就寝前の “たった10分” で脳の疲れを癒やす方法。やっぱり読書が最高だった。

「なんだか最近、ぼーっとしてばかり」 「仕事で小さなミスが増えた」 以前に比べて明らかに仕事のパフォーマンスが落ちたと実感しているビジネスパーソンは、今すぐに就寝前の過ごし方を変えましょう。

今回は、仕事のミスを増やす原因となる「脳疲労」について詳しく説明、さらにすぐにでも実践できる改善策をご紹介します。さっそく今夜から試してみましょう!

それ、「脳疲労」が原因かも

「仕事での集中力が格段に落ちた」 「人の話を聞き返すことが増えた」 「考えがうまくまとまらず、言いたいことが相手に伝わらない」 これらを、ただの一時的な身体の不調として、あまり深刻にとらえずにやり過ごしてしまうのはちょっと危険です。もしかすると、その不調の原因は「脳疲労」かもしれないからです。

脳疲労とは、その名の通り「脳が疲れた状態」のこと。たくさん運動をして筋肉を使いすぎると筋肉疲労が起こるように、脳も使いすぎることで脳疲労を起こし、正常なパフォーマンスが維持できなくなります

人間の脳は「大脳新皮質」と「大脳辺縁系」を司令塔として、「間脳」が心身の健康を保つための働きをしています。

  • 大脳新皮質ーー知性・理性の中枢。思考や学習などの精神活動を担う。
  • 大脳辺縁系ーー本能・情動の中枢。喜怒哀楽や本能を担う。
  • 間脳ーー自律神経中枢食欲中枢を司る。

脳疲労の状態を医学的に説明すると、「大脳新皮質という司令塔と大脳辺縁系という大脳旧皮質の司令塔の関係性の破綻」を指します。これら3つの関係性を、人間の身体を機能させる“高度情報処理システム”とした場合、容量を上回る情報が入ってきたらどうなるのでしょうか。

大脳辺縁系が機能不全を起こす

それが大脳新皮質にも影響を及ぼす

自律神経を司る間脳にも影響を及ぼす

脳の機能不全が起こる

情報過多な現代では、簡単に情報を入手できるようになった一方で、必要のない情報や無駄な情報もたくさん目にする機会が増えました。その結果、私たちの脳は膨大な情報を処理しきれずに、気づかない間に「脳疲労」を引き起こしているのです

自律神経や食欲中枢を司る間脳が機能不全になると、味覚や嗅覚などの五感にも異変が現れます。味がわからない、食欲が抑えられない、眠れない、感情が不安定になる……これらの不調は、実は脳疲労のせいであることが多いのです。

鍵を握るのは「就寝直前」の過ごし方

疲労回復には睡眠が一番、と頭ではわかっていても、ベッドにスマートフォンを持ち込んで、寝る直前まで画面を見る習慣はありませんか? また、夜遅い時間のアルコールが習慣になっている方もいるのではないでしょうか。それらは、その瞬間にはストレスが軽減されたり、リラックス効果を感じたりするかもしれません。

上級睡眠改善インストラクターの安達直美氏は、「日中の太陽の光に近いブルーライトを浴びてしまうと、『今はまだ活動の時間だ!』と脳が勘違いしてしまい、眠りを誘い、維持してくれるメラトニンというホルモンの分泌を抑えてしまう」と説明します。また、日本大学医学部精神医学系の内山真主任教授は、寝る直前の飲酒について「アルコールの血中濃度が高くなると鎮静作用で一時的に眠くなるが、分解されると急にその作用が抜けることで目覚めやすくなる」と述べます。

何気なく行なっていた日々の習慣が脳疲労を蓄積させる原因になっていると自覚することが、良質な睡眠を手に入れるための第一歩です。就寝前の過ごし方をほんの少しでも変えることができれば、脳疲労が格段に軽減できます。それにより、翌日の仕事のパフォーマンスも目に見えて変わってくるでしょう。

それではここからは、脳疲労解消に役立つ「就寝前の良い過ごし方」をご紹介していきましょう。

方法1:6分間読書

精神科医の樺沢紫苑氏によると、「(ある実験において)読書をスタートしてから6分後に、ストレスがかかって交感神経が優位になっていた状態から、副交感神経優位に切り替わっていく」ということが判明しました。つまり、寝る時間から逆算して6分以上前から本を読み始めれば、疲労の大きな原因となるストレスを軽減し、リラックスした状態で眠りにつくことができるというわけです。

ただし、先ほども説明したように、寝る前にはブルーライトを浴びないようにしたいものです。蛍光灯やLEDの電球には「昼光色」「昼白色」「電球色」があり、夜寝る前の読書で使う照明器具は、黄色味がかかった「電球色」をおすすめします。

方法2:10分間ストレッチ

適度な運動には疲労回復の効果があります。筋肉を緩めると血流が良くなるだけではなく、リラックスを促す副交感神経を優位にすることで自然な眠りへと導いてくれるため、寝る前のストレッチはぜひ続けたいですね。

ここで注意しなければならないのは、体温が上昇しすぎると逆に興奮して寝つきが悪くなってしまうこと。10分程度を目安にして、ほどよく身体を温めることを目標にしてください

<就寝前におすすめのストレッチ>

  • あぐらの状態で座り、股関節の周りをほぐす。
  • 仰向けの姿勢から片膝を曲げて両手で抱え、足のつけ根を圧迫する。
  • 仰向けに寝て、両手・両足を天井に向けて脱力した状態で小刻みにぶらぶらさせる。
  • 仰向けに寝て、両手を上に伸ばし、両足も伸ばして背伸びの状態に。手足の指先までしっかりと伸ばす。

じっくりと筋肉を伸ばすように、ゆっくりとした動きで深い呼吸を続けることを意識しましょう。

方法3:10分間瞑想

早稲田大学スポーツ科学学術院准教授であり、医学博士の西多昌規氏は、疲労回復効果を期待できるものとして「瞑想」を挙げています。アメリカでは、瞑想によって睡眠の質の改善や疲労感の解消、抗ストレス・抗うつが期待できるという科学的効果が研究されているとのこと。瞑想は、神経を休ませることで脳をリラックスさせます。以下、具体的な実践方法をご紹介します。

  1. 静かな部屋で、楽な姿勢で座る。手は膝に置く。
  2. 目を閉じて、力を抜く。
  3. 呼吸は鼻で行い、呼吸に集中する。
  4. 息を吐くときだけ、秒数を数える。
  5. 10~15分ほど続ける。

(引用元:フミナーズ|疲労回復にはまず睡眠!就寝前のコップ一杯の水でぐっすり快眠

実践後は、いま頭の中で何を考えてどう感じているのかに気づき、心がふっと軽くなります。寝る直前であれば、ベッドの上に仰向けになり、呼吸法に気をつけながら10分ほど瞑想を行ってみましょう。そのまま心地よい眠りにつく準備が整うはずです。

***
毎日のちょっとした不調や、なかなか取れない疲れなどは、「脳疲労」が原因で引き起こされているのかもしれません。脳疲労を解消するゴールデンタイムは、寝る前の10分間です。脳に負担を与える悪習慣から抜け出すことができれば、日中の仕事のパフォーマンスも格段にアップするでしょう。

(参考)
脳疲労概念【BOOCS公式サイト】|脳疲労とBOOCS
茨城県メディカルセンター|健康まめ知識|疲れがなかなか取れないのはなぜ?脳疲労に気づいて体調を整えよう
PreBell|その不眠、スマホが原因かも。原因と対策を睡眠の専門家が伝授!
NIKKEI STYLE|睡眠のプロが教える新常識 寝酒NG、エアコンはOK
日刊ゲンダイDIGTAL|「スマホより6分間読書」精神科医が薦めるリラックス術
世界睡眠会議|寝る前の読書を「快眠習慣」にする2つのコツ
グリコ|寝る前のストレッチで睡眠の質をアップ
フミナーズ|疲労回復にはまず睡眠!就寝前のコップ一杯の水でぐっすり快眠

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