濃くて黒い文字ほど記憶に残る。「最も黒いペン」で学習効果をより高める方法を探ってみた

ギネス認定の最も黒いペンと、ほぼ白いノートを使って学んでみた

最近どうも勉強が退屈に感じてしまう。気軽に試せて気分転換にもなる勉強法はないだろうか……?

――そんな方におすすめの、ちょっとしたアイデアがありますよ。学習効果も期待できます。実践とともに詳しくお伝えしましょう。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

偶然に生まれた「対比効果」

ボールペンのインクがなくなりかけていたり、インクが古かったりすると、徐々に書いている文字が薄くなってくることがありますよね。筆者にも最近ありました。

古い油性のボールペンで書いた、薄くなった文字。

インクは十分に入っていたが、油性ボールペンのインクが古かったのか、
どんどん書く文字が薄くなってきた。

(ノートの中身参考元:東京理科大学(プレスリリース)|複数言語における概念に対するネットワーク解析により、中核をなす4つの感情を解明~自然言語処理にも活用できる重要な知見~

もったいない精神でそのまま使っていたものの、さすがに出が悪いボールペンで書き続けていると、ストレスがたまってきます。そこで、途中から発色のいいボールペンに切り替えてみたら、意外な発見がありました。

濃い文字が際立ち、グッと頭に入りやすくなる気がしたのです。それだけでなく、薄い文字もなぜか印象深くなりました。お互いが、お互いを引き立てたのでしょう。つまり、対比効果が生まれたわけです。

出の悪いボールペンから出のいいボールペンに変えたら、対比効果が生まれた。

(ノートの中身参考元:同上)

十文字学園女子大学 教育人文学部 心理学科教授の池田まさみ氏、立正大学 心理学部教授の高比良美詠子氏らが、数々の認知バイアスを集めて紹介している「錯思コレクション100」によると、

  • 実際には同じ色なのに、周辺を取り囲むものが違うと、色が違って見える
  • スイカに塩をかけると、甘さが引き立つ

といった例も対比効果とのこと(参考元:錯思コレクション100|対比効果)。

だとすれば、インクの出が悪くなったボールペンと、出のいいボールペンを交互に使うことで、薄い色も濃い色も、互いに引き立てられ、学習効果が高まるのではないでしょうか。出が悪いボールペンも勉強に役立つ可能性があるというのは、意外ですね。

対比効果を狙って勉強してみた

そこで、さっそく試してみたところ――

出のいいボールペンと、出の悪いボールペンをあえて併用してみた。

(ノートの中身参考元:前出の「東京理科大学」プレスリリース)

地味なコントラストでありながら、ほどよくメリハリが利いているので、なんだか飽きずに勉強できそうな気がしました。

また、ペンを持ち替えるたびに手の感覚が刺激されるためか、その刺激が脳に伝わって頭もよく働くような気がします。ボールペンのインクの出が悪くなってきたときには、出のいいボールペンとの併用を試してみてはいかがでしょう。

「真っ黒なペンと白いノート」で勉強してみた

こうして対比効果への期待がふくらんだので、さらに違うバージョンも試してみることにしました。真っ黒いボールペンと、白っぽいノートの組み合わせです。

しかも、使うのはただのボールペンではありません。最も黒いボールペンとしてギネスに認定された、三菱鉛筆株式会社のユニボール ワンです(以下写真)。

三菱鉛筆株式会社のユニボール ワン

インクの粒子のサイズを大きくすることで、紙への浸透を抑えられた色材が紙面上に残り、より濃く発色するとのこと。(参考元:三菱鉛筆株式会社(プレスリリース)|「ユニボール ワン」が最も黒いゲルインクボールペンとしてギネス世界記録™認定)。

次の一番最後の文字が、ユニボール ワンで書いたものです。

黒いペンの濃さの違い

(上画像2点の引用元:STUDY HACKER|記憶力向上に役立つペンの特徴は「色が○○」なこと。実際に勉強で使って確かめてみた

たしかに真っ黒ですよね。

じつのところ、この黒さはそれだけでも効果を発揮します。立命館大学 総合心理学部教授の服部雅史氏監修のもと行なわれた研究では、くっきりとした濃くて黒い文字ほど、記憶に残りやすいと明らかになっているそうです(参考元:前出の「三菱鉛筆株式会社」プレスリリース)。

これに対比効果が加われば、きっと怖いものなし。そのために今回は、全体的に白っぽいノートとして、コクヨ株式会社のソフトリングノート クリア(以下写真)を組み合わせます。

コクヨ株式会社の「ソフトリングノート」

(画像の引用元:STUDY HACKER|仕事効率が上がるノートの使い方。「○○がやわらかいノート」を使ってみたら作業のしやすさに驚いた

表紙とリングは半透明。紙には方眼ドット罫が施されていますが、薄いので白無地にも見えます。

ちなみにリング部分はコクヨ独自開発のやわらかい樹脂製なので、筆記のとき手に当たっても、あまり気になりません。これなら、集中力を途切れさせることもなさそうです。(参考元:コクヨ ステーショナリー|ソフトリングTOPページ) 。

そうして、さっそく試してみたら――

ギネス認定のもっとも黒いペンと、ほぼ白いノートで勉強してみた

(ノートの中身参考元:shiRUto|「記憶を助けるボールペン」が示唆する、記憶と意識の知られざるメカニズム

コントラストが利いて、書く文字のディテールがハッキリ見えるせいか、いつの間にか噛み締めるように、ゆっくりしっかりと書いていました。そのおかげで、よく覚えられたというより、思考の整理・理解が進んだ気がします。それはのちに、覚えやすさにもつながるのではないでしょうか。

いずれにせよ、学習効果が発揮されるのは間違いありませんね。

「真っ黒なペンとインクの出が悪いペン」を一緒に使って勉強してみた

せっかくなので、最初のやり方にもギネス級の黒さを取り入れてみました。インクの出が悪いボールペンと、ユニボール ワンを一緒に使ってみたのです。

インクの出が悪いボールペンと、ギネス認定の最も黒いペンで勉強してみたら、リズム感たっぷりのノートになった。

(ノートの中身参考元:前出の「東京理科大学」プレスリリース)

さすがに、ますます濃淡がハッキリしますね。

これだけ文字にメリハリがあると、書いた内容の位置関係が想起を助けてくれるかもしれません。試しに思い出そうとしてみたら、たしかに「上のほうに濃く〇〇と書かれていた」「最後の左側に薄く〇〇と書かれていた」などと、色の濃淡にサポートされた位置関係が、記憶を引っ張り出す助けになりました。

インクの出が悪くなった際には、ぜひ一度、息抜きのつもりでお試しくださいね。カラーペンだと色の刺激が強すぎて、思考が邪魔されそう――などと感じている方にもおすすめです。発色のいいボールペンも、インクの出が悪くなったボールペンもストックしておけば、いつでも実践可能です!

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仕事と勉強の両立は、なかなか大変なもの。これらのアイデアが、少しでもみなさまのいい気分転換となり、学習効果も高められたら幸いです。

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