いろいろな情報を集め、知識をインプットしているものの、
- 整理できない
- 覚えられない
- 仕事に活かせない
とお悩みなら、付箋ノートを活用してみるといいかもしれません。各専門家の意見やアドバイスを参考に、付箋ノートの効能や方法などを紹介します。筆者も挑戦してみました。
付箋ノートの効能
付箋ノートとは、付箋に書いたものをノートに貼っていくノート術のことです。
『1冊の「ふせんノート」で人生は、はかどる』(フォレスト出版)の著者・坂下仁氏や、メンタルコーチで『フセンで考えればうまくいく』(現代書林)の著者・平本あきお氏、そして、文房具・オフィス家具・事務機器を製造・販売するコクヨ社員の方々によれば、【付箋ノートの効能】は次のとおり。
- 思いついたらすぐメモできる(坂下氏)
- 頭のなかを見える化できる(平本氏・コクヨ社員)
- ひたすら書き残せばあとで俯瞰・編集できる(コクヨ社員)
- 貼る、剥がす、移動などの操作が可能(平本氏)
- 関連情報をまとめやすい(坂下氏)
- (まとめやすいので)良質なアウトプットができる(坂下氏)
- 貼る・剥がすなどの際に、頭のなかを整理できる(平本氏)
- 不要になったら捨てやすい(坂下氏・平本氏・コクヨ社員)
また、小さな付箋に書き込む作業を繰り返せば、スペースが限られるので必然的に要約力が身につくでしょうし、分子発生生物学者のJohn Medina氏による脳の仕組みの説明を参考にすれば、付箋を貼ったり剥がしたりするなかで、繰り返し同じ情報に接すれば記憶しやすくなるはず。つまり、付箋を用いることが効果的な復習にもなりうるわけです。
付箋ノートが好まれる理由
では、付箋ノートのどんな部分が好まれるのかと言えば――平本あきお氏いわく、付箋のよさは「いいかげん」が許されることなのだとか。どんなノート術でも、いざ書こうとすると多少は身構えてしまいますが、付箋なら書き直しやすいし、あとで動かせるし、追加で貼れるし、捨てるのも自由だしと、気楽に行なえるとのこと。
また、情報をこまめに記録しているのに、仕事のアウトプットに結びつかないと悩みを抱えていた坂下仁氏は、試行錯誤を重ねて編集が自由自在な付箋ノート術にたどり着き、良質なアウトプットを導き出せるようになったのだとか。
そして、コクヨ社員の方々は、まだその時点で理解できない、気になった程度の情報でも付箋なら残しやすいので、あとで役立てられる、といったことを伝えています。
付箋ノートのやり方
ここまで、付箋ノートについて掘り下げてきました。ここからは、平本あきお氏・坂下仁氏・コクヨ社員の方々のアドバイスを参考にしながら、付箋ノートのやり方を紹介していきます。
用意するのは、好みのノートとペンと付箋。付箋を切って小さくする場合はハサミも必要です。基本的なやり方は次のとおり。
- 思いついたことを、思いついたときに、ジャンル関係なく自由に付箋に書く。「こんなこと書かなくていいか」などとは考えず、どんどん書き出していく
- 時系列でノートに貼っていく
- 必要に応じて移動させたり、まとめたり、編集したり
ちなみに坂下仁氏は、書く場所によって付箋の色を変えているのだとか。たとえば、
- 外出先はイエロー
- 職場はピンク
- 寝室はグリーン
- トイレはブルー
といった具合です。時系列に貼られており、書いた場所を色で区別できるので、メモの場所を見つけやすく、書いた経緯を思い出しやすくなるとのこと。
また、コクヨ社員の方いわく、太めのペンを使用すると、付箋のスペース上、文字数が限られるので、必然的に短くまとめるようになるとのこと。よりいっそう要約力が鍛えられるわけですね。
では、そういったかたちで筆者もさっそくやってみます!
付箋ノートをやってみた
筆者の場合は、まず幅広の付箋と、4色セットの付箋、A4サイズのノート1冊を準備しました。いずれも100円ショップで購入可能です。文字に強弱をつけるため、手持ちの水性サインペンとボールペンを使用します。
たまたま「好奇心と脳の働き、記憶のタグづけ」などについて調べなければならない事情があったので、今回はそちらに集中しながら、付箋ノートをつくっていきます。
付箋はそのままのサイズで使ったり、ハサミで切って小さくして使ったりと、自由自在に扱います。
なお、書く際に(どこまで書くか)迷わないよう、“おおむね” 1枚の付箋には1情報というルールを設けてみました。ただし、そこだけに振り回されてしまわないよう、そこそこ緩めに守っていきます。
また、今回は目的がある情報収集とまとめなので、付箋の色分けは、坂下仁氏のように書いた場所の区別のためではなく、リズムづくりのために活用しました。いわゆる、負荷がない脳の退屈防止です。
なぜならば、実際に少しやってみたところ、
- 同じ色の付箋にずっと書いていると、脳が飽きてくる
- ルールをつくり色分けしながら書こうとすると、脳に負荷がかかる
と感じたからです。逆に気分で付箋の色を変えてみたところ、リズムができて集中しやすくなり、書いた内容にもインパクトが生まれました。
付箋ノートをやってみた結果
付箋ノートをやってみると、やはり特に、とりあえず書いておくことや、気軽に編集できることが便利だと感じました。
必要なければ剥がしてしまえばいいし、保留にしておきたいなら、ノートの最後にでも貼っておけばいいだけです。これなら情報の取りこぼしもありません。
また、取り留めなく書いていくだけなのに、「そういえばさっき」「そういえば前にこんな情報が」といった具合に、記憶のつなぎ合わせがずいぶん促進されました。
しかも、記憶のつなぎ合わせを脳内だけで起こしておくのではなく、自らも物理的に貼ったり剥がしたりしながらできるので、まるで、脳のデフォルトモードネットワーク(ボンヤリしているときなどに活発化する脳内ネットワーク)を見える化しているような感覚になりました。
デフォルトモードネットワークは、頭のなかにある情報を組み合わせて、新たな情報をつくり上げる働きがあるとされる、脳のネットワークのこと。アイデア創出や問題解決に役立つことは、いうまでもありません。
ちなみに、あとで編集しようと関連するものを上の画像のように番号をつけたところ、その行動だけでタグづけされたのか……!? 周辺視野でとらえた番号が、関連情報を浮き上がらせてくれました。立体的な付箋ノートだからこそ、より強く起こった現象かもしれません。
したがって、付箋とノートを使って情報を整理してみた結果、こんなにいいことがありました!
- とりあえず書いておけるので、情報の取りこぼしがない
- 貼ったり剥がしたり移動したりできるので、まとめやすい
- 脳のデフォルトモードネットワークが見える化される
- アイデア創出や問題解決に役立つ
- タグづけできる!?
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付箋ノートの効能や方法、実際にやってみた感想などを紹介しました。動きのある立体的なノートなので、脳にはいい刺激にもなりそうです。ぜひお試しくださいね。
(付箋ノート内 参考)
瀧靖之(2017),『「好きなこと」で、脳はよみがえる』, 大和書房.
国立研究開発法人 科学技術振興機構|記憶のメカニズムに迫る!
脳科学辞典|記憶痕跡
メドフィットコラム|ヒトの脳内では出来事の「タグ」が長期記憶されている!?(リンク切れ)
(参考)
THE21オンライン|頭の中を整理する「付箋」の使い方
THE21オンライン|ズボラでも続く! 「ふせんノート」で考える技術
@DIME|脳のネットワークを切り替えて仕事に役立てる方法
東洋経済オンライン|「付箋+ノート」で仕事がいっきに速くなる
リクナビNEXTジャーナル|手帳やスマホのメモより便利で効果大!「ふせんノート」活用のススメ
IPイノベーションズ|ブレインルール:「人がどのように学ぶか(how we learn)」について科学が教えてくれること
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STUDY HACKER 編集部
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