あなたの努力が報われないのは、○○が足りないせい。「報われる努力」のために改善すべき3つのこと

「努力が報われないな」と感じている女性

「こちらが丁寧に教えても、部下の意欲は低いまま……」
「苦手な分野にもチャレンジしているのに、上司から認められない……」

結局、努力しても報われない。こう悲観しがちなあなたには、じつは “足りない” ものがあります。それはなんなのか3つのケースでご紹介しつつ、改善策もご説明しましょう。あなたの頑張りを活かすための参考に、ご一読ください。

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

1.「考えさせる機会」が足りない

丁寧な指導を心がけても部下の成長が感じられないと悩むのは、あなたの面倒見がいいあまり、部下に考えさせる機会を設けていないせいかもしれません。

一般的に面倒見のいい上司は、部下にとって “理想的な上司” とみなされるでしょう。しかし、識学マネジメントカレッジの主席研究員の冨樫篤史氏は、「上司が手取り足取り具体的なやり方」を教えてしまうと、「部下の成長を阻」む可能性があると指摘。(カギカッコ内引用元:PRESIDENT WOMAN Online|なぜデキるリーダーは面倒見が良くないか

たとえば、タスクの優先順位を上司が決めたり、プレゼン資料のデザインまで細かく指導したりといったように、面倒見のよさが裏目に出ると、部下が自ら創意工夫する機会を奪いかねないのです。

組織効率性コンサルティング会社 「The Workplace Reframe」の創設者、リア・ガービン氏は、新しいマネージャーはプレッシャーを感じやすいため、「マイクロマネジメント」に陥る傾向があると述べています。(参考:Harvard Business Review|How to Stop Micromanaging and Start Empowering

マイクロマネジメントとは、業務に対して過度に細かい指示やフォローアップを行なうこと。ミスや漏れがないか、部下が仕事を全うできるかと気にしすぎるあまり、細かくアドバイスをしてしまうのです。部下をもった経験のない人ほど不安になりやすく、丁寧すぎるサポートをしてしまうわけですね。

細かい指示を出している男性

前出の冨樫氏は、細かく指導するマネジメントには、部下が「責任を感じにくい」というデメリットがあると指摘しています。

何より部下が自ら方策を考え出し、責任を全うするという経験を積むことができない。つまり、本来的な意味での達成感が得にくく、モチベーションを見いだせなくなってしまうのだ。

(カギカッコ内および枠内引用元:前出の「PRESIDENT WOMAN Online」記事)

仕事は責任を全うしてこそ、自分の成果として実感できるもの。つまり、マネジメントの努力が報われるかどうかは、部下に考える機会を与えているかに左右されるのです。

人材開発などを手がける株式会社CHEERFUL代表取締役の沖本るり子氏は、部下に「『どうしたらいいと思うか』と質問し、本人が自発的に考え、行動させる」よう推奨しています。上司が質問をすることで、部下に考える習慣を身につけてもらうのです。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|「指示待ち部下」を自ら行動させるための「逆質問」とは?

たとえば、以下のように部下に質問を投げかけてみましょう。

  • 「この問題を整理するためには、どのフレームワークが使えると思う?」
  • 「抱えているタスクのなかで、緊急性と重要度の高いものはどれだろう?」

もし部下が適切な答えを出せなくとも、否定せずいったんは受け止めてみてください。部下が臆することなく自ら考えて意見を言うようになれば、その成長意欲も引き出せるはずですよ。

質問を投げかけている女性

2.「自己認識力」が足りない

努力をしても上司からの評価はイマイチなら、自分の ”強み” にフォーカスできていないのかもしれません。評価される人は「自己認識力」が高いのです。

組織心理学者のターシャ・ユーリック氏によれば、「自分について明確に認識している人」は「より自信があり、より創造的」、「コミュニケーション能力も高」く、「仕事のパフォーマンスが優れ」ていると研究で裏づけられているのだそう。まさに優秀な人材の条件がそろっていますね。

ただ、こうした自己認識力の高い人はきわめてまれ。ユーリック氏によれば、「調査対象者で実際にその条件を満たしているのは、わずか10~15%」だったそうです。(カギカッコ内引用元:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|リーダーに不可欠な「自己認識力」を高める3つの視点

パーソル総合研究所・上席主任研究員の小林祐児氏は、「自己認識力には“内面的なもの”と“外面的なもの”の2つがあ」ると言います。

  • 内面的自己認識:「自分がどう思っているか理解する」
  • 外面的自己認識:「他人(または世間)から自分がどう見られているか理解する」

自分ではチームに協力的なつもりでも、上司からは情報共有が足りない人だとみなされていたら、自己認識力が高いとは言えませんよね。自己と他者の「両側面のバランスが取れている状態」条件だからこそ、希少な存在なのです。

(カギカッコ内引用元:doda|Q.キャリア迷子は“自己認識力”が低いせい!? 仕事も人生も好転する方法を教えて!

自己認識が高い女性

さらに小林氏は、自己認識が不十分だと「自らの強みに気づけず、自信を持てないことが多い」と語ります。(カギカッコ内引用元:同上)

たとえば、内向的な性格であるがゆえに「コミュニケーションが苦手」「ミーティングで積極的に意見が言えない」という場合、努力しても昇進できない……と考えてしまいがち。ですが本当は、見方を変えればあなたの弱みは十分強みになりえるのです。

一例を挙げると、内向型のキャリア支援やリーダーシップ開発に携わるジル・チャン氏は、「『強み』を生かすことが大切」と考え、仕事のやり方を変えたと言います。内向型である自身の特徴を「『心配性』で『考えすぎ』なことは自分の強み」で、「深く考えられる能力」ととらえ直したのだそう。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|「無口でも評価される人」と「軽んじられる人」の1つの違い

自己認識が十分にできれば、自分の特性を生かしつつ周囲に評価される戦略を考えられ、効果的な努力ができるのですね。

自己認識力が低く弱みの克服に焦点を当ててしまいがちな人におすすめなのが、自己認識を高めるための “振り返り” の習慣。前出のユーリック氏は、内省する場合は「なぜ」の代わりに「何」という問いを大切にすることを推奨しています。理由は、「なぜ」は「非生産的なマイナス思考を招く」から。一方、「何」は「客観性と未来志向」を保てるのだそう。(カギカッコ内引用元:前出の「DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー」記事)

<例>
NG→「なぜ、資料作成が早く終わらないのだろう?」
OK→「資料作成がはかどらないのはが妨げとなっているのだろう?」

振り返りのフレームワークとしては、問題点よりも ”プラス面での気づき” に目を向けられる「YWT」を参考にしてみてもいいでしょう。

>>参考記事はこちら:STUDY HACKER|「3つのことを書く」習慣で仕事の効率も成果もアップ。日々の仕事を「YWT」で振り返ってみた

振り返りを行なう女性

3.「まね」が足りない

「“あの同僚” と “自分”。最初は評価が変わらなかったのに、いまでは同僚のほうが昇進している……」と危機感を覚えている人は、優秀な人のやり方から学ぶことをおろそかにしている可能性が。

元東レ経営研究所社長で経営者育成に携わる佐々木常夫氏は、「プアなイノベーションより優れたイミテーション」が大切だと語ります。最初からオリジナリティで勝負するよりも優秀な人の模倣から入るほうが成功しやすいということです。

もとから能力の高い人は昇進も早いと考えるのが一般的ですが、佐々木氏はそれを否定します。なぜなら「頭がいい人は、自分の才能に恃みすぎるから」(※編集部注「恃み」の読みは「たのみ」)。能力の高さを過信するゆえ、ほかの優秀な先輩から学ぶことをおろそかにする傾向があるというのです。

一方で、自分の能力には限界があると自覚する人について、佐々木氏は以下のように語ります。

先人の考え方ややり方を素直に模倣しようとします。模倣するうちに、その考え方ややり方を自分のものとし、さらにそこに自分なりの考えを付け加え、独創的なものへと高めていきます。

(上記カギカッコ内および枠内引用元:PHPオンライン衆知|「他人の真似ばかりする人」が、仕事で結果を残してしまう理由

つまり、優秀な人の模倣から始め、さらにアレンジを加えて自分独自のやり方を創りあげることで、ほかの人より早く質の高いものを考案できるのですね。

優秀な人から学んでいる女性

人のまねから学ぶため、手本となる「ロールモデル」をもってみてはいかがでしょう。キャリアコンサルティングの経験があるグロービス経営大学院教員の中村直太氏によれば、「ロールモデルの対象は誰でもいい」とのこと(カギカッコ内引用元:GLOBIS CAREER NOTE|20代こそロールモデルが有益である3つの理由)。憧れの経営者やアスリートはもちろん、同僚や先輩でもいいのです。

注意点をひとつ挙げるなら、ロールモデルは “共感しやすい人物” であるのが好ましいでしょう。金融系のウェブサービスを提供する株式会社マネーフォワード代表取締役社長CEOの辻庸介氏は自身の経験をふまえ、自分とは違うタイプの「参考にしたい人」から「全部取り込もう」とすると失敗してしまうと語ります。

代わりに辻氏が重視するのは、自分のパーソナリティに合っていて “共感できる” こと。

シンパシーを感じる経営者を見つけて、その言動や著作から学び取るという方法がベストだと後輩経営者には伝えているんです。その人の全部を取り入れなくても、自分が取り入れるべき一部をインストールする感覚で。

(カギカッコ内および枠内引用元:ダイヤモンド・オンライン|「人のマネをして自爆する人」と「うまく学びを活かせる人」との決定的な差

たとえば、多くの斬新なアイデアを提案して評価される人をロールモデルにしたくても、自分にそんなアイデアを出す創造力はないと感じているならば、まねは難しいもの。ですが、より自分が共感できる人を参考とすれば、その人のスタイルを取り入れやすくなるでしょう。

また、辻氏がすすめる「取り入れるべき一部をインストールする」ことについては、前出の中村氏も似たことを述べています。「複数人の憧れる部分をつぎはぎで目指す」ほうが、納得いく目標になるのだそうです(カギカッコ内引用元:前出の「GLOBIS CAREER NOTE」記事)。

たとえば、

  • 【マネジメントに関しては……】
    否定的なフィードバックをするとき、必ず初めに肯定的な言葉を入れるAさんの方法をまねしよう
    →部下に前向きに改善してもらうのに役立ちそう

  • 【思考法に関しては……】
    情報収集する前に、仮説で当たりをつける習慣のあるBさんの方法をまねしよう
    →情報収集が速くなるし、仮説立ての精度も上がりそう

というように、共感できる複数のロールモデルの一部をまねして、それらを組み合わせて自分のものにするのが理想的です。周囲の “憧れの人” からどんどん吸収し、自分の能力を高めてくださいね。

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効果的なアプローチさえつかめば、頑張れる人ほど成長できるはずです。今回の記事を参考に、あなたが「あまり報われないなと感じていた努力」を「報われる努力」に変えてみませんか。

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