敗の中にも、必ず成長と成功へのタネが詰まっています。それに焦点を当てるか、自己嫌悪、不完全を見るかで感情は変わります。

失敗から立ち上がって、また頑張ろうという気持ちになるためには、
前回の自分より少しだけ成長している。
実力がついている!!
と小さな、あまりにも小さすぎる成長を見ること。

1%でも成長している自分を感じて、自分の歴史史上最高になっていることを実感し直すことです。

(引用元:習慣化コンサルタントの「続ける習慣」ブログ|悪い習慣4:完璧主義で100点ばかり求める

100点でなければ0点だという両極端な考え方は、0点から必死に逃れようとする “恐怖” を原動力に行動することになるため、自分を追い込んでしまうのだそう。特に、新しいことへの挑戦は失敗がほとんどであるため、完璧主義者は精神的なダメージを抱え込んでしまいやすいのだとか。

でも、たとえ “大きな成功” とはまだ言えなくとも、自分自身に “小さな成長” を探すことは誰でもできそうですよね。仕事を進めるうえで、前回よりもちょっとだけうまくいったこと。直接的な結果には結びついてはいないものの、次回に生かせそうなこと。個人的に自分の成長を実感できた瞬間。「見つけよう」という意識で探してみれば、こういった成長点はきっと見つかるはずです。

大坂なおみ選手の大躍進にヒントをもらって、私たちも確実に成長をモノにできる思考法を身につけましょう!

(参考)
朝日新聞デジタル|大坂「私が大好きなセリーナのまま」 優勝後の一問一答
スポニチアネックス|大坂なおみ 全米制覇 憧れセリーナをストレートで 世界ランク7位に浮上
Number Web|大坂なおみ、セリーナ戦での品格。全米制覇は“Naomi Era”の幕開けに。
VICTORY|大坂なおみ、大躍進を支える“女王育成のレシピを知る者たち”
児玉光雄 (2015),『Kのロジック』, PHP研究所.
習慣化コンサルタントの「続ける習慣」ブログ|悪い習慣4:完璧主義で100点ばかり求める