最近どうも勉強が退屈に感じてしまう。気軽に試せて気分転換にもなる勉強法はないだろうか……?
――そんな方におすすめの、ちょっとしたアイデアがありますよ。学習効果も期待できます。実践とともに詳しくお伝えしましょう。
偶然に生まれた「対比効果」
ボールペンのインクがなくなりかけていたり、インクが古かったりすると、徐々に書いている文字が薄くなってくることがありますよね。筆者にも最近ありました。
(ノートの中身参考元:東京理科大学(プレスリリース)|複数言語における概念に対するネットワーク解析により、中核をなす4つの感情を解明~自然言語処理にも活用できる重要な知見~)
もったいない精神でそのまま使っていたものの、さすがに出が悪いボールペンで書き続けていると、ストレスがたまってきます。そこで、途中から発色のいいボールペンに切り替えてみたら、意外な発見がありました。
濃い文字が際立ち、グッと頭に入りやすくなる気がしたのです。それだけでなく、薄い文字もなぜか印象深くなりました。お互いが、お互いを引き立てたのでしょう。つまり、対比効果が生まれたわけです。
(ノートの中身参考元:同上)
十文字学園女子大学 教育人文学部 心理学科教授の池田まさみ氏、立正大学 心理学部教授の高比良美詠子氏らが、数々の認知バイアスを集めて紹介している「錯思コレクション100」によると、
- 実際には同じ色なのに、周辺を取り囲むものが違うと、色が違って見える
- スイカに塩をかけると、甘さが引き立つ
といった例も対比効果とのこと(参考元:錯思コレクション100|対比効果)。
だとすれば、インクの出が悪くなったボールペンと、出のいいボールペンを交互に使うことで、薄い色も濃い色も、互いに引き立てられ、学習効果が高まるのではないでしょうか。出が悪いボールペンも勉強に役立つ可能性があるというのは、意外ですね。
対比効果を狙って勉強してみた
そこで、さっそく試してみたところ――
(ノートの中身参考元:前出の「東京理科大学」プレスリリース)
地味なコントラストでありながら、ほどよくメリハリが利いているので、なんだか飽きずに勉強できそうな気がしました。
また、ペンを持ち替えるたびに手の感覚が刺激されるためか、その刺激が脳に伝わって頭もよく働くような気がします。ボールペンのインクの出が悪くなってきたときには、出のいいボールペンとの併用を試してみてはいかがでしょう。
「真っ黒なペンと白いノート」で勉強してみた
こうして対比効果への期待がふくらんだので、さらに違うバージョンも試してみることにしました。真っ黒いボールペンと、白っぽいノートの組み合わせです。
しかも、使うのはただのボールペンではありません。最も黒いボールペンとしてギネスに認定された、三菱鉛筆株式会社のユニボール ワンです(以下写真)。
インクの粒子のサイズを大きくすることで、紙への浸透を抑えられた色材が紙面上に残り、より濃く発色するとのこと。(参考元:三菱鉛筆株式会社(プレスリリース)|「ユニボール ワン」が最も黒いゲルインクボールペンとしてギネス世界記録™認定)。
次の一番最後の文字が、ユニボール ワンで書いたものです。
(上画像2点の引用元:STUDY HACKER|記憶力向上に役立つペンの特徴は「色が○○」なこと。実際に勉強で使って確かめてみた)
たしかに真っ黒ですよね。
じつのところ、この黒さはそれだけでも効果を発揮します。立命館大学 総合心理学部教授の服部雅史氏監修のもと行なわれた研究では、くっきりとした濃くて黒い文字ほど、記憶に残りやすいと明らかになっているそうです(参考元:前出の「三菱鉛筆株式会社」プレスリリース)。
これに対比効果が加われば、きっと怖いものなし。そのために今回は、全体的に白っぽいノートとして、コクヨ株式会社のソフトリングノート クリア(以下写真)を組み合わせます。
(画像の引用元:STUDY HACKER|仕事効率が上がるノートの使い方。「○○がやわらかいノート」を使ってみたら作業のしやすさに驚いた)
表紙とリングは半透明。紙には方眼ドット罫が施されていますが、薄いので白無地にも見えます。
ちなみにリング部分はコクヨ独自開発のやわらかい樹脂製なので、筆記のとき手に当たっても、あまり気になりません。これなら、集中力を途切れさせることもなさそうです。(参考元:コクヨ ステーショナリー|ソフトリングTOPページ) 。
そうして、さっそく試してみたら――
(ノートの中身参考元:shiRUto|「記憶を助けるボールペン」が示唆する、記憶と意識の知られざるメカニズム)
コントラストが利いて、書く文字のディテールがハッキリ見えるせいか、いつの間にか噛み締めるように、ゆっくりしっかりと書いていました。そのおかげで、よく覚えられたというより、思考の整理・理解が進んだ気がします。それはのちに、覚えやすさにもつながるのではないでしょうか。
いずれにせよ、学習効果が発揮されるのは間違いありませんね。
「真っ黒なペンとインクの出が悪いペン」を一緒に使って勉強してみた
せっかくなので、最初のやり方にもギネス級の黒さを取り入れてみました。インクの出が悪いボールペンと、ユニボール ワンを一緒に使ってみたのです。
(ノートの中身参考元:前出の「東京理科大学」プレスリリース)
さすがに、ますます濃淡がハッキリしますね。
これだけ文字にメリハリがあると、書いた内容の位置関係が想起を助けてくれるかもしれません。試しに思い出そうとしてみたら、たしかに「上のほうに濃く〇〇と書かれていた」「最後の左側に薄く〇〇と書かれていた」などと、色の濃淡にサポートされた位置関係が、記憶を引っ張り出す助けになりました。
インクの出が悪くなった際には、ぜひ一度、息抜きのつもりでお試しくださいね。カラーペンだと色の刺激が強すぎて、思考が邪魔されそう――などと感じている方にもおすすめです。発色のいいボールペンも、インクの出が悪くなったボールペンもストックしておけば、いつでも実践可能です!
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仕事と勉強の両立は、なかなか大変なもの。これらのアイデアが、少しでもみなさまのいい気分転換となり、学習効果も高められたら幸いです。
三菱鉛筆株式会社|「ユニボール ワン」が最も黒いゲルインクボールペンとしてギネス世界記録™認定
コクヨ ステーショナリー|ソフトリングTOPページ
錯思コレクション100|対比効果
(ノートの中身参考)
東京理科大学|複数言語における概念に対するネットワーク解析により、中核をなす4つの感情を解明~自然言語処理にも活用できる重要な知見~
shiRUto|「記憶を助けるボールペン」が示唆する、記憶と意識の知られざるメカニズム
STUDY HACKER 編集部
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