今年の目標を「ノートの地政学」に基づいて整理してみた結果。達成までの道筋がはっきり見えた!

今年やりたいことをノートの地政学で整理してみた01

「今年こそ、目標を上手に立てて絶対に達成したい!」と考える方はきっと多いでしょう。とはいえ、目標を立てたところで、達成するのはなかなか難しいもの。「毎年目標倒れで終わってしまう」という人もいるはずです。

そんなみなさんにおすすめしたいのが、ノートを地図のように見立てて使う「ノートの地政学」。今回は、筆者が「ノートの地政学」を利用して、新年の目標を実際に整理してみました。目標達成へ向けて、ぜひ参考にしてみてください。

目標までの道のりを示す「ノートの地政学」

ノートの地政学」はもともと、仕事上の問題を解決する思考法のひとつとして、株式会社メディアフォーラム代表取締役である佐々木直彦氏の著書『考えるノート』で紹介されたノート術です。

佐々木氏によると「ノートの地政学」では、メモをとる場所それぞれに、次のような異なる意味合いと役割があると考えるそうです。

今年やりたいことをノートの地政学で整理してみた02

  • 右上:「未来」将来のありたい姿やビジョンを書き込むスペース
  • 中央:「現在」テーマや現状の課題、戦略を書き込むスペース
  • 左下:「過去」課題の原因や背景を書き込むスペース
  • 左上/右下:「未来」へ向かう推進力になる言葉や、「現在」に関連する説明あるいはキーワードを書き込むスペース

「将来こうなりたい」というビジョンを実現させるには、過去の実績と現状をふまえると、何をすべきだと言えるのか。それを、過去から未来までの時系列でイメージできるように書くのです。

この「ノートの地政学」では、ノートの見開き1ページを使います。これは余白を最大限に活用するため。マッキンゼー出身の建築プロデューサー織山和久氏が、マッキンゼーで磨いてきたノート術について語ったところによると、ノートの余白は補足や変更事項などの追加情報を書き足す際に役立つのだとか。

目標を達成しようとする過程では、「やっぱりこれはこうしたいな」と思ったり、突発的な変化により打ち手を修正する必要が出たりすることもあるはずですよね。そんなときのために、いつでも情報を付け足せるような余地をつくっておくことが大切なのです。

今年やりたいことをノートの地政学で整理してみた03

今年やりたいことを「ノートの地政学」で整理してみた

「ノートの地政学」は、仕事だけでなく新年の目標設定にも応用できます。そこで筆者はこの方法に基づき、「2021年は、本を150冊以上読む」という目標を立て、その達成方法を実際に整理してみました。

今年やりたいことをノートの地政学で整理してみた04

実践の手順は次のとおり。

  1. ノートの中央へ「現在」のことを書く
  2. ノートの左下へ「過去」のことを書く
  3. 「現在」と「過去」を比較し、ノートの左上へ目標を達成するための戦略を書く
  4. ノートの右上へ「未来」について書く

まず手順1で、「現在」の自分がどういった読書生活を送っているのかに焦点を当てました。2020年に読んだ本の数は、年間で75冊。現時点での読書ペースは「月に5〜6冊、調子がよくて7冊」となるため、それをノートの中央に書き入れました。

次に手順2で、「過去」の自分がいままで本をどのくらい読めていたのかについて振り返り、2020年の冊数とともに左下に記してみました。すると、2019年は年間で50冊でした。

そして手順3。2021年の目標は「現在」「過去」のおよそ2倍である150冊。これをどうすれば達成できるのかという戦略を、ノートの左上にあるスペースへ書き込みます。ここで自分の本の読み方について考えたところ、これまでは本の最初から最後まで、すべてに目を通す読み方をしていました。しかし、自分にはあまり響かなかったり役に立たなかったりと、じつは読む必要がなかった部分もあったことを発見。この読み方のままだと時間が無駄になり、冊数を増やした今年の目標を達成することはできません。したがって今後は、自分の関心に沿っている本どうかを事前に見出しで確認してから読むことに決め、左上のスペースにそう書き入れました。

最後の手順4では、「未来」について右上に書いてみました。ここには目標だけでなく、それを達成したあとの状況も具体的に記しています。「多くのコトを知り、多様な背景をもつ人と話ができる」という具合です。そうすることで、自分がこの目標を達成するメリットがなんなのかをイメージできるようになりました。

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「ノートの地政学」で目標を整理したら、達成までの道筋がはっきり見えた!

今年の目標立てを「ノートの地政学」を用いて実際に行なってみると、目標達成までの道筋を鮮明に描くことができました。単に「過去」「現在」「未来」の順で書き込んでいくのではなく、それぞれの時間軸を何度も往復しながら目標立てを行なったことで、達成するのに必要な戦略も見つけられたのです。

また右上に、小さく「200冊?」と書いてあります。これは、150冊は最終ゴールではなく通過点であることを強調したかったためです。200冊を視野に入れておけば、今年の目標である150冊を達成するハードルが低く感じられるはず。このように、決めた目標よりもちょっと上まで想像しておくと、目標を達成しやすくなりますよ

「ノートの地政学」に基づいて目標を整理する際は、先ほども触れたように、余白を十分にとりつつ書き込んでみてください。現時点ではまだ書き込んでいませんが、右下の「あとから気づいたこと」のスペースは、目標達成までの戦略などについて改善したほうがよさそうな点を後日書き込むための場所にしています。変更すべき部分をあとからでも書き足せると考えれば、目標達成のプレッシャーも抑えられそうです。今後改善点や変更点が見つかれば、ノートの余白へ書き足していこうと思います。

***
「ノートの地政学」に基づいて、2021年の目標立てをやってみました。「今年こそは目標を達成したい!」という人は、ぜひ「ノートの地政学」を活用し、目標実現までの道筋を明確にしてみてください。

(参考)
佐々木直彦 (2012), 『考えるノート』, 日本能率協会マネジメントセンター.
THE 21 ONLINE|「問い」をノートに書き出すことが問題解決の第一歩
ダイヤモンド・オンライン|元マッキンゼーの建築プロデューサーが「手書きのノート」を手放さない理由

【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。

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