相手の思いを引き出す会話テクニック——佐藤委子『ビジネスシーンで役に立つ「伝える技術」』第6回

これまでのコラムでは、自分の考えをうまく伝えるための技術や、それに必要な訓練について話してきました。ですが今回は、相手の思いを聞き出すうえで有効なテクニックについてご紹介します。

特に、会議や商談の際は、相手の思いを知ることによって、より建設的な話し合いができるだけではなく、信頼の構築にもつながっていきますよ

自分の意見を伝えるために、相手の思いを引き出しましょう!

1. 初対面の場では笑顔で自分から挨拶を

話す相手との状況によって変わる部分もありますが、まず、話す相手が初対面の場合は、お互いの緊張を和らげ、関係性を作ることから始まります。

最初の勝負は、会った瞬間、明るい表情ではっきり挨拶すること。当たり前のことですが、皆さん、本当にできていますでしょうか? 緊張で顔がこわばって声が小さくなっていたり、約束の時間にぎりぎりに到着して息を切らしながら挨拶していたりしませんか?

もし相手が難しそうな表情をしていたとしても、まずは自分から笑顔で挨拶をすること。人の心を部屋に例えると、この最初の挨拶はどうぞ入ってきてくださいと扉を開けることと同じです。扉が閉まっていては、入ることも、中をうかがい知ることもできません。相手が開けてくれるのを待っているよりも、自分から開くことが大切です。

2. 連想ゲームで共通点を探す

会議や商談が始まるまでの間や、会議室に移動するまでのエレベーター、終わったあと見送るまでの時間など、本題以外の話をする機会は意外と多くあります。この時間を何となく過ごすのではなく、相手との共通点を探す有意義な時間に変えてしまいましょう。

そのために、相手の情報はできる限り手に入れておくこと。もしそれが難しいならば、以下のように連想ゲーム感覚で話を引き出すこともできます。

(例) 相手が日焼けしている スポーツなど、屋外で行う趣味がある? 海釣りが趣味 今の時期釣れるもの おすすめの食べ方 調理器具や調味料「私は料理が好きなのですが、魚だけはさばけなくて……。おすすめの包丁はありますか?」 など共通点を見つける

このように、「日焼け」からどんどん連想していきます。そして話を進めていっても共通点が見つかれないようであれば、新しい話題を見つけ、また連想ゲームをするのです。

私も初めての現場では、担当者と天気の話や季節ネタ、注目されるスポーツの試合など、軽い話題から入り、話を膨らませていきます。相手のことをよく知らないまま一緒に仕事をするのは、お互いにぎこちなさが残ってしまいますものね。

もし万が一共通点が見つからなかったとしても、相手は、自分の話を受け入れてもらえたり、共感してもらえたりしたことで、あなたに親近感を持つでしょう。そして大切なのは、「相手のことをもっと知りたい」という気持ちで話をすることです。

お互いの距離が少しでも縮まれば、仕事の話にもスムーズに入っていけるのではないでしょうか。それに緊張したままの状態より、話し合いを円滑に進めることができるはずです。

3. 相づちのバリエーションは多いほうがいい!

話を聞く際、相づちを打ちますよね。「はい」「ええ」「そうですね」「そうなんですか」「なるほど」「たしかに」「すごいですね」など、みなさんは、どれくらいの種類の相づちを使っていますか?

一般的なものを挙げてみましたが、実際に会話が始まると、自分が知っている種類の半分も使っていない場合が多いものです。使う相づちの種類が少ないと、会話のテンポが悪くなるだけではなく、話し手は「聞いているのかな?」と不安になってしまうこともあります。

自分がどの相づちを使うことが多いのか見直したうえで、新しい相づちを取り入れてみましょう。また、同じ言葉でも音の高さや語尾によっては別のイメージになることも考慮してくださいね。

(例) そうですね↑・・・共感や前向きな気持ち そうですね!・・・ひらめきや尊敬 そうですね〜・・・受け流す、思考中 そうですね↓・・・否定的、反論がある

自分の相づちに気を使うようになると、相手がどのような相づちを使うことが多いのか分かるようになります。そして、その癖から相手の不安やNOなど、相づちの奥に隠れた真意を感じることができるようになりますよ。

4. 相手に気持ちよく話してもらう工夫

仕事の場面だと、特に自分の考えを伝えなければという思いが強くなり、つい前へ前へと話を進めてしまいたくなります。でも、気をつけてほしいのは、相手の言葉を遮らないこと。例えば、相手の話が終わっていないのに意見を言いたくなり、自分の話を始めてしまうと、相手の気持ちは不完全燃焼となります相手の話は最後まで聞きましょう。自分が言いたいことはそれを待ってからでも遅くはありませんよね。

もし、相手の話がまとまらない状況になってしまったら、こちらから相手が言ったことをまとめて繰り返してあげると、相手も自分の話が整理できます。その際も、そこから自分の話に持っていくのではなく、相手が言いたいことを言い切るまで待つようにしましょう。

また、相手が話したことの中で、自分が分からないことがある場合は確認を怠らないでください。分からないことをそのままにして話を進めると、その溝は広がるばかりです。その違和感は相手にも伝わってしまいます。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」という諺もありますが、その通りのことが、会話の流れを良くするためにも大切な要素なんですね。

コミュニケーションは損得勘定で考えるのではなく、どんなこともまずは自分から。自分がしてほしいと思うこと、心地よいと感じることを相手にしていきましょう。そうすることで、相手が心を開き、相手の思いを引き出すことができるようになります。

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