「職場のことで、なんだかいつもストレスを感じる」
「仕事中、ちょっとしたことで気疲れしてしまう」
心が疲れやすいと感じている人は、“じつはやらないほうがいい考え方” の習慣が身についてしまっているかもしれません。心が疲れない人は、そうした考え方をしないからこそ、気持ちよく仕事に励めるのです。
今回は、「心が疲れない人」が「やらない」習慣についてご紹介します。気分を楽にするため、ぜひ参考にしてみてください。
【ライタープロフィール】
髙橋瞳
大学では機械工学を専攻。現在は特許関係の難関資格取得のために勉強中。タスク管理術を追求して勉強にあてられる時間を生み出し、毎日3時間以上勉強に取り組む。資格取得に必要な長い学習時間を確保するべく、積極的に仕事・勉強の効率化に努めている。
心が疲れない人は「理想を追いすぎない」
高い目標に向けて頑張るけれど、達成できないと、落ち込んだりモチベーションが下がったりしてしまう……。これに当てはまるなら、あなたは「完璧を目指さなければいけない」「人と比べて優れていなければいけない」という考えにとらわれすぎているのかもしれません。
つい頑張りすぎてしまう人は、低い目標を設定してみてはいかがでしょう。
経営者のパーソナルコーチングなどを行なうメンタルコーチの三木未希氏も、メンタルを強く保つ方法として、目標を低くするようすすめています。また三木氏いわく、「そこまでやらないと『人が死ぬ?』『会社が潰れる?』」など、自分自身に向けて「少し極端な問いかけ」をして、そうならない範囲であれば目標を達成できなくても問題ないのだそう。(カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|「すぐ心が折れる人」がやりがちな"3つの悪習慣")
たとえば営業職の場合、もともと目標としていた成約件数を達成できない月が続き、落ち込むこともあると思います。そんなときは、達成できているものや手に入れているものに注目するようにしましょう。「先月より多くお客さま先を訪問できた」など、達成できている内容もあるはずです。
『反応しない練習』著者で、独立派の僧侶である草薙龍瞬氏も、心が疲れやすいビジネスパーソンに向け次のように語っています。
忘れてはならないのは、自分の動ける範囲で幸福・納得を得ることなのです。「自分の輪郭」を飛び越えて、「もっとこれが必要だ」とか「今以上に何かをしなければ」などと考えてストレスを溜めてしまうのは、正しい考え方とはいえませんよね。
まずは自分の1日の時間をどう生かすか、どれだけ「快」、つまり楽しさや充実感を大切にして、不快を溜めこまない工夫をするかを考える。1日1日を快く生きていくことに集中する。
(引用元:リクナビNEXTジャーナル|【疲れた心に】インドで出家した僧侶が教える「ムダな反応」の止め方)
できなかった物事への執着をやめれば自己肯定感が上がり、自分の思い通りにならないことに対するストレスを減らすことができますよ。いつしか、心の疲れは軽くなっていくでしょう。
心が疲れない人は「対処できないことで悩まない」
日々の業務において、手に負えない問題に直面することもありますよね。自分ではどうにもできない要素まで「なんとかしなくては」と思ってしまってはいませんか?
努力でどうにもできないことで悩んでも、心が疲れてしまうだけ。自分で対処できない悩みに関しては思いきって諦めて、対処できることに注力しましょう。
セールスフォースなどを顧客にもち、職場環境改善に携わるコンサルタントのリズ・フォスリエン氏と、IDEOの組織デザイナーを経験したモリー・ウェスト・ダフィー氏は、共同著書『のびのび働く技術』のなかで次のように述べています。
自分ではどうにもできない要素までなんとかしなくてはと思ってしまうと、「よし、できるだけのことはした」と納得して肩の荷を下ろせるときは永遠にきません。
(引用元:東洋経済オンライン|仕事中「なぜか機嫌がいい人」がしていないこと)
そうはいっても、自分に対処可能かどうかの判断さえつかない人も少なくないでしょう。
心理学者のニック・ウィグノール氏は、次の方法で、気になっている事柄からコントロール可能なものを抽出・整理しているそうです。
- 「毎日、5分から15分かけて、気になっている件を全部書き出」し、それを「3つのカテゴリーにわけ」る。
- 「仮定に基づく心配ごとではない、実行可能な件」
(例:承認待ち書類の返事が来ない、会議資料のフィードバックをもらう必要がある など) - 「今日か明日じゅうに片づけるべき急ぎの件」
(例:クライアントへの見積書提出 など) - 「自分でなんとかできる件」
(例:返信をしていないメールがある など)
- 「仮定に基づく心配ごとではない、実行可能な件」
- 「各項目を解消するために次にとるアクション」を設定する。
(例:今日15時に見積書作成し、明朝9時にメールを送る など)
こうすることのメリットは、「つかみどころのない問題」にも「解決策が存在して」いるとわかること。(カギカッコ内引用元:同上)
筆者も、実際にこの方法を試してみました。
公私にかかわらずすべての事柄を書き出してみたところ、気がかりだった内容が可視化され、頭がすっきりするのを感じました。
特に効果を実感したのは、「急ぎでない(期限の決まっていない)内容」についてです。筆者は普段、期日がないタスクはつい後回しにしてしまいがち。いつまでもタスクが残り続け、ストレスを感じることがよくありました。ですがこの手法では「解決に必要なアクション」まで決めるため、解決日が設定されてストレスが軽減しました。
また、悩みの原因を明文化できるという効果も感じました。「なんとなくモヤモヤしているけど、理由はわからない……」ということはよくあるもの。ですが実際に書き出してみると、“モヤモヤしているのは、先延ばしにしているあの手続きが気になっていたからなんだ” とはっきりと自覚できたのです。
いろいろなことを抱え込みすぎて疲れてしまう人は、ぜひ試してみてはいかがでしょう。
心が疲れない人は「悩みを無理に避けようとしない」
自分の悩みについて、できるだけ考えないようにしていませんか? 私たちはしばしば、悩みや問題から無理に目を背けてしまいがち。しかし、まずは自分が抱いているネガティブな感情を認めることも重要なのです。
浄土真宗の僧侶・松本紹圭氏も、悩みをリセットする手順のひとつを下記のように語っています。
「嫌いだ」「許せない」と感じることがあるのは、人間としてごく自然なこと。ネガティブな感情を抱くのはよくないことだなどと思わず、自分の感情を受け止めよう。
(引用元:日本経済新聞|僧侶が教える、ネガティブ感情が消える心の習慣)
たとえば、職場で同僚に嫌味を言われたり、上司に理不尽な態度をとられたりしたとき、怒りや悲しみの気持ちを抱くのは当然のこと。「負の感情があるのは人間として当たり前」と認識し、「ネガティブな気持ちを抱いてはいけない」という考えは手放しましょう。
また、「考えたくないのに、頭に浮かんできてしまう」ということがよく起きるように、考えてはいけないという強い気持ちは逆効果をもたらしてしまいます。心理学者ガイ・ウィンチ氏が紹介する、以下の実験を知っている人もいるかもしれませんね。
「今から5分間、シロクマのことを考えないでください」というテキサス州で行われた有名な実験があります。その結果、多くの人が何度もシロクマを思い浮かべたことを自己申告しました。
(引用元:東洋経済オンライン|折れない人が実践する「嫌な妄想」を絶つ方法)
では、悩みが浮かんできたときはどうすればいいのでしょう? ウィンチ氏は、「考えない努力をするのではなく、別のことを考える」のが効果的だと話します。
たとえば、事前に「気分転換の方法」を書き出し、「短い時間でできるもの」と、「長い時間没頭するもの」のリストを作成。そして悩みが浮かんだら、「リストを確認して気分転換を試してみる」のを習慣にするといいそうです。(カギカッコ内引用元:同上)
筆者も、実際に「気分転換できる行動のリスト」を書いて持ち歩いてみました。
以前は悩みが浮かぶたび、「考えてはいけない」と思いつつもそのまま考え込んでいました。しかし、「リストがある」と意識することで、無理に悩みから目を背けることなく、すぐさま気分転換を実行できましたよ。
自分なりに気持ちを切り替える手段をもっている人も多いと思いますが、リスト化までしている人は少ないのではないでしょうか。筆者は、実際にリストをつくって持ち歩くことで、気分転換へ意識が向きやすくなり、悩む時間が短くなるのを実感しました。心が疲れやすい人は、ぜひ試してみてはいかがでしょう。
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「心が疲れやすい……」「もっと快適に過ごしたい」と感じている人は、ぜひこの3つを実践して、穏やかな心を手に入れてください。
東洋経済オンライン|「すぐ心が折れる人」がやりがちな"3つの悪習慣"
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