誰もが知る成功企業の共通項は、まず「これ」を拾うこと。成功に絶対不可欠な4つのセオリー

藁しべと木版を背景に、Fairytale and Success Theoryと文字が白抜きで入っている画像

昔から伝わる “おとぎ話” の『わらしべ長者』と『桃太郎』には、「成功のセオリー」が示されているそうです。仕事のプロフェッショナルであり、優れたリーダーでもある人々の言葉をもとに説明していきましょう。

【おとぎ話1】わらしべ長者

まずは最初の “おとぎ話”、『わらしべ長者』の概要から。

「最初に触ったものを大事に持ち、旅に出よ」と観音さまからお告げを受けた青年は、たまたま転んで手に触れた「わらしべ」を持って向かった先々で、さまざまな人々と出会う。

そこで物々交換を行なううち、青年の持ち物は、最初の「わらしべ」から⇒「まとわりついてうるさい虫を結びつけたわらしべ」⇒親子にもらった「ミカン」⇒商人にもらった「上質な反物」⇒侍にもらった「馬」⇒留守番を頼まれた「大きな屋敷」と徐々にグレードアップ。そして最終的には、大きな屋敷の主人としての、裕福な暮らしを手に入れたのだった。

わらしべ長者が手に入れた、立派なお屋敷

セオリー1:まず「わら」を拾う

大阪ガス、エネルギー・文化研究所顧問の池永寛明氏は『わらしべ長者』を例に挙げ、成功企業の共通項は、まず「わら」を拾うことだと説きます。

たとえば、あの「ジャパネットたかた」の “最初のわら” は「カメラ」でした。Amazon.com の “わら” は「本」でした。そこから始めて情熱を傾け、大きな成功を収めたわけです。だから、最初に拾う「わら」は、なんだっていいとのこと。

考えるばかりで行動せず、言い訳を並べてはいませんか? あるいは大きすぎる目標を達成しようと、無理のある計画を立ててはいないでしょうか。名だたる企業も最初は小さなものをつかみ、大事にすることから始めたのです。

儲けやリスク、採算性ばかり考えていても、机上では見えないことが多いと池永氏は言います。ある程度考えたら、まずは「わら」を拾う=「やってみる」ことが大切とのことです。

よし、やってみようと、気持ちの準備が整ったビジネスパーソン

セオリー2:まず「現時点」で実績をつくる

株式会社プロノバ 代表取締役社長・岡島悦子氏の著書『抜擢される人の人脈力 早回しで成長する人のセオリー』(東洋経済新報社)によると、成功を収めた人には「なぜだかいい機会が到来し、そこで実績をつくれたことで、また次のチャンスに恵まれた」という人がほとんどなのだとか。

岡島氏は「最初に実績をつくる機会を得る」ことを「最初のわらしべをつかむ」と言うそうです。つまり「最初のわらしべをつかむ」とは、現時点での仕事で実績をつくること。その際に大切なのは、信頼を得るための材料(意欲・学習能力・実行力など)が相手に伝わり、何かの「機会」に自分を思い出してもらうことなのだとか。

したがって、いまどんな仕事を任されているとしても、それを「軽んじることなかれ」です。

いまの仕事でしっかりと実績をつくろうと頑張るビジネスパーソン

【おとぎ話2】桃太郎

もうひとつの “おとぎ話”、『桃太郎』の概要をお伝えしましょう。

おばあさんが川で洗濯をしているときに流れてきた大きな桃を、おじいさんと一緒に暮らす家に持ち帰ると、桃からかわいい男の子が生まれ、その子は「桃太郎」と名づけられた。

ふたりのもとで立派に成長した桃太郎は、鬼が島の「鬼」が悪さをしていると知り、おばあさんにつくってもらった “日本一のきび団子” を持って、鬼退治へと向かうことに。道中で出会った「イヌ」「サル」「キジ」に “きび団子” を渡し、仲間になってもらったところ、桃太郎チームは見事、鬼が島の「鬼」を退治できたのであった。

日本のおとぎ話、『桃太郎』の像

セオリー3:「明確な目標」で「協力」を得る

いかなる仕事もひとりではできないもの。だからこそ、周囲に「明確な目標」を伝え、能動的な「協力」を得ることは、大きな成功のカギだと言えます。そうしたことが『桃太郎』では語られているのだとか。

『童話でわかるプロジェクトマネジメント』(秀和システム)を執筆したビジネスファイターズ代表の飯田剛弘氏は、桃太郎の優れたポイントとして、明確な目標(鬼退治)と報酬(きび団子)を設定し、チームのモチベーションを高めたことなどを挙げています。

「きび団子」という報酬がメンバーに外発的動機を与え、「鬼退治」をする理由や目的を明瞭に説明して当事者意識をもたせ、内発的動機づけにも成功したわけです。 外発的動機は報酬ありきで長続きしないけれど、内発的動機はその人自身の内側から湧いてくる意欲なので持続性があるはず。桃太郎は成功のセオリーを実践しつつ、優れたリーダーとしての能力も発揮しているのですね。

チームメンバーのアイデアを嬉しそうに聞くリーダー

セオリー4:「協力者」はより「多様」に

桃太郎は「鬼退治」という目標に向かい、必要な能力をもつ仲間を集めて役割分担を行ない、見事に目標を達成したと前出の池永氏は述べます。

松下電器(現パナソニック)を一代で築き上げた松下幸之助氏も、『桃太郎』で「役割分担」を説いたのだとか。同氏いわく「それぞれが違うから鬼退治ができた。いろんな個性・特徴をもった人の集まりにすることが、会社にとっても大事」とのこと(2016年4月15日公開の、江口克彦氏による「東洋経済オンライン」記事より)

松下幸之助氏の元側近である江口克彦氏の表現を参考にして、「中華丼」をモチーフに上記を説明してみると……、

「中華丼」に入っている白菜が白菜として、タケノコがタケノコとして、きくらげも、うずらの卵も、トロリとした “あん” も、それぞれが自身の個性を発揮しながらそこに存在できるのは、各存在が相補うようにしているから。バラバラなものに調和が生まれてまとまると、一杯のおいしい栄養たっぷりな「中華丼」ができる。

組織やチームで言えば、それだけ強くなれるということ。強いチームの成功は、個人の実績にもつながるでしょう。

同じ意見、同じ価値観をもつ人と協力し合うほうが楽ですが、全体としてはバランスが悪く、傾いてしまうかもしれません。自分が自分らしいままで大きな成功を手に入れるためには、多様な協力者との調和が必要なのです。

***
成功に欠かせない2つの物語と4つのセオリーを紹介しました。ちょっと目線を変えて、『わらしべ長者』と『桃太郎』を読んでみてくだいね。

(参考)
エネルギー・文化研究所|【起動篇】長者になるために藁をひらったのではなく、藁をひらったから長者になった ― わらしべ長者と桃太郎から学ぶこと (4)(最終回)
岡島悦子(2008),『抜擢される人の人脈力 早回しで成長する人のセオリー』, 東洋経済新報社.
キントーン|桃太郎に学ぶ、今日から使えるプロジェクトマネジメントの秘訣
東洋経済オンライン|松下幸之助は、桃太郎で「役割分担」を説いた
Wikipedia|わらしべ長者
福音館書店|ももたろう

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